暮れも押し詰まって参りました。毎年暮れが押し詰まるたびに、これ以上押し詰まると、その反動で半年くらい過去に戻れるんじゃないかと思うのですが、そういうことはまだ一度もありません。それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご案内しましょう!
書き出し自由部門
ただ自転車に乗ってるだけなのに曲芸に見える。
迷子センター創始者は三歳で親とはぐれ生涯迷子を貫いたという。
そのあと寝言で自白した。
夢の中の寿司はたぶんサビ抜き。
読後1秒後にクリスマスネタだと分かりました。
ウェディングドレスで逃げる花嫁、の和装版
つづいては規定部門。今回のモチーフは『鍋』でした。どんな作品が飛び出すか分からない、闇鍋気分でお楽しみ下さい。
規定部門・モチーフ『鍋』
すべてがFになる的な。
優香の「バカ姫」で想像しました。
剥いたバナナを鍋に浸して食うゴリラ。
なんでも「人生」に紐付けしてくる人っているよね。
サソリ鍋を紹介するホームページにありそうな文章。
無駄に怖いよ!
深い意味があるようで実はなんにも言ってない。
美味しい作品ごちそうさまでした!
さて、今年の書き出し小説は今回でおわりです。すっかり長期連載になった書き出しを、変わらず応援してくれる読者のみなさま、DPZのみなさま、そして作家のみなさまありがとうございました!
それでは次回、来年一回目のモチーフを発表いたします。
『スリーワード』
次回のお題『スリーワード』とは、三つの言葉を並べただけの文章です。以下の例をご覧下さい。
これは今回の規定部門に、寂寥さんが送ってくれた作品ですが、書き出し小説ではよくこうした「言葉を並べただけの作品」を採用します。いままでは無意識に選んでいたのですが、あらためてこの作風をテーマとして募集します。
初夢の縁起物とされる「一富士、二鷹、三茄子」、あるいはかつてのヒット曲「部屋とTシャツと私」のように、人は三つの言葉を並べるだけでも、その絶妙や関係性を面白がれる感性をもっているようです。
三つの言葉は脈絡があったり、なかったり、またその並べ方にも感性が問われるでしょう。語感にもこだわりたい。助詞は必要だと感じられればつけてもかまいません。試しに僕もつくってみました。
出張先の外資系OLというイメージでつくってみましたが、固まったイメージではなく、バラバラな言葉からオリジナルの風景を創出するのも面白いと思います。いろいろ組み合わせて楽しんでみて下さい。
最終選考通過者
むぎちゃんがペロペロ バビッチ佐野 花瀬いをり トニヲ ゴロ シモカワヨウヘイ つんざくざくろ 山田ヒク之 モリダイ シマシマ秀和 ふくすけ デデデニオング オレンジ ともきよ みそぎ 狂った夏が来た 加藤チゲアキ カズマンヌ シロイルカ 出しなよ、音。 夫妻木聡 近畿KiDs 葱山紫蘇子