ぶち抜き駐車場に光を、沖縄県建築に愛を
というわけで、沖縄のぶち抜き駐車場、如何だっただろうか。沖縄建築についてはちょっと前に「沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶」という書籍が発売されて、その魅力について余すこと無く紹介されている(めちゃめちゃ面白いので是非読んで欲しい)。
建物に見る沖縄らしさというものはまだまだ、色んなところにあると思うのだ。
また何か面白いものを見つけたら紹介していきたいと思う。
沖縄では建物の1階にあった店舗や居住スペースを後から駐車場に作り替えた「ぶち抜き駐車場」が多いように思う。
そうやって作られた駐車場はかつて店舗だったり、家屋だった痕跡が残っていてなかなか面白い。その魅力についてご紹介したいと思う。
皆さんは沖縄らしい建築といえば何を思い浮かべるだろうか?赤瓦の建物、屋根のシーサー…などなど日本本土では見かけないものが沢山あると思う。
今回紹介したいのは冒頭の写真のような駐車場なのだが、この駐車場何か違和感を感じないだろうか。
といって分かる人はよっぽどの玄人だと思うが、実はこの駐車場は数年前まで店舗だったのだ。
数年前にその店舗が廃業した際に、工事が行われてあれよあれよと言う間に店舗の壁が取っ払われて駐車場になってしまった。
1階に店舗があったということに留意してよくよく観察してみると、確かにうっすらとかつて店舗であった残滓みたいなものが見て取れる。
沖縄では台風などの気候的な影響もあって、鉄筋コンクリート造の建物が昔から作られてきた。それ故にもともとあった一階部分をぶち抜いて作った駐車場、「ぶち抜き駐車場」を結構な割合で発見することができる。
ちょっと他県の状況が分からないのでなんとも言えないのだが、これはかなり沖縄らしい建築なんじゃないかと最近思うのだ。というわけで沖縄の「ぶち抜き駐車場」を探してご紹介したいと思う。
まずはぶち抜き駐車場の見分け方について紹介していこう。
この駐車場、よく見て欲しい。なんだか半端なところに窓がついていないだろうか。
天井を見上げてみると、こちらも何かあった形跡がある。
さらに入り口部分にも注目してみると、電灯っぽい配線が見える。
以上のことから、恐らく住居や店舗として使われていたスペースがぶち抜かれてできた駐車場であることが推察できる(と、ドヤ顔で言い切ってしまって実際そうじゃなかったらかっこ悪いのでGoogleMapのストリートビューで昔の写真も見てみよう)。
次の例を見てみよう。沖縄の建物に鉄筋コンクリート造が多いのは先述の通りだが、さらに沖縄的な特長として建物に直に店名などを書く「直書き看板」というものがある(これも台風などが影響しているのではないだろうか)。
上の写真では直書き看板が塗りつぶされた跡がある。つまり1階部分はもともと店舗だったのだ。そう思ってみると、床のタイルや柱に残るシャッターレール跡はいかにも店舗っぽい。
上の写真はどうだろうか。
駐車場の入り口上がちょっとギザギザしている。恐らくもともとあったタイル張りの壁を取っ払った際にきっちりタイル部分で壁を壊さなかったのでなんだがギザギザした部分が残ってしまったのではないだろうか。
駐車場内部の壁が一部タイル張りだったり、妙に出入り口が高い所にあるのも注目ポイントだ。
このように、なんとなく注意して見ると沖縄では結構な確率でぶち抜き駐車場を見つける事ができる。
それではこれまで撮りためてきたぶち抜き駐車場を見てみよう。
完全に天井がリビングなぶち抜き駐車場。よく見ると奥の方の引き戸も家屋でよく見るタイプのものだ。あまり見ないタイプの天井で、結構こだわりの住居っぽいのだが何があって駐車場になったのだろうか。
これはどうだろう。シーサーと電灯の場所は恐らく玄関だったのだろう。なんとなく在りし日の姿を想像できる。
何かの店舗跡のぶち抜き駐車場(読者の方から教えてもらったのだが、もともとはドラッグストアだったらしい)。
もはや用はなしていないが、使われていない天井には蛍光灯の跡が。天井も事務所なんかでよく見る感じのものになっている。
最後はこちら。これは沖縄の銭湯跡を探している時に読者の方から教えてもった銭湯跡のぶち抜き駐車場。
内部はといえば、かつてあった銭湯の面影がバッチリと残っている。
というわけで、沖縄のぶち抜き駐車場、如何だっただろうか。沖縄建築についてはちょっと前に「沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶」という書籍が発売されて、その魅力について余すこと無く紹介されている(めちゃめちゃ面白いので是非読んで欲しい)。
建物に見る沖縄らしさというものはまだまだ、色んなところにあると思うのだ。
また何か面白いものを見つけたら紹介していきたいと思う。
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