いざ実食
徳齢の手記にしるされたメニューは1つもありませんが、気分は西太后です。
18品あるので、絶え間ない味の変化があり、全く飽きません。実際の西太后もめちゃくちゃたくさん食べたらしいですが、「品数が多いといっぱい食べられるよな、わかる〜」と西太后に共感してしまいました。
隣のテーブルの人が訝しむような目線を送ってきましたが、次第に気にならなくなってきました。
「少量で食べるのが前提の皿がたくさん運ばれてくる」という、バイキングとはちょっと違う雰囲気です。
輝くジャストサイズメニュー
私は「同じものを鱈腹食べる」もしくは「セットメニューを頼む」を選んできたため、今までジャストサイズメニューを頼んだことがなく、正直「どういう人が頼むんやろ」と思ってきました。
気になる料理をお試しできるのだと知りました。
18品の中にあると、シャウエッセンが中華な味付けの中でキャラ立ちしていて、より美味しく思えます。
また、メニューの写真で見て、「寂しくないか・・・?」と思ってきた1本しかない春巻きや、1つしかないゴマ団子も、
ラストにさしかかった場面でも、ペロッといけちゃいました。
実際の西太后は毎回満腹になるまでは食べてないと思いますが、私はめちゃくちゃお腹いっぱい。
珍妙な顔をしていますが、お水が五臓六腑にしみわたっている表情です。
3、4人で分けると多幸感
3人で食べてめちゃくちゃお腹いっぱいになったので、4人で分けてもいいと思います。
素敵なひと時でした。餃子の王将のみなさん本当にありがとうございました。
ふたたび西太后揺らぐ
上機嫌でレジでお会計している時、店員さんに「ジャストサイズメニューを全部頼まれたんですね〜」とにこやかに話しかけられ、とっさに「ほんとすみません・・・」と言ってしまいました。
私は西太后なのに、また弱気になってしまいました。私は西太后、私は西太后、戊戌の政変で光緒帝を幽閉した強気な西太后・・・
〈参考文献〉
・徳齢:著、太田七郎・田中克己:翻訳「西太后に侍して 紫禁城の二年間 」講談社、2023年
・岩間一弘「中国料理の歴史:美食のナショナリズムを越えて」慶応義塾大学出版会、2021年
・田原禎次郎「清国西太后」台湾日日新報社、1908年