イントロの復権
歌う側と聞く側という従来の関係性を越えて、みんなで一緒に曲を作り上げていく楽しさが前口上にはあった。また、演歌やムード歌謡に留まらず、あらゆるジャンルの曲に適応可能であることも今回判明した。カラオケの新しい楽しみ方が誕生したのだ。
音楽の視聴環境の変化に伴い、近年イントロは短縮化の傾向にあるそうだ。しかし前口上の楽しみが普及すれば、イントロの重要性も見直される日が来るかもしれない。
第2試合チャレンジ部門は、今この場で佐藤さんから課題曲が発表される。
『津軽海峡・冬景色』は前口上にピッタリの曲だが、あとの2曲は難しそうだ。『ROSIER』は前奏に河村隆一のシャウトが入るのをどう活かすか?『マツケンサンバⅡ』はなにより1分間もある前奏が問題だ。それだけの時間を言葉で埋め尽くせるだろうか?
ところで歌い手の佐藤さんとは全員が初対面だったので、一回戦はどうしても曲かアーティストについての語りになってしまった。しかし本来、実際に歌う人が気持ち良くなってこその前口上。そこで少しだけ佐藤さんへのインタビュータイムを設けた。
曲、アーティスト、佐藤さん。それらの要素を踏まえ、制限時間10分の前口上シンキングタイムスタート。
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果たして初代王者という輝かしい栄冠は誰の手に?
本来は1回戦の点数が悪い順に披露すべきだが、華麗なる逆転劇を期待され私がトリを飾ることになった。
それではまず、唐沢さん『ROSIER』とやなせさん『マツケンサンバⅡ』の前口上を続けてご覧頂きたい。
唐沢さん、河村隆一のシャウトをそのまま前口上に取り入れるという奇策で勝負に出た。
そしてやなせさん。『マツケンサンバⅡ』担当が決まった瞬間に負けの気配が漂ったが、ラテン、松平健、佐藤さんの人生などを60秒間に見事に詰め込んでみせた。
この2人、私の実力を120%発揮するには申し分のない相手だ。本当に呼んで良かった。だが君たちに見せてやる。競技発案者の意地とプライドを。
それではこの日最後の試技をとくとご覧あれ(若干これまでの動画と雰囲気が違うが、お気になさらず)。
大トリのプレッシャーに委縮した私は、オーソドックスでひねりのない、完全に置きにいった前口上を披露してしまった。
その場にいた全員が、たとえ失敗しても良いから一発逆転、ホームラン狙いの豪快なスウィングを私に期待していたのだ。それなのにめちゃくちゃバットを短く持ったコンパクトなスウィング、いやバントを見せられたせいで、部屋には期待外れの空気が漂う。
このリポートを書いている今この時も自分の失敗が悔し過ぎて、少しでもクオリティを上げるために私の動画だけ情景写真を入れ込んでしまった。
…それじゃあ、採点にいきましょう。
・唐沢
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林:途中で急にシャウトするという解釈はありだと思うので、独自性を満点にした。同時に叫んだ瞬間驚いて、その後の理解が追い付かなくなってしまったのでフレーズは低くした。
佐藤:やっぱりシャウトした部分は気持ちがこもっててロック魂を感じました。5点引いたというより満点にはしなかった、という感じ。
・やなせ
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林:千葉真一が千葉県にいったりイヤイヤ期が暴れん坊将軍にいったりフレーズは満点。「プルルルゥヤッフゥ〜!」からはじまる独自性も尺も良し。どこも悪い所はないが、強いて言えば発声の迫力があり過ぎ。
佐藤:満点です。前口上は静かにやるもの、という固定概念を冒頭の「プルルルゥヤッフゥ〜!」で覆してくれた。短い準備時間でこんなに長い前口上を尺ピッタリにおさめるというテクニックも素晴らしかった!
・石井
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林:尺や節回しはテレ東の演歌の番組を見ているような自然さがあった。悪くはないけど「何かのパロディか?」ってくらい先行事例をなぞり過ぎていた。保守の良さっていうのもあるとは思って、僕の親世代だったらこれが正解なのかも
佐藤:「これ私の知ってる前口上だ」っていう安定感はあった。この曲を歌うのは初めてだったが、気持ち良く歌に入れた。ただやっぱりどこかで聞いたことある感があったので、マイナス5点
以上ですべての前口上は終了。第1試合と第2試合を合計した最終得点はこちら。
歌う側と聞く側という従来の関係性を越えて、みんなで一緒に曲を作り上げていく楽しさが前口上にはあった。また、演歌やムード歌謡に留まらず、あらゆるジャンルの曲に適応可能であることも今回判明した。カラオケの新しい楽しみ方が誕生したのだ。
音楽の視聴環境の変化に伴い、近年イントロは短縮化の傾向にあるそうだ。しかし前口上の楽しみが普及すれば、イントロの重要性も見直される日が来るかもしれない。
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