特集 2022年5月12日

10万使って弟のお祝いをホテルでしたら、ホスピタリティに溢れてて感動した

愛する弟の就職祝いに10万つかってホテルでお祝いしたら、「高級ホテルってすげぇー!!」ということに感動した。

弟の尊さと高級ホテルのホスピタリティの両方を紹介していく。

大学中退→ニート→ママチャリ日本一周→webプログラマという経歴で、趣味でブログをやっていたら「おもしろ記事大賞」で賞をいただき、デイリーポータルZで記事を書かせてもらえるようになりました。嫌いな食べ物はプラスチック。(動画インタビュー

前の記事:趣味でWeb漫画を9年描き続けた作者に、9年ファンだった読者がインタビューした

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今年の4月に、弟が転勤する。

場合によっては関西や九州に行く可能性があるらしい。寂しい。

なかなか会えなくなるし、弟が関東にいられる時間も残りわずかだ。悲しい。

それならば、東京でしかできない体験をプレゼントしつつ、一緒に最後の時間を過ごそうじゃないか!!

よっしゃ、10万使ってホテルで豪遊するぞ!!!!!

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今回は、宿泊泊先として『ザ・ペニンシュラ東京』を利用した

香港から始まり、アジア、アメリカ、ヨーロッパ地区にも展開している世界でも有名なホテルだ。

日本では東京駅近くに「ザ・ペニンシュラ東京」があり、スイートルームからは皇居の緑園を一望することができる。(今回はスイートではないが)

転勤前の弟の最後を祝うには最高の環境だ。祝うぞ!!!!

■弟に送った当日のタイムスケジュール

・13:30
集合してアフタヌーンティー

・15:00
ホテルチェックイン

・16:00
プールとかジムあるので行く

・17:30
ホテルをブラブラする

・19:00
ディナー

・21:00
部屋帰ってルームサービス頼むとかする

・次の日
朝飯をホテルで食べて帰宅

ホテルを堪能するために盛り盛りのスケジュールにした。弟を喜ばせるためのプランを考えた結果として10万かかってしまったのである。ウケる〜

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昼から集合してアフタヌーンティーに行き……
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部屋でシャンパンを飲んで……
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プールで泳いで……
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夜はコース料理を食べて……
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部屋でルームサービスを頼んでお酒を飲んで……
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朝ごはんを食べて……

「弟の就職祝い」がメインであるが、宿泊してみると「東京のホテルのホスピタリティすげぇ〜〜〜〜」という点に感動した。とにかくストレスがないのである。

高い料金を払うのは豪勢な思いをするためではなく、ストレスをなくすためなのだ。裕福な人たちはストレスを消すことにお金をかけている。

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ザ・ペニンシュラ東京の広報にメールした内容(原文ママ)

この日の出来事は個人のブログなどで書く予定だったのだが、ダメ元で広報に連絡してみたところ、

「記事掲載は問題ございません。ファクトなどの事実確認のため掲載前に一度原稿を確認させていただけますと幸いです」

という感じのなんでも受け入れ体制で了承してくれた。やっぱり高級ホテルは懐も深いぜ……!

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ちなみにこのサイトにも弟は度々でている。出始めの↑の写真のときは大学1年生だった
(弟のクリスマスデートについていって実況する より)

前提として伝えておきたいが、僕は弟が大好き。大好物と言ってもいいだろう。

10歳離れていることもあり、弟というよりも子どもの感覚に近いのかもしれない。かわいいが弟の毛穴から溢れている、それを飲みたい。

もしも、「世界と弟のどちらかを助けるか?」と問われたら0.01秒で弟を選択する。さよなら世界。

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左が弟で、右が僕。「東京のホテルに行くぞ!!」ということで揃ってスーツで行くことにした。こういうノリにも付き合ってくれるから弟は最高なのである。

そんな弟がついに大学を卒業して、2021年に就職をした。自分の手の中にいた赤ん坊が気づけば成人して社会に飛び出している。

ついに大人になったのだ。ああ、早い……!!

 

それならば、祭りをするしかないだろ!!!!!!!!!!!

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弟とは単純に仲が良い。家に帰れば朝4時くらいまでだらだらと会話している。地元の友だちのような関係。

一応の補足であるが、宿泊の代金を取材費として出してもらったり、ザ・ペニンシュラ東京から特別な待遇をしてもらったりは一切していない。

弟の体内に蓄積されるものは俺が金をだす。お前らはなにもするな、さがれ。

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13:30 〜 まずはアフタヌーンティーを堪能

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入り口が自動ドアではなく、ドアマンが構えているタイプだった。入るタイミングがわからず緊張する
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回転式のドアをくぐるとラスボスがいる城の中みたいな空間が広がっていた。奥のオブジェは浮遊して襲ってくるタイプの中ボスで、上にあるライトで回復してきて厄介。
(こんな感想を持つ凡人が泊まっていいのだろうかと不安になる)
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ちなみにアフタヌーンティーは、このロビーの左右の席で嗜むことができる

さて、まずはアフタヌーンティーからだ、楽しもう。

弟の脳のシワに俺という歴史を刻む伝説の1日が開・幕!!

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よくよく考えてみると、弟と2人でお酒を飲む機会も初めてだった。
うれしくてニヤニヤしてしまう。
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ピアノの音がいいな〜!特別な音響とか使っているのかな?と思っていたらまさかの生演奏だった。いきなり贅沢をかましてきている。
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スコーンにクロテッドクリームを塗る弟。かわいい。
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3月〜4月では、「桜アフタヌーンティー」を提供していた。桜色を中心として、新緑がアクセントになって映えている。料理は目で食べるとはこのこと。
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兄「これめっちゃ美味いわ。ミスドを高級にした味がする」
弟「他の食べ物で例えるって、ライターとして最悪じゃない?」
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兄「これめっちゃ美味い!食べてみな!」
​​​​​弟「いや、お腹いっぱいになりそうだからいいや」
兄「兄が勧めたら食べるだろ、普通は……」
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しばらく談笑していると、「就職おめでとう」のプレートが運ばれてきた

『就職おめでとう』のプレートは、僕がホテルにお願いしたわけではない。運ばれてきたときには、弟よりも驚いてしまった。

Webでホテルの予約をしたときに、「弟の就職祝いで利用させていただきます」と僕が書いたのを見て用意してくれたようだ。これぞホスピタリティ……!

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また一つ良い思い出ができました
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余談だけど、食べ終わったあとの自分の皿が汚なすぎて引いた。一回、犬が皿なめた?
もともとの育ちは同じはずなのになぁ……

よくよく考えたら推しが身内にいるって最高じゃない?

課金し放題だし、合法的に一緒に泊まれるし、遅延もサービス終了もない。永遠のコンテンツじゃん。

15:00 〜 部屋の設備に感動 

エレベーターや廊下の至るところまで高級感で溢れている。ゴミが落ちている気配を感じない。

アフタヌーンティーを終えて、いよいよ今日のメインであるホテルの部屋へ。

行く前に受付で驚いたのだけれど、客室の最上階である23階だった。(全24階)

うおお、めちゃくちゃ良い場所じゃん……!!

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うおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!
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兄「バカっぽいけど、東京のホテルに来たぞ!!って感じがする」
弟「テンションあがるな、これは」
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東京の景色を一望できる。なにかに優勝しないと見られない景色。
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風呂も広い。4畳くらいある。普通にここに住める。

いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!テンションあがりますわ!!!!!!!!!!

ビジネスホテルしか泊まったことがなかったので、部屋の広さに感動した。部屋から余裕を感じる。誰でも受け入れてくれるような包容力がある。

渋谷に初めて遊びに行ったときに蝶野正洋を見たのだが、そのときと同じオーラを感じた。雄大で壮大で厳格。

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風呂の反対側にあるドレッシングルームは映画のセットさながら

ちなみに、ザ・ペニンシュラ東京で結婚式をあげる際は、朝起きたときにメイクさんが部屋に来てくれるとのこと。

泊まって起きたら、ドレッシングルームで化粧や着付けをやってもらい、そのまま式場に行けるのだ。贅沢の極み。現実に戻れなくなりそう。

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風呂にあった世界一分厚いバスタオル。大人になった柴犬くらい重い。
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人生で見た中で一番かっこいい歯ブラシ
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傘と靴べらも備え付けてあった。なんでもあるな。
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ドレスルームには「ネイルを乾かすためだけのドライヤー」もあった。
配慮が細かすぎる。この世のすべてがザ・ペニンシュラ東京の部屋にはある。
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一番驚いたのは、ほぼすべてのアメニティにホテルのマークが入っていたことだ。​​シャンプーから歯ブラシ、ボディクリーム、トイレットペーパーに至るまで。すべてがペニンシュラ仕様。
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アメニティはフレグランスキュレーターがその土地に合わせた香りをブレンドして作っている。まず、フレグランスキュレーターって職業を初めて聞いたよ……

なんでもあるぞ、この部屋……!!

引き出しを開ければいろんなものがでてくるので、部屋を見て回るだけで楽しい。脱出ゲームみたいだ。新しいアメニティを見つけては、「おお〜〜!」としきりに感動した。

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弟「冷蔵庫に飲み物ぎっしり詰まっているけど、飲んだらお金かかる?」
兄「わからない。罠かもしれない……!」
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弟「棚にもお酒入ってた!これは飲めるやつ?」
兄「わからない。こっちの方が強い罠の可能性がある……!」
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弟「料金表あった!」
兄「コーラが690円する、怖い。階数と比例して物価が上昇している」
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弟「テーブルに置いてあるワインは飲んでいいやつだよね?」
兄「フロントに電話して、『飲んでも無料ですか?』って聞いてみようかな」
弟「さすがに恥ずかしいからやめて……」
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ワインの近くにあった白いフードカバーをおそるおそる外してみると、『ご就職おめでとうございます』の文字が。部屋にもお祝いプレートを用意してくれていた。

兄弟揃ってホテルの仕組みをまったく把握していないので、何にお金がかかるのかまったくわからない。

最終的にはテーブルに置いてあるワインの値段をネットで調べて、「払える金額だからOK」という情けない判断をした。兄としての威厳は地上に置いてきた。

(ちなみにウェルカムドリンクだったのでお金はかからなかった)

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テンションがあがっているので、こんな写真も撮ってしまう

東京を一望できる景色、そして目の前には弟。これ以上の人生があるだろうか?

否、ない。俺は今までこのために働いてお金を貯めてきたのだ。俺より幸せな人がいるならかかってこい。

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部屋自体がオシャレなので、適当に写真を撮ってもイケてる感じになる
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東京カレンダーとかに載ってそう
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マッチングアプリとかでよく見る構図の写真も簡単に撮れる。みんなこういうところに来て撮影しているのか。
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お気に入りの一枚

部屋を探索したり、写真を撮りあったりしていたら、なんだかん1時間くらい経っていた。あっという間だ。

プールに行く予約をしていたので、すぐに着替えて部屋をでる準備をした。

もう少し、弟との濃密の時間を過ごしたかったのだが、スケジュールを詰めすぎた。意外に忙しい。

ちなみに部屋の施設で一番感動したのは、このバレーボックスだ。フロントでアメニティなどを頼むとここに入れて届けてくれる。誰にも会わずに済むのだ。
そして驚きなのが、このバレーボックスに革靴を入れておくと、ピカピカに磨かれて戻ってくるのだ。魔法じゃん。サービスのしすぎで従業員が過労にならないか心配になる。

16:00 〜 プールのためだけに宿泊したい。最高。

ザ・ペニンシュラ東京の宿泊者であれば、プールやジムを自由に利用することができる。ありがたい。

「無料なものはすべて使う」、それが我ら兄弟の鉄の掟!!

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コロナ対策で着替えを部屋でする必要があり、プールまではバスローブで移動しなければならない。スーツや着物で着ている人もいたのでけっこう恥ずかしい。
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プールに到着して驚愕した。​​​​​​僕ら兄弟は学校のプールを想像していたのだ。まったく違った。扉を開けばそこはハワイだった。

「適当に泳いだら部屋に戻ってゆっくりするかー!」と話していたのだが、プールを見て硬直した。

「僕が考えた最強のリゾート地」が目の前に広がっていたのだ。

想像していた100倍のクオリティだったので、2人とも思わず笑ってしまった。想像を超えてくるものを見ると、ニヤニヤと笑うしかない。

※ プール内は撮影禁止であるため、写真はお借りしました

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プールサイドには、それぞれに専用のイスも用意されている

外を見るとスーツを着た人たちが行き交っている。僕は裸でそれを眺める。これが、勝ち組なのか。

今まで僕は、「自分が暮らせるだけのお金がもらえていればいいや」という考えて生きてきた。

しかし、このときは、本気で心から「金持ちになりたい」という欲望が湧いていた。贅沢を知らないと贅沢になろうとは思わないのかもしれない。

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身体がクタクタになるほどプールを堪能した。
潜って何メートル泳げるか勝負したり、20mのタイムを競ったり、イスでごろごろしていたり、温水プールでぬくぬくしていたりしたら、すぐに1時間経っていた。泡のように時間が消えていく。
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​​​​​​プールのすぐ側には、ジムもある。宿泊者であれば無料で利用可能。行く予定だったのだが、体力を使いすぎたのでやめることにした。

ザ・ペニンシュラ東京は現在、2人で3〜4万くらいから泊まることもできる。コロナで旅行に行けない今だからこそおすすめしたい。

「旅行気分になれる」という常套句があるが、そんなレベルではない。「旅行」と言い切れる。

都内から数分でいけるリゾート。このプールのためだけにまた来たい。

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17:30 〜 ホテルをブラブラする 

兄「スーツより、この格好で外見ている方が金持ちっぽくない?」
弟「わかる〜」
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弟「ここで歩きながら着替えるのってアメリカのドラマっぽくない?」
兄「わかる〜」

プールから帰ってきてヘトヘトな状態だが、ディナーは19時から。まだ時間には余裕があった。

ということで、再びスーツに着替えてホテル内をぶらぶらすることにした。今日はとことん遊び尽くすぞ!!!!

ロビーに設置されているソファは西陣織
地下に降りていくと枯山水も見ることができる
こちらもただの壁ではなく、左官技能士が作り上げた金箔の土壁

ザ・ペニンシュラ東京には、約90名のアーティストが手がけた1000を超える美術品が展示されている。

アートに興味ある人は行ってるみるだけでも楽しいかもしれない。入るだけなら無料だし。

地下に行くと、ガラス越しに調理過程を見ることができる。工場見学みたいだ。
スイーツやパンなどはすべてホテル内で調理されている。
ケーキやお土産が買える『ザ・ペニンシュラ ブティック&カフェ』

『ザ・ペニンシュラ ブティック&カフェ』では、お土産用の紅茶やスイーツを買うことができる。

しかも、先ほどの厨房で作られた焼きたてパンもここで販売されている。ホテルにパン屋が内蔵されている、強い。

お土産としてはマンゴープリンが有名。芸能人の差し入れなどにもよく使われる
せっかくなのでケーキを3つ買って部屋で食べることにした。
(プールを出たあとくらいから、「俺は金持ちだ」と脳が錯覚し始めていた。3000〜5000円くらいなら安いと感じるようになっていた)

ここまでホテルで様々な体験をしてみて、あることに気づいた。

イライラすることや腹が立つできごとがまったくないのである。

1日中遊んでいれば、「あの従業員ムカつく」「施設の〇〇が気にいらない」というような不満が出てきそうだが、今日はそれがまったくない。ホテルにいる従業員全員の接客がパーフェクトなのだ。

「良いホテルだ」と客側が感じるためには、突出した売りがあるだけでは足らず、サービスが均一であることも重要なのかもしれない。

19:00 〜 東京の夜景を2人で楽しみながらディナー

ディナーで利用したのは『ステーキ&グリル Peter』

せっかくホテルに泊まってお金を使うと決めたので、夜はコース料理を予約した。今日はとことんお金を使う。 

ホテルのロビーとは打って変わって、こちらは黒を基調とした落ち着いたデザイン。奥の白いスクリーンにはオリジナルの映像が投影されることも。
おお、恋愛ドラマみたいなセットだ

ホテルのディナーってもんのすごく料金が高い。

宿泊料と同等かそれ以上する。今回、ディナー料金を調べて初めて知った、驚いた。

世間の人たちはデートでこんなにもお金をかけているのか。

夜景を一望できる最高の席だった。プロポーズする場所だ……
弟「え?タルタルソースあるじゃん!」
兄「まじで!最高じゃん!!!!!!」
兄「余白がありまくる前菜だ」
弟「草がめちゃくちゃ美味くて草」
弟「世界一、美味いタルタルソースだ」
兄「これ持って帰りたい、あと3つくらい食べたい」
兄「鴨肉ってこんなにジューシーで濃厚なのか。鴨の概念が変わる」
​​​​​​弟「人生で一番、美味い肉かもしれない」

静寂を優しく包むようにBGMが流れ、ダイヤモンドのようにきらめく夜景を堪能。そして、心地よいタイミングで運ばれてくる料理。なにもかもが完璧だ。

唯一、異物があるとすれば僕らの存在だけだろう。

「最近、どんな漫画読んでる?」「引っ越して家が広くなった」など、どこにいてもできる薄い会話が延々と繰り広げられていた。ムーディーな雰囲気の中にちゃぶ台があるような違和感。

ホテルのディナーじゃなくて、やよい軒でも良かったかもしれない。

そして、ここでも就職祝いのプレートがサプライズで運ばれてきた。鬼滅の刃 無限お祝い編

21:00 〜 ルームサービスで最後の晩餐

さあ、いよいよ、今日、最後の時間だ。

ルームサービスで料理を注文して、部屋の棚に置いてある有料のお酒を飲む!俺は今日、破産するぞ!!!!!! 

ディナーから戻ると、部屋に清掃が入っていた。
犯人の押収物みたいに荷物が整理されていた。なんか恥ずかしい。
テーブルもしっかりキレイになっている
シャンプーも新しいものが補充されていた。しかも、使用済みのものは前列に残しつつ、後列に新品が追加されている。シャンプーで隊列が組まれているの初めて見た。
自宅であればだらしない格好だが、部屋と夜景の美しさでオシャレにも見える

これだけ懇切丁寧な接客が続くと、もう身体が贅沢に慣れてしまっていた。当初は緊張したこの部屋も自宅同然だ。

美人は3日で飽きるというが、贅沢は3時間もあれば当たり前になってしまう。

注文したルームサービス。このテーブルだけで6000円くらいする。
シーザーサラダはなんと3000円。うなぎが食える。

もはやシーザーサラダが3000円だろうと、5000円だろうとなにも感じない。金という名の紙を持っているから、相手に渡すだけ。

金銭感覚という名のパイロットは僕の心から旅立ちました。グッドラック。

「テレビでYouTubeを見ながらダラダラ飲みたい」という話になり、ダメ元でフロントに相談してみた。
すると、HDMIケーブルとiPhoneの変換器を部屋まで持ってきてくれた。対応が完璧すぎる……!結婚してほしい……!
豪華な部屋で、豪勢なルームサービスを食べて、YouTubeを見る。至高。
このあとも深夜2時ごろまで「好きなMVを見せ合う会」や「最近、見ておもしろかった動画を教え合う会」などをしつつ、ダラダラと過ごした

今日、1日ホテルで過ごしてわかったことがある。

部屋が豪勢でも、食べているものが高級でも、サービスが丁寧でも、当然だが2人が話す内容や行動は変わらないということだ。

この日、大笑いするような出来事があったり、将来を左右するような会話があったりすることは一切なかった。特別なのは場所だけだ。

いつもと変わらぬ会話が延々と宙を舞っている。明日になれば何も記憶に残っていないだろう。

しかし、それが最上の幸せなのかもしれない。

普段は忙しくて足元が見えずに気づくことができないが、日常の積み重ねの延長に幸せは落ちている。ホテルでゆっくりと腰をおろすことで、当たり前の幸せに気づくことができた。

休暇にゆっくりと時間を過ごすのは、幸せの再認識のために必要なのかもしれない。

1人で湯船に浸かっているときに、自然と昔のことを思い出した。そのときに湧いてきたのは、悲しいやうれしいなどの感情はなかった。感謝の気持ちだ。
​​​生まれてきてくれてありがとう。 

7:30 〜 さよなら、ありがとう

起きたらすぐに23階の景色が飛び込んできた。昨日までの出来事は夢じゃなかった。ルームサービスで豪遊して散財したこともハッキリ思い出した。
着替えてお茶を飲みながら優雅に弟の起床を待つ

7時に起床した。

4時間しか寝ていないが、ぐっすり眠れたおかげで身体は快調だった。

ホテル内で作っている焼きたてのパン
朝からテンションがぶちあがるパンケーキ
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朝ごはんは数種類のメニューから選ぶことができる。弟は中華にしていた。昨日のルームサービスも中華だったのに。ゴールデン中華斬舞。

この朝食を終えれば、楽しかった一日も終わる。最後の時間を噛み締めよう。自分の人生の栄養になるように、弟と一緒にいる目の前の光景をゆっくりと咀嚼する。

弟が社会人になった今でもこうやって一緒にいれるのだから、こんなに幸せなことはない。

人生はまだまだ長い。40歳になっても、50歳になっても、今と変わらぬ関係で歩んでいきたい。

朝ごはん食べ終わったら、弟はやどかりのようにベッドに戻っていた

僕は仕事があるのでチェックアウトより早めに帰宅することにした。

僕が期待を込めて、「一緒に出ていく?」と聞いたら、

「いや、俺はギリギリまでここで寝てるわ!バイバイ!!」

とベッドに入ったままあっさり言われてしまった。弟はこちらを見向きもしなかった。

ええ……

昨日まで、さっきまで、あんなに楽しかったのはなんだったの……

僕と弟をつないでいたのは愛や絆などではなかったのかもしれない。「ホテルの代金を出している」という事実だけだったのだ。

こんなのもう、パパ活じゃん……

お金を使うと楽しい

1日でこんなにお金を気にせずに贅沢に使ったのは初めてかもしれない。むしろ、人生で二度とないかもしれない。

豪快にお金を使ったときって、1週間後とかに「なぜ、あんな無駄遣いをしたんだろう……」と後悔することが多々ある。しかし、今回に限ってはネガティブな気持ちはまったくなかった。

「まあ、それくらいの金額だよね」という納得感がある。それくらいホテルでの生活は快適だった。

ということで、弟が転勤してしまう前に、就職のお祝いをすることができてよかった。

関西や九州に転勤してしまったら、しばらくは会えなくなるだろう。

寂しくはなるが、そんなときには今日を思い出そう。宝箱からそっと宝石を取り出すように。

改めて、就職おめでとう。

……

………

という感じで、本来であれば、最後はエモい感じで終わる予定だった。

しかし、だ。

このあとに弟の転勤先が池袋だということが発覚したのである。

 

めちゃくちゃ東京じゃん……!!!!!!

こんなに豪華にお祝いする必要はなかったのかもしれない………


お金がやばい

このホテルに行く前日に、僕は引っ越しをしていた。忙しかった……!

そしてなによりもヤバいのは金銭面だ。

引っ越しの金額やらホテル代やらで、次月のクレジットカードの引き落とし額がエグかった。しんどい。

クレジットカードの上限を超えて止まってしまい、各種支払いが止まって焦った。(電話をしたら上限を一瞬であげてもらえた。助かった)

貯金がまったくないということはないが、しばらくは節約せねば……

ホテルから帰ってきたら引っ越しのダンボールだらけだった。「夢から覚めた」という言葉がぴったりだ。部屋をキレイに片付けてくれるザ・ペニンシュラ東京が一瞬で恋しくなった。
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