特集 2022年11月13日

書き出し小説大賞248回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


前の記事:書き出し小説大賞第247回秀作発表

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お知らせです。来る11月20日(日曜日)、東京流通センターで開催される文学フリマに、書き出し作家のxissaさんが『書き出し小説自選集』をひっさげ参戦します!
文学フリマはプロアマ問わず、モノを書くのが大好きな人たちのイベントです。ご興味のある方は是非!情報は以下となります。

文学フリマ
文芸ヌーアカウント

それでは今週もめくるめく書き出しの世界へご案内しましょう!

書き出し自由部門

「心配し過ぎ。」と原因は言った。
キキ

お守りのような言葉、いただきました。

世界各地でテトリスの長い棒だけが次々と天から降り注ぎ、人類史は消滅した。
さくさく
ハンドクリームがスマホ画面に小さなオーロラを作る。
ぐるりん

観察力!

瞬きをするごとに星が消えていったような、そんな暗闇の帰路を歩く。
早百合
投げキッスを全力で追う。
正夢の3人目

そのまま崖から落ちて!

皆んな同じ方角に祈るようにスマホを掲げた。
みよおぶ
「生きろ」は呪い、だから死ねない。そう思って生きていた。
葱山紫蘇子
「アンバサダー」と言われていい気になっていたのは俺の方なのだ。
いそうろう

アンバサダー、ほんのり沖縄の料理みたいな。

ゼムクリップの海に干からびた蝿の死骸。
いずも
役目を終えた比喩を、岩塩に閉じ込める。
タカタカコッタ

隠喩に閉じこめられた比喩は現実になるのだろうか。

鬼は金棒を振り回し、豚は真珠を弾倉に込めた。
suzukishika
山下はナポリタンの皿を左手で持ち上げ顔の辺りまで持ってくると、そのケチャップの香りを一気に吸い込み、次いで、立ち食い蕎麦よろしく掻き込んだ。
カズタカ

いわゆる飯テロ書き出し。

いったん広告です

つづいては規定部門。今回のテーマは『夫婦』です。主に投稿者層を反映した熟年夫婦の達観ぶりをご覧下さい。

規定部門・モチーフ『夫婦』

横並びの座席だけど、見ている景色は違う。
morin

うまいこと言う。

我々は親友で、師弟で、世界を笑う共犯者で、夫婦だった。
井沢

かっこいいこと言う。

並んで坂道を歩く老夫婦の背を、僕はなかなか追い越せないでいた。
otomi
海に散ったあのひとは、空でわたしを待っていた。
桜新町3丁目
牛乳の絵文字だけが送られてきた。スーパーで買い忘れたのだ。
g-udon
ついに、風呂洗いから皿洗いに昇格した。
八王寺義昭
急に名前で呼ばれて脈が乱れる。
人馬一体勘

弱っ!……そして共感(笑)

私が皿を投げても、旦那は全て避ける。
ろっさん
人生何度目かの正座をさせられている。
寂寥
合わせ味噌。2人の着地点。
吉田髑髏
連れ添いきってやんよ。
正夢の3人目
カミさんがガゼルなら、俺は草だ。
モリダイ

劇団四季『ライオン・キング』の草役が浮かびました。(検索してみて)

ある夜から妻の寝言が英語になった。
もんぜん

むにゃむにゃ……can’t eat anymore

めっちゃ不細工な寝顔、独り占め。
ぐるりん
一、朝のゴミ出しを家事に含めてはならない
節度亜図夢
夫婦で怪談を始めた。
タカタカコッタ

夫婦で怪談。これは楽しそう(笑)

ジェネリック夫婦の登場だ!
にら将軍ハルナ
偽妻があらわれた。夫は撃退した。
いそうろう

窓から入ってきた時点で偽妻だと分かった。

髪を梳かしてあげるね、服も着せ替えようか、どこを舐めても苦いね。
タルク石
あの人はとても遠くから来て、私と二回結婚して、そして帰って行った。
あの

謎めきぶりがよく、想像がふくらむ。

夫は妻を殺し、妻は夫を殺した。それぞれの遺体が発見された頃、ふたりは出逢ってしまった。
うにねこ
「エリザベス!」「アンドリュー!」しばしそう呼び合うことで、くに子と義雄は熟年の危機を乗り越えている。
タカタカコッタ

倦怠期のみなさんにオススメ!

競馬で勝てば、きっと許してくれるだろう。
平真琴

ダメ過ぎて(笑)

ユリウス暦1122年、私たちは離婚した。
南極行太郎

 

それでは次回のお題を発表します!

次回モチーフ
『偶然』

次回のテーマは偶然。物語とはつまり、ひとつの偶然が実は必然だったことを証明する過程です。もっとも書き出し小説は書き出しだけなので必然の証明はいりません。だったら思いっきり魅力的な「偶然」を生みだそうではないですか!それは誰も気づかないささいなものかもしれないし、全米が注目するような怪現象かもしれません。物語の扉を開ける偶然をお願いします。

締め切りは11月25日、発表は11月27日を予定しています。下記の投稿フォームからご応募下さい。力作待ってます!

最終選考通過者

桃とペンギン いんどじん 東ことり もろみじょうゆ はらけん ウチボリ

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