残暑に混じり、ようやく秋の気配を感じるようになりました。書き出し小説もこの時期になると、秋の描写がないものでも不思議と文体が秋めいてくるんです。季節って面白いですね。それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご案内しましょう!
書き出し自由部門
へその穴に夏の光を溜めたまま、秋を寝る。
タカタカコッタ
木訥としていて、でも繊細なおもしろい文。
「マスクばっかしてるとさあ、息のしかた忘れちゃうよねー」君が吹くシャボン玉に空が映る。
Sugar toy soldier
戻ってきた定規には、サインペンの痕が残っていた。
朝礼
そういうことあった(笑)完全に忘れていた記憶をほじくり返してる。
左利きなのに箸だけは右で持っていることを指摘されて、私は、毒親からは一生逃れられないのだと気がついた。
ハヤタ隊員
髪を切って変わる世界があるのなら、僕を愛して変わる世界もあるんじゃないか!
薄荷飴
フラれるにしてもなにかひう言、言って終わりたい。
鳴り止まない銃声に怯えながらも、アンナはモンゴノとの連弾を思い出していた。
みよおぶ
かなり分厚い海外小説の後半の山場感!
スヌーズの間だけの夢。あの子はずっと逆光の中で笑っていた。
みよおぶ
「なぜそこまでするのさ?」「理解したいからだよ」「何をそんなに分かろうとしているのさ?」「それを知りたいんだよ」
あの
自分のパンツのデカさに、毎朝笑ってる。
葱山紫蘇子
ガハハハハ!
つづいては規定部門。今回のお題は「メガネ」でした。選考しているうちに、自分でも気づかなかったメガネフェチのスイッチを押されたような気がしました!どうぞ。
規定部門・モチーフ『メガネ』
お互いタコの口で再チャレンジ。
メタルフレームが光った瞬間、嘘がバレた。
人馬一体勘
眼鏡についたマスカラを拭きながら、アヤは別れ話を上の空で聞いていた。
げたのにつけ
世界の輪郭をあやふやにする、一夜の過ちも溶けていく。
セレン
べ、別にあんたを良くみる為に老眼鏡かけてるわけじゃないんだからね。
八王寺義昭
シニアラノベ。表紙どんなイラストなんだろう。
土砂降りよりも風に舞う霧雨が憎い。幽
自転車通学を思い出す。
なぜか、田中は視力検査の時のメガネをいつも掛けている。
八王寺義昭
大胆過ぎる間違いが逆に分からないパターン
またお前か!割れたメガネをかけ直して男はまた同じ台詞を吐いた。
longroof
ネットの向こうのバスケ部まで。
「近視? 遠視?」「伊達」初めての会話は失敗に終わった。
もろみじょうゆ
彼女はメガネを「脱ぐ」と言う。
suzukishika
あたしジョン・レノンになりたかった。視力は悪くなかった。
suzukishika
伊達レノン?!
轟音をたてて眼鏡が落ちる。「おっと、いけない」師匠はひょいと拾って掛け直した。
七世
前半と後半の落差!シュールな落語のよう。
君は眼鏡を押し上げ、泣きぼくろが顔を出した。
七世
THE・がさつ!
いつでも捜しているよ、どっかで外したメガネを。
g-udon
くだらな過ぎて採用。
わらしべ交換の最後は全く度数の合わない眼鏡で終わった。
prefab
『鴨のソテーのブルーベリーソースがけ 高身長ウエイターに眼鏡を添えて』
カズタカ
そのメガネをつけた途端、乳首と肝臓の色が見えた。
ミミズグチュグチュ
どっちも同じ色だった。
「そうか、わかったぞ!」吉田はメガネを輝かせたが、何もわかっていなかった。
ウチボリ
メガネだけが竜巻に巻かれ上空へと消えた。
タカタカコッタ
派手に転んで、メガネだけがゴールした。
南極行太郎
それでは次回のモチーフを発表します。
次回のお題は再会です。以前にも出したモチーフですが、ずっと会えていない人、もう会えない人を思いながら書くにはちょうどいい季節かなと思います。もちろん人でなくても構いませんし、笑えるネタ系も歓迎です。締め切りは9月23日、発表は25日を予定しています。下記の投稿フォームからご応募下さい。力作待ってます!
最終選考通過者
来世は海獣がいい みつる モリダイ 首廻り寝具 こた カズタカ サイレース にら将軍ハルナ 鯨谷いさな あやあや たこフェリー 節度亜図夢 はらけん 高田 S.虚無