子どもの頃「臭い」ってそれだけでエンタメじゃなかったですか?うんこが臭い、ぎんなんが臭い、と言ってはゲラゲラ笑っていた気がします。だから最近は自分の体臭を嗅ぐたびに、こう思うことにしています。「もしかして俺っていま、エンターティナーじゃね?」
それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご招待しましょう!
書き出し自由部門
犬が持つ本質的な哀愁を見事に引き出している。
ゲームオーバーよりもゲームクリアするほうが悲しかった。
もんぜん
ちょっと歩くのはやいって。前の勇者は合わせてくれたよ。
暖簾の部屋干し
ドラクエの戦闘不能になったメンバーが、棺桶になってついてくる様子が好きだった。
寝坊した朝にも、ごみ回収車のメロディは優しい。
ろっさん
隣の立ち食い客に、そんな妄想を抱くだけで日常は変わる。
わき汗すごいね。長岡の花火大会みたい。
いちもくれん
「やすぴか上等!」が口癖の少しめんどくさい叔父さんが来る季節だ。
にら将軍ハルナ
やすぴかの意味が気になりすぎて採用!
「ちょっと長すぎじゃない?触角」お局様は、今日も新入アリいじめに忙しい。
さくさく
鏡月、宅飲みの後の雑魚寝、眩しくてもう戻れない瞬間。
さくさく
あの頃の雑魚寝は楽しかったね。中年の雑魚寝はいびきだらけで地下牢に閉じ込められた気持ちになる。
「許さない」と「許す」を繰り返すことで発電していた。
suzukishika
デジタルの0と1をアナログに当てはめると「許す/許さない」になるのかもしれない。
休み明け、自動音声と留守番電話の不毛な戦いが起きていた。
さらり
胸の奥にある何かを、ひとつずつ腹の底へ沈めるような呼吸が聞こえる。目の前の妻が知らない人に見えた。
七世
注文した焼き魚が通っていなかったと聞かされた彼は、口数が減り、目の焦点が定まらず、グラスを倒し、刺身に醤油をつけずに食べた。今は袖が煮込みに浸かっている。
カズタカ
畳み掛けるような失意!笑
専門家に聞いたところ、へへっ、という回答が返ってきた。私も、へへっ、と返した。
ウウタルレロ
「えっ、椅子上げた?」ペダルを踏み込みながら志保が言った。独り言ではない、後ろで鼻歌みたいな返事をしているのが麻衣子。いつもこの交差点で漕ぎ手を交代する。
井沢
志保と麻衣子の両立場になって反芻してみる。反芻してるのが汚いおっさん(自分)であることも含めて最高。
そのピアニストの手首はホルマリン漬けにされたが、左手の行方はようとして知れない。
ぐるりん
つづいては規定部門。今回のお題は架空のSF温泉小説『宇宙温泉 ユノハナ』の書き出しを募集しました。いつもとは一風変わったお題でしたが、各作品の世界観がゆるやかにつながっておもしろい試みになりました!
規定部門『宇宙温泉 ユノハナ』
惑星ユノハナの源泉は宇宙巨人アトラスの涙である。
いずも
設定の核となる部分、頂きました!
宇宙船にはシャワーしかないから、母星を発って初めての湯船だ。
金平糖
⏩ 規定部門『宇宙温泉 ユノハナ』つづきます