沖縄市コザ銀天街
沖縄の中部地区にコザ銀天街という商店街がある。もともと戦後に自然発生した「十字路市場」と「本町通り」を合併する形で1978年にできたもので一時期は他の市町村からも買い物客が足を運ぶほどの賑わいだったらしい。
Yotubeに賑わっている当時の銀天街の様子があるのでご紹介しておきたい(4:15あたりからイケイケだった当時の写真がでてくる)。
しかし、近年は客足が遠のいてしまって、昼間開いているお店もまばら、人通りもほとんどなくなんだか薄暗い通りになってしまっていた。
そして、問題になったのは老朽化したアーケード。なんせ40年以上経っているので天井のあちこちに穴が空いてしまって雨漏りも酷いし、台風で屋根の一部が下に落ちてきたりして危険だったらしい。アーケードの維持については色々協議がなされていたようだけど、2014年にアーケードを所有、維持してきた市銀天街商店街振興組合が解散してしまう。そこで行政が代わりに今回のアーケードの撤去を行う運びとなったようだ。
ちょっと話は変わるのだが、沖縄は風土的に鉄筋コンクリートの建物が多く、屋上がある建物が多い。そんな理由から私たちDEEokinawaでは色々な建物の屋上に上がらせてもらって、そこから何が見えるのか、何があるのかというものを集めている。
というわけで、せっかく取り壊しになるのであればアーケードにもぜひ上がってみたいというお願いをダメ元でしていたのだが、なんとOKをいただけてしまった(銀天街にある沖縄市商店街活性化支援業務事務所の方が頑張ってくれた)。
アーケードの上から見える景色はどのようなものなのだろう。そして、何があるのだろうか。
アーケードに登ってみる
2020年9月。アーケードの撤去作業のため足場がすでに組まれて、アーケード内はさらに暗く、迷宮みたいになっていた。
アーケードの端にある、建物の外階段からまずは建物屋上に移動する(念のためお断りしておくが、この取材は現場責任者立ち合いのもと安全を確認し行っています)。
この建物はかつては銀天街の事務所だったらしい。
建物の屋上に上がると、もう目の前はアーケードだ。ここからアーケードに足場伝いに移動する。
すごい!これが銀天街のアーケード上だ!
アーケードを歩く
最近360°写せるカメラを買ったので、ここぞとばかりに360°でもご紹介したい。
アーケードは左右の端に歩くためのスペースがあるので、ずっと歩いて移動できるようだ。
下から見上げた時も、ボロボロだな…と思っていたけど、間近で見るとかなり屋根がボロボロになっているのもよく分かる。もうほとんど屋根の役割を果たしていない場所もあった。
実はアーケードの中には電柱がないらしく、アーケードが電柱の役割を兼ねていたのだそうだ。このボックスはアーケードに隣接する各家に電気を配電するものだそうだ。
アーケードの撤去と平行して、電柱が立てられて電力を引き直す作業もおこなわれていた。ちなみに電柱にオリオンという名前が付いているが、すぐ近くにかつてあった映画館の名前から取られてるらしい。
アーケードの中間地点あたりから。
アーケード下からは見えなかったのだが、こうしてみると結構モダンな建築物が多い。もともとは本町通りという商店街に後から設置された形なので、割とオシャレな通りだったのかもしれない。
この建物の屋上にはなんとアーケード方向に出入り口が。銀天街に住んでいた人の話を聞いたことがあるのだが、子供の頃は家の窓からアーケードにおりて鬼ごっこをしていたりしたこともあるらしい。
お酒の缶が散乱している場所もあったので、アーケードの上で飲み会、みたいなこともあったのかもしれないな、と思った。
こちらは消防用のホース。
アーケード下に送水口があって、火災が起きた時はここにホースを繋いで、アーケード上で放水を行う仕組みなのだそう。過去にはなんどがボヤがあってこのホースが活躍したらしい。
色々見ているうちにそろそろアーケードの終点が近づいてきた。
大通りに面したアーケードの終点から見た景色はこんな感じ。最後にこの風景が見られてよかった…!
銀天街アーケードのその後
11月。久しぶりに銀天街に足を運ぶと、すでにアーケードは後形もなくなっていた。いままで薄暗い感じだったが、随分通りが明るくなった感がすごい。
アーケードの撤去後に建物を見ると、上下で分けてみていた建物の全貌が分かって面白い。またちょっとこの辺りを歩く楽しみが増えた気がする。
冒頭でめちゃめちゃ寂れた銀天街、のような紹介をしてしまったのだけど、今は地域活動交流拠点というものが開設されて、eスポーツ教室ができたり、ナイトマーケットが企画されていたりと色々な企画も進んでいるらしい。
アーケードという重い鎧を脱いで、身軽になった銀天街のこれからにも期待をしたいところである。