特集 2024年4月19日

書き出し小説大賞 278回秀作発表

書き出し規定部門・モチーフ『あの頃』つづき 

「こどもの店」がまだ木造で、中原の生協がまだ応神スーパーだった頃、フミアキのザンギエフは連勝を止められていなかった。
高田

高田さんの作品を含め以下数作は思い出を丁寧にトレースしたもの。言葉の具体性が「あの頃」を引き寄せる。

チェリオのBIGサイズがある自動販売機、パン屋のくせにノートも売ってる学校前のヤマザキ、ピザまん。
葱山紫蘇子
モンゴリアンチョップという高橋くんのギャグ。ポケットに突っ込んたぐちゃぐちゃの紙ヒコーキ。縦笛をバットにした野球。
もんぜん
あぁ、やっぱりこの路地は重過ぎる。膝裏に当たるスパイクの袋。分からない先輩の話。野球部のエースと付き合い始めたあの子。返されたコミックス。
なかもりばなな
ファンシーショップの店内の香りに似ている香水を今でも探し続けている。
魚子
シマダヤのゲーム機は左ボタンの反応が悪い。押し方のコツを掴んだ矢先、田沢が転校すると知った。
marbarc
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あのダサいスーパーの駐車場でしたファーストキス返してくんない?
S.マウンテン
ドラゴンクエストがIVでファイナルファンタジーがⅢの頃、僕は女神転生Ⅱが大好きだった。
高田
手巻き寿司はいまもごちそうだし僕はなまけもののままだ。
寂寥
初めて買ったCDは工藤静香のベストアルバムである。
節度亜図夢
当時はエリンギなんて一般的ではなかった。
いそうろう

確かに(笑)そう言えばいまみたいに美味しいトマトもなかった。

テストの裏に、壮大なゲルニカもどきを描いた三時間目。
にら将軍ハルナ
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あんなに眠かった日々はない。
おの

高校時代の午後の授業の記憶がない。

まだ、主人公でいられた。
早百合
オムレツサンドのクーポン券をぷちぷちと指で切り取りながら、前の戦争の時にな、と老人は話し始めた。
xissa
あの頃に戻るなんて残酷な選択はさせたくない。だけどあの頃に戻らないともうどこにも貴方はいない。
桃とペンギン
夕食後の食パンだけが、真に空腹を満たしてくれた。
おもち
うさぎのミー、覚えてる?結局、どこでみつかったか知ってる?
白石ポピー

不穏なホラーみ、よい。ひそひそ話は書き出しにぴったりな手法かもしれない。

ピンク色した姉のお下がりの自転車を、父が黒のペンキで塗ってくれた。間も無く塗装はまだらに剥げ落ちウミウシのような模様になったが、私は気にせず乗っていた。
g-udon

ウミウシ模様で絵がばっちり浮かびました!

思い出話に花が咲く。私は肥料だ。
suzukishika
奥歯が何でも砕いてくれた。
ねもっ血風クン
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それでは次回のモチーフを発表します。

次回モチーフ
『内容言っちゃてるタイトル』

次回のお題は「内容言っちゃってるタイトル」です。よくラノベである手法ですが、たとえば「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」みたいなやつです。そういう感じで内容がだいたい分かる小説の題名を考えてください。ラノベっぽいものではなく純文学や推理小説でも面白いと思います。ちょっと変形のお題ですが、よろしくおねがいします。締切は5月15日、発表は17日を予定しています。力作待ってます!

最終選考通過者

葉 南極行太郎 鯨谷いさな prefab いずも もろみじょうゆ のののて

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