特集 2024年3月15日

書き出し小説大賞 277回秀作発表

書き出し規定部門・モチーフ『悪魔』つづき 

いつだって悪魔の方が「正しい」。
suzukishika
「紀元前までは神だったんですよ」悪魔は悲しげに笑った。
吉田髑髏
昼夜問わず、祈りも不要。神なんかよりよっぽどいいさ。
早百合

サブスク悪魔 

心の刺し所を吟味するかのように、奴はじっとりと見詰めてきた。
のののて
「お会計は666円です」男はニヤリと笑って、丁寧に小銭を並べた。
タクタクさん
もう数枚は値切れたな。男は、ユダと名乗る青年に銀貨三十枚を渡しながら心の中で毒づいた。
ノメ
目の周りの黒が流れ落ちるのも気にせず、悪魔は泣いた。
ぴすとる
午前0時、合わせ鏡の奥から申し訳なさそうに悪魔が現れた。
ろっさん

閉店後ののれんをくぐるサラリーマンのように

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地獄の最下層、永遠に終わらぬ確定申告の部屋へようこそ。
S.マウンテン
ベロニカはサロン帰りの指先を惚れ惚れと眺めた。長く、尖っていて、血のように紅い。これは女の武器だ。物理的にも。
げたのにつけ
部屋は月明かりも入らない。けれども、その姿ははっきりと見える。
七世

「暗闇より暗い存在」ということが伝わる巧みな描写

「奇遇だね。今、目の前にもいるわ」恋人の視線は逸れることなく注がれた。
砂鋏
寝顔だけは天使なのが憎たらしい。
早百合
叔父が悪魔と罵倒されたその日から私は悪魔の姪だ。父は悪魔の兄で祖父母は悪魔の親である。母は素知らぬ顔をしている。
首廻り寝具
禍々しい結晶は膀胱へ向かった。
タルク石

結石クラスタには恐怖の一文

悪魔は主人を選べない。嵐の中の風見鶏のように。
南極行太郎
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最高の笑顔。そしてこのセリフ。「もう充分生きたろう?」
おの
悪魔がわたしのちょうちょを潰しちゃった。ちょうちょじゃないかも。
白石ポピー
葬儀場までの道順を見習い悪魔が尻尾で教えてくれた。
g-udon
Excelの悪魔はセルをすべて結合した。
寂寥
売った魂が転売されていた。
節度亜図夢
口車に乗せられたふりをした悪魔は豆粒ぐらいの大きさに変身し、若者に食われ、生きて腸まで届きました。
葱山紫蘇子
悪魔はチョコボールでエンゼルを当てて、けっ、と悪態をついて投げ捨てた。
カルストン
私のなにげない振る舞いが「デビる」と呼ばれ流行語大賞を受賞した。
八十嶋

金メダルを噛む行為もデビる?

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それでは次回のお題を発表します

次回モチーフ
『あの頃』

次回のお題は『あの頃』。人にはそれぞれ忘れられない特別な時期があるものです。それはまぶしい青春の日々だったり、思い切り切ない恋愛の日々だったり、二度と味わいたくない泥沼の日々だったりします。
普段は抑えていても、目を閉じて想えばありありと浮かぶあなたにとっての『あの頃』を書き出してください。締切は4月16日、発表は4月19日を予定しています。下記の投稿フォームからご応募ください。力作待ってます!

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