実際の動物の柄からTシャツをつくろう
なぜヒョウ柄だけこんなにメジャーなのかを知るため、そしてジャガーとチーターの夢を叶えるため、3種のTシャツをつくってみることにした。
しかし困ったことに、そもそも僕がそれぞれの柄の違いをよく分かっていない。
新入社員のころ、お客さんの話を分かったふりして資料を作ったら全然違ってめちゃくちゃ怒られたのを思いだした。
ヒョウ・ジャガー・チーターからの怒られは命にかかわりそうなので、ここは間違いなくすすめたい。そこで、動物園にいって実際の動物の写真を撮り、そこから柄を切りとってTシャツにすることにした。社会人15年目の知恵だ。
動物園をハシゴした
というわけで向かったのは、横浜市の「よこはま動物園ズーラシア」と静岡市にある「日本平動物園」。
とある週末をつかって、この2つを一気にめぐった。動物園のハシゴだ。子どもからしたらパラダイスのような響きだろう。
でもこれは大人にとってもすごく魅力的で、金曜の夜から遠足前のような気分でウキウキしていた。
大人だから、おやつは200円以内なんて制限はない。静岡にいくときは朝9時台の新幹線なのに駅弁を買った。
ズーラシアではチーターとアムールヒョウ、日本平動物園ではジャガーにご対面。それぞれの写真を撮らせてもらい、
全面プリントTシャツを作れるこちらのサイトでそれぞれの柄を入稿。
そして完成したものがこちら。
家にとどいた段ボールを開けてはじめてTシャツを見たとき、ゾワゾワっと鳥肌がたった。プリントとはいえさすがは本物の柄、動物園で見るよりも近くに獣がいるように感じるのだ。
その本物感は、「ちょっと怖いから見えない場所にしまって」と妻から要望があったほど。
ほんとにほんとにほんとにほんとにヒョウ・ジャガー・チーターだ。
チーターはドット / ヒョウは花模様 / ジャガーは花+ドット
さてここからが本題。3種のちがいを比べていこう。
まずはその模様だが、
チーターはドット、ヒョウは花みたいな模様、そしてジャガーはそれを合わせたような柄。
動物園でそれぞれを見たときは似てるなーと思っていたけど、こうして比べてみるとその違いはけっこうはっきりしていた。
ヒョウ柄は「かわいい」と「かっこいい」のいいとこどり
では次に、服として見たときの印象はどう違うだろうか。友人たちに集まってもらい、まずは見くらべてもらった。
ガンジー:ジャガーはなんか強そうだね。
ことば:うん。あとヒョウよりも華やか。
高瀬:自分が着るとしたらどう?
なる:ヒョウ柄の方が無難な感じがするよね。ジャガーはなんか攻めすぎてる感じで。
ことば:着るならやっぱり落ち着いたヒョウ柄かなぁ。
高瀬:ジャガーの前だと、ヒョウ柄が落ち着いたデザインに見えるんだ。
分かったこと①
・ジャガー柄は印象が強すぎ
・ジャガーと比べるとヒョウ柄は「落ち着いたデザイン」
高瀬:チーター柄はどう?
太郎:チーターは完全にネコっぽいね。かわいらしい。
ことば:うん、これだけちょっと違う感じするよね。
ガンジー:自分が着るにはちょっとかわいすぎるかなぁ。ふだん水玉も着ないもんなぁ。
ジャガー柄は強すぎて恐い。一方でチーター柄はやさしすぎて物足りない。この日あつまってくれた友人のうち、女性は全員ヒョウ柄がちょうどいいという意見だった。
たしかに動物園に行ったときも、ヒョウの前では「かわいい」という声をよく聞いたが、ジャガーの前では「かっこいい」「綺麗」と言っている人が多かった。
ヒョウ柄は「かわいい」と「かっこいい」のいいとこどり。3種のTシャツをつくってみたことで、その人気の理由がよく分かった。
分かったこと③
・ヒョウ柄は「かわいい」と「かっこいい」のいいとこどり
チーター柄は毛が気になる
高瀬:女性陣はジャガーだと攻めすぎ・強すぎでヒョウ柄がちょうどいいってことだったけど、太郎はどう?
太郎:僕はだんぜんチーター柄。いちばん目立たなそうだよね。ヒョウとかジャガーの柄着るのは恥ずかしいよ。
ガンジー:そう?
太郎:特にジャガー柄はもう・・。パンクな感じ出すぎちゃってて恥ずかしすぎる。これ着て外は歩けないなぁ。
分かったこと④
・主張の強い服が恥ずかしい人はチーター柄が無難
太郎:でもなぁ、チーター柄ってちょっと毛がボサボサしてるのが気になるんだよなぁ。
なる:ヒョウとかジャガーは毛が同じ方向に流れてるけど、チーターはいろんな方向に向いてるもんね。
太郎:そうなんだよね、ボサボサが、ちょっとだらしない感じがして。
ガンジー:寝ぐせみたいなね。
なる:ヒョウとかジャガーの方が、毛もやわらかそうに見えるよね。
太郎:そうそう、絹みたいな感じでさ、高級感あるんだよなぁ。
そう言われてもう一度よく見ると、たしかにチーターの毛はかたい感じがするし、いろんな方向に生えている。
しかしチーターにとってはこれがありのままの姿。僕がリアルな柄でTシャツを作ったばっかりに、ボサボサだのだらしないだの言われることになってしまった。
市販のアニマルプリントのようにイラストっぽく描かれたチーター柄は、きっともっとかわいいことだろう。許されることならば、チーターには菓子折りならぬエサ折りを持って謝罪にうかがいたい。
分かったこと⑤
・リアルなチーター柄は毛がボサボサでだらしない印象
(でもチーターは悪くない)
着てみると印象が変わる
高瀬:3つ着てみて、どうだった?
ガンジー:ジャガーは気分上がったー!。着た瞬間の自分の中の盛り上がりがすごい。
高瀬:さっきはちょっと攻めすぎって言ってたけど?
ガンジー:うん、そう思ってたけど、気づいてなかった扉がひらかれた感じ。
ことば:たしかにジャガーは上がったよね!
太郎:めっちゃ強くなった気分になるね。だからみんなヒョウ柄とか着るんだって思った。
太郎:でも僕がジャガー柄着ると、すっごい悪い感じになっちゃうんだよなぁ・・。
なる:ちょっとヤンチャな感じ出ちゃうよね。
ことば:メリケンサックとかつけてそうなね。
ガンジー:太っとい金のネックレスとか。
太郎:ひーー。
分かったこと⑦
・男性がジャガー柄を着るといかつく見える
太郎:その点チーター柄は全然ありだったよ。
一同:似合ってた似合ってた。
太郎:これなら街歩いてもいいかなって。
高瀬:さっきさ、チーターはボロボロとか、毛流れが悪いとか言ってたじゃん。
太郎:着たら気にならなかったね。自分がチーターになった気がしてきて。
高瀬:ちょっともう1回着てみてもらってもいい?
太郎:あー、でもお腹のあたりはちょっと嫌だなぁ。腹毛みたいな感じで・・
ガンジー:全体モジャモジャなのに、お腹だけは気になるんだ。
分かったこと⑧
・チーター柄のボサボサは、着るとお腹だけ気になる
攻めすぎだと思っていたジャガー柄がむしろ気分を上げてくれたり、気になっていたチーター柄のボサボサが案外大丈夫だったりと、着てみるとその印象はまた変わるようだった。
ヒョウ柄・ジャガー柄・チーター柄の服をえらぶ時は、必ず試着してみるのがおすすめだ。
分かったこと(まとめ)
【ジャガー柄】
・強すぎ・攻めすぎ → 着てみるとむしろ気分があがる
・男性はいかつい印象になる
【チーター柄】
・かわいすぎる → 目立ちたくない人にはちょうどいい
・毛がボサボサでだらしない印象(特にお腹は気になる)
【ヒョウ柄】
・「かわいい」と「かっこいい」のいいとこどり
ヒョウ柄・ジャガー柄・チーター柄 in 自然
このあと、外で見たときの印象を見るために公園に移動した。
自然の中はアニマル柄の本拠地。どの柄も室内にいたときよりかなり良く見えた。
特に、いい天気の下で開放的な気分になると、ジャガー柄はいっそう気分をあげてくれる。バカンスに持っていくならジャガー柄だ。
そして自然の中にきたからか、みんな「裸足になろうかな」と言ったり、他の人の食べものが気になったり、ヒョウ・ジャガー・チーターとして野生が呼びおこされているようだった。
時間は16:00ごろ。食べものについては小腹がすく時間だったからとも言える。
街の「ヒョウ柄」は本当にヒョウ柄?
ここまで比べてみて、ヒョウ柄・ジャガー柄・チーター柄の印象の違いがよく分かった。
これからは気分をあげたい時はジャガー柄を着たいし、やさしく見せたい時はチーター柄を選びたい。
でも実際のところ、ジャガー柄やチーター柄が着たいと思ったら手に入れることはできるのだろうか。
違いを認識できるようになった今、街で「ヒョウ柄」(もしくはその英語名の「レオパード柄」)として売っているものが本当にヒョウ柄なのかを調べてみた。
しかし中には、
調べてみた結果、「ヒョウ柄(もしくはレオパード柄)」として売っているもののほとんどは本当にヒョウの柄だったが、たまにチーター柄やジャガー柄も混じっていることが分かった。
逆に、「ジャガー柄」「チーター柄」として売っているものはほぼゼロ。
今後ジャガー柄やチーター柄を着たいなと思ったときは、街にあふれるヒョウの群れの中からジャガーやチーターを見つけだしてほしい。
ヒョウ柄を着たらヒョウになるわけじゃない
今回の記事のテーマはヒョウ柄・ジャガー柄・チーター柄の比較。公園で撮影するときもそれをやるつもりだったのだけど、気づいたら「どうすればヒョウに見えるか」に変わっていた。
僕は手をついて4足で走ったが、撮れた写真にははっきりと「ヒョウ柄を着た人」が写っていたので、大笑いして撮影は終わった。
さっき「バカンスに持っていくならジャガー柄」と書いたが、あの時もバカンスみたいなはしゃぎ方だったなと思う。楽しかった。
【写真提供協力】
よこはま動物園ズーラシア