特集 2026年4月20日

書き出し小説大賞 302回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


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千鳥の鬼レンチャンとは、歌の得意なタレントが音程を間違えずに、課題曲を連続10曲歌いきると、賞金100万円がもらえるというテレビ番組で、視聴者はそれを見守るだけでよい。私もつい見守ってしまう。猫がある画面に飛びついたり、赤ちゃんが特定のCMで泣き止んだりするのと同じだと思う。
それでは今週もめくるめく書き出しの世界を見守ってください。

書き出し自由部門

 

あまりにも若葉が若葉だったので、僕は窓から家出した。
タカタカコッタ

この季節ふいに襲う名前のない感情がまぶしく書かれている。

もう春ですね。本当に憎たらしい。
まおん
『中古ドラゴン、売ります。』
フェノール藤宮
「だーれだ?」がじんわり温かい。
もろみじょうゆ

当てるよりまず感じろ。

沈み込んだ彼女の重みが僕の生を引き延ばす。
なかもりばなな
グリコの「リ」が通り過ぎる。公園の入口でひとり、コーラが苦い
なかもりばなな

なんだろう?子供のジャンケン遊びかな?と分かる瞬間が楽しい。

「匂いで気絶した事ある?」先輩が寮の鍵をあけながら言った。
温いはんぺん
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寒冷前線が僕の街と君の町を繋いでいる。
みよおぶ
春らしい、モヒカンに仕上がりました。
たこフェリー
自分が追えないそのひとを、モンシロチョウがついていく。
七世
ドアノブを針金でしばっただけの屋上。呼ばれずとも集まるメンツ。来週は、卒業式だ。
七世

ロングショットと、それぞれのメンツが描かれた短冊状のコマが浮かびました。

信じてると信じたいは反対の感情であることを、私は彼から教わった。
わたっこ
前を歩くおじさんの鼻歌を捕まえ、変調して戻した。
ぐるりん
カップヌードルの汁を完飲して縁石から立ち上がった男は、父だった。
井沢
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道に落ちた羽が風の向きと逆に揺れている。
せりの根

なんか見たことある気がする!耳かきで記憶をほじられるような作品。

無造作に刈り上げた後頭部に絆創膏が頼りなく付いていた。
ビールおかわり
たとえどんなに簡単そうなつくりの棚でも、作り方を見ながら組み立てることをおすすめします。
ウウタルレロ

どんな簡単な組み立て式でも、何かしらのトラップがある。

20歳の時に助けたタレはしっかり秘伝になっていた。
吉田髑髏
青春の終わり際、滑り込んできた憧れで、僕の人生はメタクソに壊れた。
正夢の3人目
ちぃちゃんはキャラクターを模したマシュマロを、躊躇なく焚き火に焚べた。
prefab
殴られるわ、金盗られるわ、はえ縄漁の糸絡まるわ。
ガンダーラ磯崎

泣きっ面にはえ縄漁。

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つづいては規定部門。今回のテーマは『リスタート』でした。いつでもやれる、何度もできる──それがリスタート、つまりやり直しのいいところです。

規定部門・モチーフ『リスタート』

仕方ない、またファンになってやるか。
吉田髑髏

昔、尊いのはアイドルだけだった。でもいまはあの頃の自分も含めて尊いと思える。

初恋相手と再婚します。
吉田髑髏
嵐の中、俺はリスタートした。
いそうろう

⏩ 規定部門・モチーフ『リスタート』続きます

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