私は家の鍵をなくす
人間。
人間は何も持たずに生まれ、そして何もかもを手放して死んでいく。遥か昔から繰り返されてきたその営みは絶対であり、例外は存在しない。生の中で手に入れた全てのものはいつかなくなる運命にあるのだ。
もちろん家の鍵も例外ではない。そう考えてみると、日々生きる中で家の鍵をなくしてしまったとしても、人生という枠組みでは間違いのない行為ではないのだろうか。少しばかりなくすタイミングが早かっただけで、いずれなくなる運命にあるのだから。
そのくらい、私は家の鍵をなくす。
自分でもびっくりする。家に帰って鍵を置き、手洗いうがいをした次の瞬間には置いたはずの鍵が消え失せているのだ。一体どこに行ってしまったんだ。というか一体どこに置いたというのだ。そんな調子なのだ。
こんなになくすのは自分だけだろうか。また、なくさないためにはどうしたらよいのだろうか。当サイトのライター陣やTwitterのみなさんにアンケートを取ってみた。
その結果たくさんの回答をいただけたので、これから一緒に眺めていきたい。回答いただいた鍵なくしマスターの方々(そして鍵なくさないマスターの方々)、ありがとうございます。
なお結果のわかりやすさのため、回答は一部抜粋したり別の選択肢などにまとめさせていただいた場合がある。ご理解いただけると幸いだ。
おれたちは家の鍵をなくす
まず初めに聞きたいのはそもそも家の鍵をなくすかどうかである。もしここで全ての方が「鍵をなくさない」と答えた場合、鍵をなくすのは全国で私だけということになってしまう。そう考えるとどきどきする。聞かなきゃよかったかな。
よかった。過半数とまではいかないが、27%もの方々が鍵をなくしているじゃないか。日本の人口でいうと3000万人以上がなくしている計算である。無事鍵なくしが一般的な命題であることが立証された。
次は「どこで家の鍵をなくすか」である。私はでかいキーホルダーをつけているおかげかあまり家の外でなくすことはないのだが、その分家の中でなくすタイプである。家の外でなくす方が大ごとなので数としては少ない気がするが、どうだろうか。
やはり家の中でなくす方の方が多数派のようだ。家の外でなくすと困るもんな......と思いつつ、家の中と外両方でなくす方が34%もいるのは見逃せない。一流の鍵なくしマスターにとっては時間・場所など関係ないのだ。
家の鍵は神出鬼没 〜本の間、食器棚の中、靴の中
なんとなく鍵なくしの傾向が見えてきたところで、具体的な鍵なくしエピソードも見ていきたい。これがもう、鍵をなくす私にとってはどれもこれも共感の嵐だったのだ。
大抵は洗濯物のポケットから出てくる(加藤さん)
まず「こんな場所から出てきた」というエピソードにおいては洗濯物・洗濯機の中から出てきたという意見が多く寄せられた。なくした!と思ったらまずは洗濯物を確認してみてるとよいのかもしれない。
家の中でなくし、家中どこを探しても見つからず、押し入れに入れた布団の間から見つかりました。(junchanさん)
洗濯物のあとは布団の間も探してみるといいようだ。
栞がわりに本に挟んでありました……(わかぐちさん)
気がついたらすぐ無くなっている、鍵に嫌われている。洋服ダンスの引き出しの中、食器棚の中とかにもある(こうもりちゃんさん)
果ては本の間、食器棚の中にまで。ポケモンのオープニングじゃないんだぞ。
遅刻理由第1位:鍵が見つからなくて家を出れない(すあまさん)
これはもうそのまんま私である。そのまんま私(そのまんま東のイントネーション)。
昨日持ち歩いたカバンの中かなと思ったら一昨日持ち歩いたカバンの中でした(かずぅ。さん)
定位置に置こうと思っているのに適当なところに置いてしまい、最終的には昨日の行動を思い出しながら探すため、鍵の場所以外の記憶はいいことに気が付きました(たくちくさん)
これも私である。鍵がない!と思った時に前日の行動をトレースしたりするのだが、鍵の行方だけ一向に分からないのだ。そしてトレースする限りではありえない場所から出土したりするのだ。
なくさないように鞄に常にくっつけているのに、キーホルダーだけ残って本体が消えていた(ちょめこさん)
鍵につけていた付属物だけが見つかる時の物悲しさよ。
靴の中に入れておけばなくさないと思い、帰宅後スニーカーの中に入れておいた。そのことをすっかり忘れ、朝さんざん探して諦めて出かけようとして靴を履いたら中にあった(笑)(かえるぶたさん)
策士策に溺れるパターン。こういう「自分はこの行動を取るはずだからこうしておこう!」という予想はどうして毎回外れるのだろう。
警察から郵送で落とし物としてカギが届いて初めて、外でカギを無くしたことに気づいたことがある(大川さん)
まさかの鍵をなくしたことに気づかなかったパターン。そういうのもあるのか。
1回だけですが、左手に握っていたのに探しまくりました……(遊さん)
優勝です。
玄関に保管場所を作っておこう 〜家の中での鍵なくし対策
様々な鍵なくしを味わったところで、いよいよ人類の反撃のターンである。家の中と外、それぞれにおいてなくさないために工夫していることを伺ったので、それぞれ見ていこう。まずは家の中から。
常に同じ場所に置く。例外を持たない(めあとるさん)
決まった場所におく(hide10さん)
出たぞ、決まった場所に置く派閥だ!これについては鍵なくしエピソードの方でも触れている方がおり、次のような内容であった。
決めてる場所があるんだけど、「いったんここに置いといて後で戻そう」と思って忘れてしまうパターンが多いです(ありあけさん)
同じとこにおけって何度も言われるけどそれができてりゃ何度も無くさないんだよ!とその度に思います(ジョゼ子さん)
そう、分かっちゃいるけど徹底できない派閥である。かくいう私もこの派閥に所属しており、「なんとなく机の上に置こうとは思っているけど毎回置けるわけじゃないよね」と思っている。
いや、そう思っていた。次の回答を見るまでは。
玄関の扉の内側に鍵を掛けるためのフックをつけて、帰るたびにそこに引っ掛けてます(きょうすけさん)
玄関先の下駄箱の1段を使ってそこに置いておく(884さん)
玄関横、靴箱の上に「鍵を置くための皿」を設置。外から帰ってきて、荷物を置く前に家の鍵をそこに置く(うに井さん)
玄関!玄関に置き場所を作っておけばよいのだ。確かに自分がよく鍵をなくすパターンの一つとして「帰宅後、荷物と一緒に適当に部屋に置いておく」というものがある。
これをしてしまうとその後の手洗いうがい、荷物の整理の間に鍵は雲散霧消してしまうのだ。帰宅後すぐに玄関の決まった場所に保管しておけば安全なのだ。
ちなみに玄関派の中でも置き場所は様々であったが、ドアにフックをつけるという意見がもっとも多く見受けられた。ひょっとしてこれって普通のことだったりしますか?
もちろん決まった場所に置く以外の方法も寄せられた。
ポケット付きのSuicaケースを買ってその中に鍵を必ず入れる(みきぽさん)
財布の小銭入れに入れる(ハメハメ大魔王(照)さん)
他の貴重品とセットにしてしまうという考え方だ。私はSuicaケースもよくなくしてしまうので、どちらかというと財布に入れていきたい。
キーホルダーをカバンの持ち手に繋げられる&ビョーンとのびるリール式のタイプにしてから無くすことが減りました。ただカバンを変えるときに面倒です(ジョゼ子さん)
チェーン付きのキーケースにつけて、カバンに繋いでいる(パリピ般若さん)
カバンにつなげておくべきという意見もあった。カバンとはでかさを極めたキーホルダーなのである。
最近リモコン操作で音が鳴る機械をつけました(わかぐちさん)
Tileという忘れ物防止タグをつけて、スマホから鳴らしています。(スマホもなくすので、逆にtileから鳴らすこともあります)(すあまさん)
鍵自体をなくしてしまう。スマホで操作できる電子錠をつけています(ごんさん)
鍵なくしテクノロジー部である。この手の話を聞くと次世代だなあ......と他人事のように感じてしまうが、実際便利なので絶対導入した方がいいと思う。
お気に入りの小物入れを玄関に置いているので、それに入れる。お気に入りがポイント!(みれーさん)
絶対にそまつにしたくなぃかわいぃ入れ物(もち、でかぃ)の中に入れておく(かにクリームフィボナッチさん)
さらにただの入れ物では飽き足らず、気持ちでカバーしていく作戦である。かわいい入れ物、探すか......。
どうせなくすので、合鍵を大量に作って保管場所をバラバラにしています(えてりーさん)
そしてとんでもないパワープレイが出てきてしまった。個人的にはとても応援しているが、最終的に全てなくす未来が来ないことを心より祈っている。
鈴をつけつつ頻繁に確認 〜家の外での鍵なくし対策
続いて家の外編である。家の中でなくさない工夫と被る意見も多かったので、家の外ならではの工夫をピックアップして紹介したい。
ガシャガシャ音が鳴るタイプのキーホルダーを付けて、落とした場合に気付きやすくしている(palaraさん)
鈴をつける(17さん)
やはり家の外で一番気をつけたいのは、いつの間にかどこかに落としているパターンである。落ちた時に音がなるようにしておくのはシンプルかつ効果的な気がする。
カギにカラビナを付けておいて、外では腰のベルトループに常にぶらさげるようにしています。看守のように(ドテツさん)
カラビナで常時腰の位置にぶら下げる。出したり入れたりせず。鍵を開けるときにはスキーのリフト券みたいにゴムを伸ばして開ける(旗本のんびり男さん)
物理的に落ちないようにするためには体に密着させておくのも一つの手だ。カラビナで繋げておけば出すのも便利。いいことづくめだ。
鞄を買うときはチャック付きの小さいポケットがあるのを意識して選んでる気がします(遺物さん)
鍵を入れるのにちょうどよさそうなポケットがあるかばんしか買わないようにする(まいしろさん)
鍵をなくさないためには普段の生活から気を使う必要もある。いくらなくさないように気をつけようとしても、そもそもしまう場所がなければ話にならないのだ。
でかいキーホルダーつけてます!(みなみさん)
10センチくらいある大きい握りやすいキーホルダーをつけるようにしています。バックの中でも見失わないので良いです(ヤケイさん)
カバンの中で行方不明になりがちなので、大きめのぬいぐるみキーホルダーをつけています(ぬま子さん)
でかいキーホルダー派閥だ!なんだかんだ私の他にもいるようで安心した。家の中では無力だが、家の外で効果を発揮するのがでかいキーホルダーである。
同じポケットに入れて定期的にたたく(林雄司さん)
財布の中にいれて何度も逐一チェックする(ゆえさん)
いつも右前のポケットに鍵だけ入れて、時々確認してます(ikmさん)
必ずズボンの左ポケットに入れていて、定期的に触って確認しています(高下龍司さん)
意外と多くの意見が寄せられたのは「定期的に確認する」である。私もPASMOに関してはこの運用を採用している。今後私が左尻を撫ぜていたらPASMOを確認しているのだなと思ってください。
さらに派生して鍵は右と左どちらのポケットに入れる方が多いのかということも気になったが、主題から外れるため今回は取り上げないものとする。
2つ持つ。ひとつは鞄の中に常に入れておく。もうひとつが、普段使い用。普段使い用をなくしても気にしない(次男だから二郎さん)
最後に勇ましい意見を紹介。ここまで散々なくさないための工夫を紹介してきたが、なくしてもいいというゆとりも必要なのかもしれない。
人類はものをなくす生き物である
どうして私はこんなにも鍵をなくすのか。そう思い展開したアンケートだったが意外と多くの人が鍵をなくしがちであり、そして対策を打っていることが明らかとなった。特にドアのフックについては今すぐにでも導入していきたいと思う。
ちなみに鍵以外にもなくさない工夫をしているものを聞いてみたところ、次のような意見をいただいた。
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スマホは白!ケースも白!とにかく黒以外のもの(カバンの中で見失わない)(ジョゼ子さん)
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USBメモリーをなくすのでパソコンから外したら必ず筆箱に入れるようにしたらなくならなくなりました(ふじこさん)
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財布はたまに落とすので、mamorioという落とし物トラッカーを付けています。(たくちくさん)
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メガネ。まだ方法を確立できていませんがあまり外さないことが大事だと思います。(旗本のんびり男さん)
なくさない工夫をしなければならないものは鍵だけではない。なくしものとの戦いは始まったばかりなのだ。
それではみなさん、次はお財布編でお会いしましょう。