特集 2018年11月5日

個包装にすれば高級感が出るのか、という実験

がんばれ!33円のキッチンタオル

個包装っていいものだ。少しずつ食べたいお菓子も保存がきくし、お土産としても配りやすい。何より"いいモノ感"が増す気がする。

なんでも個包装にすれば高級感が出るのではないか、この記事はそういう実験だ。

埼玉生まれ、神奈川育ち、東京在住。会社員。好きなキリンはアミメキリンです。右足ばかり靴のかかとがすり減ります。(インタビュー動画)

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個包装を讃えよう

先日イギリスのお土産に紅茶をいただいたとき、ティーパックが個包装されず箱に乱雑に詰まっており少し驚いた。紅茶の本場が意外と雑であることと、「ティーパックは当然個包装されているものだ」という自分の偏った認識に気づかされた。

もしかしたら日本という国はわりと個包装文化なのかもしれない(何か比較対象があるわけではないけど)。

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店の向こうが霞むことでおなじみ錦糸町の巨大なダイソーに来ました

今日はダイソーで100均グッズ、西友で100円以下の食材を揃えたので、個包装してみようと思う。お品書きはキッチンタオル、ぶなしめじ、単4電池、スポンジその他諸々です。

まずはキッチンタオルから。

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タオルたるもの今治を目指せ

 

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おなじみのこの感じ。1枚あたり33.3円(税抜)

高級感のあるタオル…と考えたら自然と今治タオルが思い浮かんだ。ブランドイメージの影響は大きなものだ、ためらいなく寄せていこう。

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なんかいいものってこういう包装されてないですか、わかりますか
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そういうのを作ろう。タオルの大きさから勘で展開図を作る
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厚紙をカットし、オモテのデザインを用意したら印刷して上から貼り付ける

実物を手に入れれば良いのだけど、わりと高かったので自分で生み出すしかない。地味な手間だなぁと思いながら始めたけど、「面倒面倒」と口ずさみながら一気に作ってしまった。知ってる、おれこういう作業が好きなんだ…。

えいやと組み立ててキッチンタオルを包装したものがこちら。

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「肌にも家計にもやさしいキッチンタオル、できました」

どうだろうか、それなりには”上質なタオル”感が出せたのではないかと思う。

厚紙も1枚20円のものなので合計60円弱くらい。売り値の100円より原価を下げたにしては上出来だろう。

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改めて元の商品。そもそも100均に「高級感」が求められるわけないのでパッケージはこれで正しい
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「綿100%の手触りを実感してください」

端だけに色がついたキッチンタオルだが、端だけ丸窓から覗かせてストライプ模様なのかなと思わせる小技を習得した。

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デイリー・ポー タオル・ジャパンのロゴを用意しました。今治らしさをドーピング
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包装を作るのは面倒なあなたへ、「既製品」というご提案

とは言え包装をイチから作るのは大変だ、そんな時間もないという忙しい現代人もいるだろう。そんな方にオススメしたいのが「既製品の箱」である。

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次は1本10円のクリップ付き鉛筆だ。正式名称をペグシルと呼ぶ

普段あまり自分で購入するものではない商品である。ポケットやノートに挟める便利なペグシルであるが、原色丸出しのそれにはどうしてもチープさも漂う。

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そこでこのアクセサリー用のボックスである
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そして梱包といえば浅草橋のシモジマである

シモジマ、梱包用品が親の仇のようにあるのでつい興奮して不要なモノも買いたくなってしまう。訪れたことのない方は一度足を運んでみて欲しい。あなたはつい不要なモノを買うだろう。

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一緒に粘着テープを薦めてくる店、シモジマ

話を戻そう。ペグシルを先ほどの箱に入れ、写真の背景を黒に切り替えれば…

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「オトナな男性のプレゼントにも喜ばれる逸品」

どうだろう、さまざまなビジネスシーンでも必須、という感じが出ただろうか。機能性抜群なステーショナリー感が醸せただろうか。このようなワンランク上の小物の演出には黒の背景が良さそうだ。

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安心のpegcilブランド

あとは筆記体である。黒地に白抜きで書けばどうにかなる。久々に筆記体使った。

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同じ手法でプリッツがプレミアムプリッツになった。いいぞいいぞ
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きみはどうだぶなしめじ

黒い包装、黒い背景で着飾ればだいたい格好がつくのでは!こいつぁ発見だ親父!と浮かれかけたが、ここで大きな壁にぶち当たる。ぶなしめじだ。

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なんだこれ

包装が黒すぎるなどチョイスもよくなかったと思うが、それにしてもなんだこれである。ただ、なんとなく希少性はありそうだ。地球外生命体のサンプルだろうか。

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Newtonの表紙?

きっと菌類と黒い箱の相性が良くない。そうだ、キノコ界のトップといえば松茸である。あいつらはお高く木箱に収まっているじゃないか、あれを目指そう。

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ちょうど余っていた木目のシートがあった。ラッキー
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これを黒い箱に貼り付けて…
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完成?

できた?ゴールに近いようで遠い。なぜか食べ物にまったく見えない。どうしたぶなしめじ。おまえ、紙ねんどみたいだぞ。

ちなみにキノコの下に敷いてある葉は家に300枚くらいあった弁当用のバレンをカットして作成した。なんでも保管しておくものである。

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数の問題かと思って3本置いてみた。うーん、箱の色が濃いのかな
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よくわからなくなって魚眼レンズモード撮ったけど何も意味は生まれなかった
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どうにもならなすぎてニヤニヤした
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木箱は伝統工芸品への近道

ニヤニヤしている場合ではない、せっかく木箱を作ったのでどうにかこれを有効活用したい。そう思い手に取ったのがこちらである。

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糸楊枝 匠

おっ、これはわりとそれっぽくなったのではないだろうか。職人により昔ながらの手法でひとつひとつ丹精込めて作られた糸ようじの完成である。木箱を使うとどこか伝統工芸品のにおいが漂う。

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今回は極力パッケージに嘘はやめようと思ったが、匠なのは嘘だ

まぁそもそも簡易的な個包装の糸ようじもあるのですけどね。それはそれで。

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元はこれである。多少なりプレミアム感が出たのではなかろうか

高級感より、むしろ専門性が醸し出されたのは単4電池だ。

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秋葉原の奥の方で売っているやつだ。 

全体的に朴訥とした雰囲気にしたことで工業用の飾り気ないパッケージ感が出た。フォントもデフォルトの小塚ゴシックである。2本セットで使うことの多い単4電池がバラ売りされていたらいい迷惑だろうな。

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スポンジはケーキだ

最後にもうひとつ。

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苦戦したのがスポンジ
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実際に洋菓子などを包装するOPP袋に入れてみる

スポンジはパウンドケーキだと思うので、パウンドケーキっぽく包装しようと考えた。この時点では高級感はあまりない。大丈夫か、このOPP袋が一番高い買い物だったのだ。

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とりあえずパッケージを3種類用意した(左側)
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さらに100均で箱と、ペーパークッションを揃えた。これに入れればどうだ

いろいろと手を加えて撮影したのがこちら。

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「ナチュラル志向のスポンジでお皿洗いも楽しく」

できたといえばできた。できたのか?

デイリーポータルZ名物の「記事を進めるうちにアリかナシかわからなくなってくる」ゾーンに突入した。まず洋菓子に見えない(黄色い側をオモテにしても見えなかった)。

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スポンジは洋菓子ではないのだ

個包装にすれば高級感が出るか、という実験

とまあ今回はこういった具合でさまざまなもので挑戦してみた次第だ。個包装にすれば高級感が出るか、という実験。答えはモノ次第、という元も子もない結論になった。

あとは包装の選び方と撮影技術だろうな、なんでも高級感が出せるようもっと精進しよう。

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今回のために導入したモノ撮り用のスタジオが活躍しました

沼の入り口に入りました

はじめて使った物撮り用の簡易スタジオが楽しかった。武器が増えるほどできることは単純に増えていく。あれもこれも欲しくなる。お金を使うほど楽しくなる、あれ…これは…”沼”か…?

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シャインマスカットは宝石を目指したけど、そもそも元の単価が高いのでお蔵入りです

 

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