ほっともっとの弁当うまい
この“牡蠣だめし”を一通り終えた後、昼食にほっともっとの肉野菜炒め弁当を食べた。
本来の方法でない食べ方でさまざまな食材を食べた後だったので、肉野菜炒め弁当がいつもの20倍くらいうまく感じた。
牡蠣が大好きだ。
しかし、5年ほど前に牡蠣アレルギーを発症してから、牡蠣が食べられないでいる。
牡蠣を食べると死にかける。
牡蠣がおいしくなるこれからの季節、あの幸せな味をもう一度味わいたい!!その一心で代替食材を探し、私的牡蠣を見つけることができた。
この記事は、すべての“牡蠣が食べたくても食べられない人”に捧げる。
わたしは牡蠣アレルギーだ。
医者から宣告されると完全に終止符を打たれる気がするので意地で検査は受けていないが、牡蠣を食べるとパーンと高熱が出たり、気道が狭くなって息苦しくなったりする。
今は食べられないが、元々は牡蠣が大好きで旬になるとありとあらゆる方法で食べていた。
好きなのに食べられないのは本当につらい。
牡蠣が食べられない冬は拷問に近い。
特に
「牡蠣食べたいのに牡蠣小屋の前スルーの刑」
や、
「定食メニューでカキフライ定食を選べないの刑」
は、前世でどんな悪いことをしたら受けなきゃいけない罰なのか本気で知りたい。
そんなつらさを引きずりながら冬を迎えたくない!!
牡蠣への熱量のあまり前置きが長くなってしまったが、そんな想いで、牡蠣の代替食材を探すことにした。
できるだけ牡蠣に近い食材を探したい。
でも、牡蠣に代わるものを思い浮かべても、
バター→マーガリン
肉→大豆ミート
のようにぱっと思いつく食材がない。
そこで、
① 味
クリーミー、磯の味、濃厚、ちょっとした苦み
② 食感
プリプリ、ヌルッとしている、柔らかい
③ 見た目
乳白色、一部黒い
これらの要素のいずれかに当てはまるものを探し、牡蠣でよく使われる調理方法を用いて、牡蠣の代替食材を探すことにした。
この要素を書き出してわかったことは、牡蠣の味は言葉で表現しにくいということだ。
味を思い出しながら書こうとしたらなかなか筆が進まず、わたしはあれほど大好きだった牡蠣の味をついに忘れてしまったのか…と、わりとしっかり落ち込んだ。
牡蠣が食べられる人に聞いて回ったら、味に関してははっきり答えられる人が少なかったので、みんなそうなのかと安心した。よかった~。
3つの要素を元に、近所のスーパーで食材を買ってきた。
この中から未来の牡蠣が新たに生まれると思うと気分が高揚してくる。
大きな期待を背負って集まった食材はこちら。
これらの食材を下記のように組み合わせ、牡蠣を目指す。
① ミルクプリン×青のり=生ガキ
② なめこ×蟹みそ=生ガキ
③ 舞茸×しじみ汁×焼く=焼きガキ
④ 青のり×なめこ×餃子の皮×フライ=カキフライ
⑤ 蟹みそ×ごま豆腐×餃子の皮×フライ=カキフラ
① 【失敗】ミルクプリン×青のり=生ガキ
プリン×醤油=ウニと同じ原理で、牡蠣の味が再現できるに違いない。
そんなひらめきと共に生まれたレシピが、このミルクプリン×青のり=生ガキだ。
これを思いついた時「おもしろそうだしやってみたい」という前向きな感情と、「でもこれ食べるのわたしだよね」という後ろ向きな感情が時間差で訪れ、なんとも言い難い複雑な気持ちになった。
撮影したのは土曜日。
正直休みの日の朝から何をやっているんだと思ったが、ひらめいた以上は試す義務がある。
早速いただきます。
全然牡蠣じゃない!!!
ミルクプリンのあま~い味と青のりが発する磯の香りがガチ喧嘩している。あまりの衝撃に1分ほど固まってしまった。なぜこれでいけると思ったのか、過去の自分を疑った。
一発目から相当なダメージを負った。
※ミルクプリンと青のりはこの後別々においしくいただきました。
牡蠣度 ☆☆☆☆☆
別々に食べた方がおいしい度 ★★★★★
過去のあやまち度 ★★★★★
②【失敗】なめこ×蟹みそ=生ガキ
期待大の食材・蟹みそがここで登場。
見た目も、あの独特な味も香りも、限りなく再現できるのではないかと思いセレクトした。
これをなめこでちゅるっといただいたらもう完全に生ガキ。そう、生ガキに違いない。
残念ながら、これも牡蠣とはほど遠かった。
味も食感も分離していて、なにを食べているか聞かれたらそのまま「なめこと蟹みそを食べている」としか答えようがないくらい分離している。
海の幸と山の幸、奇跡のマリアージュ!
…とはならず(書きたかった)
牡蠣度 ☆☆☆☆☆
蟹みそ度 ★★★★★
なめこ度 ★★★★★
③ 【失敗】舞茸×しじみ汁×焼く=焼きガキ
次の食材にいくのが怖くなってきた。
「アレルギーでも再びあのおいしい牡蠣が味わえるのでは?」という輝かしい希望が、徐々に恐怖へと変化したのだ。
3パターン目は見た目勝負に走った。
舞茸ってなんとなく牡蠣に似てない?ただそれだけだ。
今までの中で一番料理っぽい味がするが、牡蠣らしいあの磯の香りは一切なし。
撮影してくれていた牡蠣アレルギー仲間に食べさせたら、ここに来て突然「メロンの香りがする」と言い出した。ついに舌がぶっ壊れたようだ。
牡蠣度 ★☆☆☆☆
醤油に助けられた度 ★★★☆☆
舞茸うまい度 ★★★★☆
④【失敗】青のり×なめこ×餃子の皮×フライ=カキフライ
生ガキや焼きガキもうまいが、やはり大好きな牡蠣をめいっぱい楽しむにはカキフライは外せない!
ということで4パターン目はカキフライを目指し、餃子の皮に青のりとなめこを優しく包みフライにしてみた。
2つあるのはのちに出てくる「⑤蟹みそ×ごま豆腐×餃子の皮×フライ=カキフライ」と一緒に揚げたため。
まずは④青のり×なめこ×餃子の皮×フライ=カキフライを実食。
フライになっている分食べやすいが、やはり青のりとなめこが分離していた。食べてから先ほど生ガキなどといって似たような組み合わせを食べていたことに気づいた。
フライの力を持っても、海の幸と山の幸はカップル不成立~!
牡蠣度 ★★☆☆☆
ソースに助けられた度 ★★★★☆
あきらめモー度 ★★★★☆
⑤ 【成功!!】蟹みそ×ごま豆腐×餃子の皮×フライ=カキフライ
最後の1つ。ここまでうまくいかないとだんだん言葉数も減ってくる。
これで全部「牡蠣には代えられない」で終わってしまっては、編集部の橋田さんに原稿を出しづらい…お願いだ、なんとか牡蠣であってくれ。
わずかな希望を託し、食材を餃子の皮に包む。
圧倒的牡蠣!!!!!
今まででの中で一番牡蠣!!!!!
ごま豆腐のまったり感、蟹みその磯の香り、少しじょりっとした食感、見た目、すべてがまさしく牡蠣。
あくまで豆腐なので本物の牡蠣に比べるとちょっとゆるい気がするけど、牡蠣が食べられないわたしにとっては十分納得のいく結果となった。
最後まであきらめなくてよかった。
牡蠣度 ★★★★★
あの懐かしい味度 ★★★★★
達成感 ★★★★★
今年の冬はこれで乗り切れそう。
でも…
結論、やっぱり牡蠣が食べたい!!!
この“牡蠣だめし”を一通り終えた後、昼食にほっともっとの肉野菜炒め弁当を食べた。
本来の方法でない食べ方でさまざまな食材を食べた後だったので、肉野菜炒め弁当がいつもの20倍くらいうまく感じた。
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