漏れてる or 漏れてない?
「ひーこらひーこらばひんばひん」。30分ほど山道を進むとようやく視界が開け、源氏山公園に到着した。
椅子だ、椅子がある!死ぬかと思った…
膝がガクガク震えてるしちょうど12時過ぎだし、ここでお弁当休憩を取ることに決めた。そう。いよいよ汁漏れと向き合う時が来たのだ。
リュックは汁漏れの気配なし
袋も無事!
全然汁漏れしてない!
やったぞ。遂にトラウマを克服することができた。文字通り険しい道のりではあったが、私は自分の力で汁を漏らさずにここまで来れたのだ。中学生の私に言ってやりたい。「お前、30年後には漏らさないぞ」と。
でもあと十数年したら違う意味で漏らすようになってるかも。汁漏れしてないと弁当が3割増しで美味しく感じられる
しかし食べ終わった後の弁当箱を見て、妻と首をひねった。
とはいえ汁の量はこれくらい。リュック全体がビチャビチャになるなんて、そもそもあの時母親は弁当箱に何を詰めたのか?あら汁かなにか?
全然終わってなかった
ともかく忌まわしい思い出とはオサラバできた。あとは汁と共に脳内から漏れ出てしまった鎌倉自体の思い出も上書きするのだ。
行くぞ!
と思ったが地図を見て愕然とした。まだ半分も進んでない…
まだまだあの山道が続くことに溜息が出たが、まずは公園からほど近い銭洗弁天に向かう。
まったく覚えてなかったのに、入口の洞窟を見て一気に記憶が蘇える。確かにここ通ったわ!
それで多分、境内のこのトイレでリュックを洗ったんだろう
なんだ?どうやら弁財天の使いである白蛇が好む生卵を境内五か所に奉納できるようだ
どうせなら中学生の時にやってないこともやろう
卵がなくなったザルで銭を洗う。実はこれをやる前に通常のザルも購入して銭を洗っていたのでご利益凄そう
念願叶って普通に銭を洗えた。今回はリュックも無事だ。圧倒的な金運を願う
さらに険しくなる山道
銭洗弁天を後にすると再びの険しい山道である。
くだりの角度がえぐい。リポビタンD状態で妻と手を取りあう
ロープ出てきちゃったよ…。どちらかというと中1の時の筑波山遠足になってきた
中学生の時はこんな険しい道を歩いてないと思うが、あの頃だったら皆でキャッキャ言いながら進んでいただろう。大人になって汁漏れしない知力は得たが、体力は失った。
約2時間半でようやく踏破。最後のこの階段で完全に膝をやられてることに気づいた
ポストカードみたいな光景
ハイキングコースを抜けるとすぐそこが大仏で有名な高徳院。予想はしていたが、大仏周辺はとんでもない人出だった。ちょうど桜も咲いてて一番良い日だったのかもしれない。普段は人の多さに辟易するタイプだが、今回は山道が終わったことを実感できてホッとする。
AIで出力したような光景。周囲の人も「なんかポストカードみたいだね」と言っていた
それにしてもこんなにインパクトのあるものを見たのに記憶がないのだから、よっぽど汁漏れによる精神的ダメージが大きかったのだろう。
昔、この大仏に赤い乳首が描かれていた事件はハッキリ覚えてるのに…
長谷寺にも寄って境内から海を望む。今回、目と足で鎌倉の高低差をしっかり認識した
最後は鎌倉駅周辺散策
これで目的はほとんど達成できたが、修学旅行といえばお土産。最後に大好物のお菓子を購入するため、乗車率120%くらいの江ノ電で鎌倉駅へ向かう。
ところがお目当ての「こ寿々のわらび餅」は既に売り切れ
なんか締まらないので、カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュのパフェでゴール!
「汁漏れを克服し、鎌倉を代表する観光地をあらためて堪能する」というテーマを完全に達成できた。途中の山道は辛かったが、数日経った今ではそれも「今度は装備をちゃんとしてもう一度歩こう!」くらいに思えるようになった。
嫌な思い出は脳内から完全に消し去るのも良いが、あえてもう一度やり直して記憶を上書きするのもあり。そんなことを学んだ30年振りの修学旅行だった。
鼻血と鎌倉
実は鎌倉にはもうひとつトラウマがある。高校生の時に初めてダブルデートをすることになった時のことだ。鎌倉駅で知人のカップルと待ち合わせて4人で小町通りを歩き出した途端、私は何故か大量の鼻血を吹き出してしまった。
すぐに近くにあった森永LOVEに入りトイレの個室に籠ったのだが、鼻血は一向に止まる気配がない。20分くらい便器に座り込んでいると、相手方の彼氏が「石井君、大丈夫?外に個室待ちの行列ができてるよ」と呼びに来てくれた。
仕方なく鼻にティッシュを詰めた状態でダブルデートを続行したのだが、(なんでこういう時に限って私にだけ最悪の事態が降りかかってくるのか…)とダサ過ぎる己の境遇を呪った。
それ以来、小町通りも若干苦手な場所なのだが、それもいつか克服できればと思う。
あえてもう一回鼻血を出して散策すれば良いのだろうか?小町通りはとりもちさんの記事でお楽しみください
編集部からのみどころを読む
編集部からのみどころ
鎌倉vs汁漏れのような記事でした。でも旅の最中、ずっと変な心配していることってありますよね、そんな誰も触れなかった旅のちまちましたところを見せつける記事でした。
今回も石井さんによるおまけ記事「石井公二のおいしいもの手帖」があります。汁漏れとか鼻血とか書いておいて、急にラグジュアリーな雰囲気にある狂気を味わってください。(林)
※このリンクからお買い物していただくと運営費の支えになります!
はげます会限定連載「石井公二のおいしいもの手帖」第2回~「湘南クリエイティブガトー 葦」の湘南チーズパイ~
前回から始まったはげます会限定の連載、2回目です。今回の行先を鎌倉に決めたと同時に、お菓子紹介はこれにしようと決めてました。
この先は「デイリーポータルZをはげます会」会員向けの有料コンテンツです。会員になるとごらんいただけます。