特集 2024年2月16日

近所の節分の豆まきがエンターテイメントだった

豆を取るぞ!

2月3日15時から豆まきは行われる。10分前には行こうと家を出た。初詣などは数日前から準備しているけれど、今回はそんなことはないようだったので、人が特別に多いことはないと考えていた。 

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めっちゃいた!

この街の全ての人が来ているのではないか。そんなことはないのだけれど、感覚的にはそう。この街の人が神楽殿の前で豆を待っているのだ。私も待っている、豆を。

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待っていますね!

著名人が来るのかな、くらいの賑わいだ。ビールのCMに出ている人が来てもいいくらいの賑わいに感じたけれど、誰も来ない。誰もが知る著名人は誰も来ないのだ。でも賑わっている。これが節分の、豆まきの集客力だ。すごい。

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挨拶があった

やはり知らない方々が豆をまくみたいだ。市議とか都議とかがメイン。私が描いていたちょうど中間の豆まきになっている。挨拶が終わるといよいよ豆まきが始まる。現場のボルテージは最高潮だ。

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豆まき開始!!!

豆が白い紙袋に入ってまかれ始める。鬼は外、福は内の掛け声はあまり聞こえなかった気がする。聞こえたのは「こっち!」とか「ください!」とかだ。むしろ賑やかでいいように思える。子供たちは白いビニール袋持参だ。拾いまくる気だ。

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宙を舞った豆を、
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ゲット!

盛り上がりはすごいことになっている。誰も彼もが豆を求めて手を伸ばしている。サッカーの日本代表戦でゴールが決まった瞬間くらいの盛り上がりなのだ。

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ボルテージは常にマックス!

豆が終わると今度はお菓子などをまき始める。豆まきは豆だけではないのだ。お菓子もまかれるのだ。子供たちが多い理由はそこかもしれない。私は初めて参加したけれど、毎年こうなので子供たちは白いビニール袋持参でやってくるのだ。

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マイクゲット! ラムネでした!
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まかれるのが豆だけではないことを不思議に感じるかもしれない。しかしたとえば鹿児島では節分のこの日を「ヤッバレ(厄払い)」と言い、厄年の男女が晴着を身につけ、銭や飴をまく。豆だけではなくていいのだ。

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袋に入った豆はこんな感じです!

また静岡では以前、子供たちが袋を持って家々をまわり歩く「節分の豆もらい」というものもあった。子供が袋をパンパンにして歩く様はサンタクロースの担ぐ袋に似ていると「静岡県民俗歳時記」にある。

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活気があっていい!

お菓子をまくことも、子供たちが持参した白いビニール袋をパンパンにすることも節分らしい一場面と言えるのだ。時代が進んでも根本的には変わらないのではないだろうか。なによりエンターテイメントだ。楽しいのだ。

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これだけもらってきました!

本当はもっと取ったのだけれど、子供たちにあげた。30代の独身男性が身知らぬ子供にお菓子をあげるのは憚られるが、この日は別。思っていたほど取れずに不貞腐れる子や泣く子もいたのであげた。皆、ありがとうございます、と言っていた。

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ありがたく食べました!

とても楽しい豆まきだった。本来の節分は仕事を休み酒を飲んだりする楽しい日だったと思う。それが体現されている。楽しい時間なのだ。10分以上まいていた。10分間、人々のボルテージはマックスだった。豆まきはエンターテイメントと知った。

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興奮で眼鏡が曇っていた!

毎年行きます!

子供の頃、私の住んでいた地域は何かをまく地域だった。スーパーでは餅まきがよく行われていたし、棟上げでも餅やらお金やらをまいていた。楽しい思い出しかない。まいたり、それを拾ったりする行為は本能的に楽しいものなのかもしれない。あの盛り上がりでは鬼も退散するだろう。来年も行きたいと思う。

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この豆は食べ始めたら止まらない!

参考文献
「静岡県民俗歳時記」富山昭 静岡新聞社 1992
「鹿児島の民俗暦」小野重朗,鶴添泰藏 海鳥社 1992
「民俗探訪ふるさと365日(上巻)」 秋山栄雄 鉱脈社 2004
「写真ものがたり昭和の暮らし8年中行事」須藤功 農山漁村文化協会 2006
「鹿児島民俗ごよみ」名越護,南日本新聞社 南方新社 2021

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