特集 2026年2月16日

書き出し小説大賞 300回秀作発表

規定部門・モチーフ『鬼』つづき

デート中ずっと、鬼教官は無口だった。
いちもくれん
鬼はただイルミネーションを楽しみたいだけだった。
いそうろう
ボーカルが鬼でギターも鬼なら、それはもう鬼バンドと言ってよい。
いそうろう

鬼バンドという概念が、同時に人間バンドという概念を生む。

節分の夜、豆をぶつけた相手が翌朝クラスに転校してきた。
田中えっぬー
ジャージを穿き竹刀を持てば私は鬼になれた。
g-udon
あのときの豆は貫通せずに俺の身体に残ったままだ。
寂寥

憎悪の証だった豆はいつしか鬼のアイデンティティになった。

鬼はカーディガンを羽織って、ランチに行った。
もんぜん
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小さな傘を差した鬼の両肩が雨に濡れている。
ぐるりん
赤鬼は、ほんとうに悲しいとき歌うという。
えむけい
曖昧な表情で振り返り、曖昧なお辞儀をした鬼がゆっくりと座席を倒して来た。
哲ロマ

スキマからずっと鬼の後頭部が見えてた。

トラ柄が届くまで、ゼブラ柄で過ごした。
寿三

車検の代車的な代パンツ。

「来年の終わりすらもう始まってるんですよ」と鬼が言う。
たこフェリー
ツノの周りが痒いと伝えられずシャンプーが終わった。
タルク石
緊張する僕、隣にキャバ鬼が座った。
ろっさん
シュークリームをかじる俺を、シュークリームのようにかじる鬼。
素が関西っ子No.1
べつに。鬼だからって変な柄のパンツを履く訳じゃない。私は私で、個人として、好んで!この柄のパンツを履いているだけ。
いか

強調するほど信じてもらえないスパイラルに堕ちた鬼。

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彼らの種族は「鬼は外」と追いやられた事で太陽を浴び、走り回った結果、元気で頑丈な体へと進化を遂げた。
セッドあとむ
角と頭皮の境目に汚れが溜まると、頭皮が腫れ、重症だと角が根元から落ちる角周病に罹る。
prefab
あれは一度押してから出るタイプの角だ。
かつを
悪い子は居ない。泣き声も聞こえない。買い置きのカップラーメンも食べ尽くしてしまった。長い夏だ。
カズタカ
あの人の血で炊いたご飯だ。私の身体に鉄の味がしみ込んでいくのを感じる。
青一月

血で炊いたご飯というイメージが鮮烈。鬼族がまたひとり。

鬼。あれが本物の鬼か。では、この温かい17本の角を持つ私は一体何なのだろう。
カニカマもどき

なんだろう??? マジで気になる。

運ばれて来た天麩羅蕎麦御膳を前に、メニューの写真とまったく一緒なのも不気味なもんだと鬼は思った
ねもっ血風クン

鬼じゃなくてもぜんぜんいいだろ!笑

赤鬼は火を操り、シャンパンゴールド鬼はシャンパンタワーをつかさどる。
葱山紫蘇子
あ、この鬼、あんまり腕を組み慣れてないな。
ウウタルレロ
氏名は金棒のグリップエンドに記入すること。
タカタカコッタ
「てがみをかくね」と言い別れた鬼から十年後、速達が届いた。
南極行太郎
鬼の早さで仕上げる美容室、仕上がりを確認するまもなく閉じられた三面鏡の風圧でヘアセットが完成する
暖簾の部屋干し

「閉じられた三面鏡の風圧」がたしかに感じられる秀作。

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それでは次回のお題を発表します。

次回モチーフ
『それっきりの人』

たとえば街角で一瞬だけ言葉を交わした人、旅先で見かけただけの名前も知らない人、それっきりなのに妙に印象に残った人、記憶から消えない人を描写してください。実体験でも、完全にフィクションでもかまいません。書き出し小説なので、ひょっとしたらその人は後の重要人物だったり、大切は伏線かもしれませんがとくに回収を考える必要なありません。なぜなら書き出しだけなので。
締切は3月20日。発表は23日を予定しています。下記の投稿フォームからご応募ください。力作待ってます!

最終選考通過者 今回はなし

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