年末年始とくべつ企画 2024年1月5日

財布バリバリ伝説

財布バリバリ伝説

特に若い方の中には、なぜ急に伝説とか言い出しているかさっぱりわからない人も多いだろう。それはじゃな、今から40年ほど前、「バリバリ伝説」という人気マンガがあったのじゃよ。

こちらのサイトから結構な話数が無料で読めます

高校生がバイクでヒーローになるマンガじゃ。それにあやかって財布バリバリ伝説、というわけなのじゃ。

説明したところで自分でもよくわからないが、この財布が伝説になったら理屈はともかく最高ではないか。ちまちま工作していた自分を脱ぎ捨て、街に繰り出そう。 

ここで俺は伝説になる

やってきたのはコンビニ。レジで支払いをするとき、財布がバリバリとうなりを上げればオーディエンスのボルテージは最高潮。みんな釘付けになって新たな伝説が生まれる、というわけだ。

なぜだかやたらとバリバリ言う財布。無駄に鳴り響くその音で既存の意味を超越しないと、伝説にはなれない。

新時代のレジェンドとなるべく店内に入ろう。商品を手に取り、レジで思いっきり財布を開いて会計だ。

なぜかおしぼりをくれた

しかし、店員は全くの無反応。反応してないというより、気づいていない。これが都会の(埼玉ですが)冷たさというやつだろうか。

今どきのコンビニらしくレジは機械に自分でお金を入れるタイプで、店員との現金の受け渡しがない。バリバリのライブ感を伝えるには逆風かもしれない。

ただ、こんなことで簡単に諦めたくはない。伝説になるべく私が取ったのは「何回も行く」という方法だ。

おしぼりはもらえなかった

30分後にもう1回行ってみたのだがやはりレジの店員はは全く気づいてない。さっきより財布をゆっくり開けてみたじゃん、なんか察してよ。

私が帰ったあと、店員同士で「さっきの客、財布バリバリじゃなかった?」と雑談してくれればそれでいい。そんなに難しいことじゃないよね?

読者の中にはそれは単なる「噂」ではないかと思われる方もいるはず。ただ考えてみてほしい、伝説というものは噂が噂を呼ぶことを繰り返してできるものだろう。そういう意味で読者は伝説の誕生に立ち会っていると言えるわけだ。もしできたら、そのことを誇らしく思ってほしい。

期待させるのもよくないので言うが、ここから先ずっとおしぼりなし

ふたたび30分後の3回目、レジの人が2回目のときと同じ店員だ。これはチャンスかもしれない。ん?チラッと財布を見たかな……。笑ってもいいところだよ、このタイミング。さっきも来たよね、俺。

ただそれは、私の祈りが自分に見せた幻覚かもしれない。はっきり言って自信がない。

想像だけは膨らんでいく。店員の引き継ぎノートに「やけに財布がバリバリ言う客が連続来店」と書かれていたら、それはもう「伝説の書」だ。

同じソーダ味でもいろんなパッケージがあるんですね

これで4回目となる30分後にまた行ってみたが、やはり反応なし。

レジ店員はこれまでとは違う方だった。連続で来る異常さは伝えられないが、新鮮な反応は期待できるかも…と臨んでみたが打ち砕かれた。

お気づきの通り、購入品はずっとガリガリ君。財布に気づいてもらえずバリバリ伝説になれなくても、30分おきにガリガリ君を買いに来る変なやつ、という認識はしてもらえるかもしれない。

ガリガリ伝説だ。保険をかけているような自分が浅ましい。 

今夜はガリガリパーティー

こうした行動を7回繰り返したことで、冷凍庫には7本のガリガリ君がたまった。起こったことはそれだけだ。伝説になる兆しは見えなかった。

7回目は購入した際、「ありがとうございました」と言われなかった。

もしかしたら、おののきのあまり感謝が立ち消えたのかもしれない。だとしたら、それは伝説の誕生にふさわしいのではないか。答えは私にもわからないのだ。


伝説の検証はこれから為される

最後の買物とした8回目は、いきなり10,000円のプレイステーションストアカードを買った。

荒ぶったわけではない。今回のタイミングでこれを買うと1000円分のボーナスがついてくるからだ。ちゃんとお得だったんだヨ。

ガリガリ君ばかり買ってた奴にしては急な行動。店員の反応はなかったものの、インパクトは残せたとは思う。もし何かを感じ取っても、現代人はその仮面を簡単に脱ぐことはないのだろう。

今ごろバイト仲間で「あいつ、なんかヤバかったよね」と話になっていれば本望だ。伝説となった者が、自分が伝説だと自覚するには時間がかかるものなのかもしれない。 

小野法師丸さんのお店  さいころテーブル
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