特集 2022年3月7日

自販機の背景は、アイス=氷、ホット=三国時代

ちょっと想像してみてほしいんですけど、あなたがデザイナーだったとして、「飲み物が冷たく見える背景画像を作って」って言われたらどうします?
……たぶん10人中9人は、青系の背景に氷の絵や写真を入れると思うんです。

じゃあ「暖かく見える背景を作って」って言われたらどうでしょう?けっこうばらつくと思うんですよね。
自販機の中では現実にそういうことが起きているぞ、ということに気づきました。

インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。(動画インタビュー)

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自販機の背景紙

自販機でジュースを買うとき、ふだんは飲み物ばかり見てて、背景まで気にとめないと思いますが

例えばこの右の自販機を見ると
こんな感じの背景紙が貼ってあります
たまに貼ってないこともあるけど、そっちの方がレア

で、この背景紙、先日たまたま気づいたんですけど、冷たい飲み物とあたたかい飲み物で別のデザインになってることが多いんですね。

遠目に見ても、3段目のホットだけ暖色系なのわかります?

これちょっとおもしろいなと思って、2時間ほど歩き回って集めてみました。


アイスはだいたい氷

まず冷たい方からいきます。だいたい氷です。

完全に氷
光量の多い氷。「こおり」ょうの多い「こおり」つってな、ガハハ

氷=冷たいという連想にくわえ、もっと実際的な表現として、キャンプ場やお祭りの夜店でアイスボックスにいっぱいの氷を入れてドリンクを冷やす、あのイメージもあるのでしょう。 

ヨットやハイビスカスを足して夏感を増す技

 子供向けの科学実験等で、氷に食塩をかけると温度がさらに下がることが知られています。

背景界にも、氷に足すと見た目の温度をさらに下げてくれる食塩が存在します。

六角形やひし形の図形がレイヤーされています。結晶のイメージなのか、レンズフレアのイメージなのか
上の方にキラキラを足す技

そんな感じで氷が圧倒的マジョリティですが、いちおう氷以外のモチーフもあるにはあります。

氷というよりしぶき、スプラッシュな感じ

実際は氷も水も使わずに電気で冷やしてるんですけどね。

夏を舞台にした映画やアニメなんかで、暑い日に登場人物が自販機で冷たい飲み物を買って涼むシーンがあるじゃないですか。つまり自販機そのものも低温の象徴なはずなんですよ。
それなのにその自販機の内部では、氷や水で冷たさのイメージを上書きしている。これはちょっと面白い現象のような気がします。

ホットは三国時代

一方で、ホットの方はイメージが統一されていませんでした。

揺らぎを感じるオレンジ色。これはたぶん炎ですね。
さっきの以上に抽象的な絵ですが、やはり炎のイメージでしょう
ちなみに引いて撮るとこう。上は大火事、下は洪水、な~んだ?

上の2つは炎がモチーフと思われるのですが、氷ほど写実的ではなく、あくまで「炎を感じさせる模様」になっています。

これは憶測ですが、横長のディスプレイに炎が広がっていると、たき火のあたたかいイメージよりも、火事が燃え広がったような災害感が強くなってしまうのかもしれません。

これはなんだろう…抽象的な図形ですが、おひさまポカポカ的な?

こういう感じで、丸をベースとした図形で表現されているケースも多かったです。  

これも似てるけど別のパターン。氷が角ばってるから、逆に丸っこいのがホットのイメージなのでしょうか

 

アイスのほうでハイビスカスとかが描かれていたものの逆。ここでも背景は丸。くわえて描かれているイラストは、プレゼントはクリスマスのイメージ? あとシロクマや雪の結晶
セーター? ​​​​​クリスマスのイメージは根強いらしく、ここにもトナカイの姿が(撮影は3月)

というわけで大別すると、炎、丸、クリスマス。

炎はわかるけどほかの2つは氷ほど飲み物のイメージに直結しておらず、よりロジックを排したフィーリングで温度を訴えかけてきます。

おもしろいのは、イラストやセーターの柄に白クマや雪の結晶のモチーフが採用されていること。これらってどちらかというと冷たさを象徴するものじゃないですか。しろくまっていうアイスもあるし。
それが「寒い→冬→暖かい飲み物」っていう遠回りで、暖かさの象徴として採用されているんですね。

最後に、「こうきたかー」って思ったのがこれ。

木目

ちらっと写ってる上の段=アイスの方はばっちり氷なのですが、ホットは木目。あたたかいを通り越して日本酒感が出てしまっている。


ペアルック

中にはアイスとホットで対になっているものもあって、

色と文字を変えて、同じパターンの壁紙が作られています。
これもペアルック。図形的には水玉の中立的なデザインですが、色でそれぞれの温度感を出している

このあたりは無難ながらもわかりやすくていいなと思うんですけれども、いっこだけ、これでいいのかと世に問いたいものがありました。

このホットの方、氷っぽいデザインのアイスの背景から、色だけ暖色にしてませんか!?

見ようによっては、ホットドリンクというより琥珀色の炭酸飲料に見えます。急にビール飲みたくなってきた。

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小さいマグネットがかわいい

壁紙そのものについては以上でおしまいです。
ところで、この背景紙、どうも金属製の自販機本体にマグネットで貼ってるっぽいんですよね。

こういう感じで
なんの変哲もない磁石

たいていこういう黒い武骨な磁石なんですけど、いろいろ見て回ると、たまにメーカーロゴ入りのちいさいマグネットシートが使われていることに気づきます。

小さくてかわいい
伊藤園はけっこうよく見るうえに英語版まであります

2~3cmくらいの指先サイズで、ちんまりしててかわいいので今度探してみてください。

キリンはバリエーションが多くて、これはアルファベット表記ですが
フリガナ付きのも
これはキャッチフレーズ入り。「よろこびがつなぐ世界へ」
商品名のパターンも

たくさん集めて家の冷蔵庫に貼りたくなってきます。 

キリン・ヤクルト・キリン
これはメーカーではなくて自販機ベンダーのロゴかな?
ロゴ入りとは別に、こういう背景に色を合わるパターンも仕事の丁寧さを感じる

片方しかない不思議

ところですぐ上の写真、ちょっとアンバランスな感じがしません?青い方にしかマグネットがついてないんですよね。

サントリーもたまにロゴ入りのマグネットを使ってるんですけど、これも同じで

アイス用の色は見つかるけどホット用がない
ダイドーは逆で、ホット用のマグネットしかない

マグネットのないほうは両面テープで貼ってるのかな?なんで片方だけ??と思ってたのですが……
ひょんなことから理由がわかりました。

偶然、ホットの背景紙がはがれているのを発見

左側から覗き込んでみると…

裏面が青。あ、リバーシブルなんだ

アイス用背景の面に磁石が接着してあるため、アイスを見せたいときは磁石が露出し、ホットを見せたいときは磁石が裏側に隠れるようでした。なるほどー。


常温というフロンティア

いろんな自販機を見て回るうち、1カ所だけ「常温」のある自販機を見つけたんですよね。背景は模様なしの緑色でした。

ホット以上にイメージの解釈が揺れそうな常温。どうも常温自販機はこれから増えていくようなので、その背景紙にも注目していきたいと思います。

飲むとめちゃくちゃハッピーになれそうな壁紙のモンエナ
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