ペペロンチーノ焼きそば
これは一目焼きそばとは趣旨がちょっと違うけど、やってみたいのでやってみる料理。
作り方はご想像の通り。オリーブオイルで薄切りのニンニクと輪切りの唐辛子を焦げる二歩手前まで加熱し、茹でたパスタの代わりにレンチンした麺を加えて炒める。
もうずっとこれでいいかも。焼きそば用蒸し麺が持つ独特のちょっとした臭みがニンニクと唐辛子と絡み合って、なんだか癖になる香りとなっている。
具がないからこその麺が喉に詰まる感じがおもしろい。スーパーで売られている庶民的な麺なのに、「麺がうまい」と感じる料理ができあがった。
ハラペーニョ焼きそば
畑で育てているハラペーニョ(南米原産の青唐辛子)が大量にあるので、これも焼きそばの具にしてみることにした。
唐辛子はワタ部分が辛いので抜いたほうが無難なのだが、あえてそのまま輪切りにして炒め、むせかえるような刺激臭を浴びながら麺を加える。
当たり前だが辛かった。だがそれがいい。好ましい青臭さの後に舌を襲う、爽やで後腐れのない辛さが堪らない。バリバリに焼いた麺が甘く感じる。
これはテキーラやコロナビールが欲しくなるメキシカン焼きそばだ。ライムを絞ったら完璧だろうか。カリブ海のビーチの海の家で出してほしい。
ナス焼きそば
油との相性が抜群のナスは、油で炒める焼きそばとの相性も良いのでは。
縦四つ切りにしたナスの皮に隠し包丁を入れて、多めの油でじっくりと焼く。味付けは塩でもいいのだが、今回はナスに合わせて生姜醤油をたっぷりとかけた。
ナスを大きく切りすぎたので、あまり相性は良くないかなと思ったが、熱々トロトロの焼きナスとパリパリの麺を一緒に食べると、口の中で両者が絡み合って高め合うという意外な展開に。
ナスが含んでいた油が染みだす背徳感も最高。これは素晴らしいマリアージュだ。コングラチュレーション。
青紫蘇焼きそば
たくさん畑に茂っているけれど、そんなには使わない青紫蘇の葉をたっぷりと刻み、炒めた麺に加えて余熱で軽く火を通す。細切りにするのが気持ち良い野菜といえば紫蘇と茗荷だ。
味付けは味塩胡椒。白だしでもよかったかな。
期待通り。爽やかな香りがとてもうれしい、夏に最高の一皿だ。ただ我が家の青紫蘇はかなりワイルドで葉っぱがしっかり固いので、少し喉に引っかかる感じがあった。売られている柔らかい紫蘇ならより完璧だろう。
生の紫蘇ではなく、ふりかけの「ゆかり(赤紫蘇)」とか「かおり(青紫蘇)」で作ってもおいしそうだ。
アサリ焼きそば
ここまでは肉系と野菜系の具だったが、そういえば海鮮焼きそばという選択肢もあるなと思い出し、スーパーの魚売り場でしばらく迷って、ちょっと小ぶりなアサリを購入。
アサリを酒蒸しにして、その汁を軽く炒めておいた麺にしっかりと吸わせる。別名ボンゴレ焼きそばだ。
アサリの旨味をたっぷりと吸いまくった麺がべらぼうにうまい。味付けはまったくしなかったが、アサリに含まれる塩分だけで十分。これはすごいぞ。
ただとにかく食べにくいので、アサリは別皿に盛って後で食べるか、麺を入れる前に身だけにすればストレスフリーになるだろう。でもヴィジュアル的には殻付きだよね。
イカ焼きそば
海鮮焼きそばでもう一品。すっかり高級食材となったイカを試してみよう。私が子どもの頃、インスタント焼きそばの具はなぜかイカが主流だったのだ。
小振りなスルメイカの吸盤をしごきとり、背骨(軟骨)を抜いて内蔵ごとぶつ切りにして若干の酒と炒め、レンチンした麺を加えてイカの味を纏わせる。うま味を調味料で足す必要はないので、味付けは塩と胡椒のみ。
プリプリのイカの身、コクのある肝と墨のソース、これが本当のイカ焼きそばだと世界の中心で叫びたくなる味。縮れた蒸し麺はパスタよりも絡みがよく、そんじょそこらのイタリアンよりもうまい。
今回はスルメイカだったが、いつかもっと墨の多いコウイカで試してみたい。後半で醤油をちょろりと垂らしたら泣くほどうまかった。
焼きそばパン
今回は具がどうこうではないメニュー。具無しの焼きそばで、焼きそばパンを作ってみよう。
切り込みを入れたコッペパンに挟む一般的なスタイルではボリュームが物足りないので、マーガリンをたっぷり塗ったトーストに、付属の粉末ソースで味付けした焼きそばを一食分乗せるという荒業だ。
これには元ネタがあり、練馬にある「ホワイトはうす」という居酒屋で、炭火焼きトーストにペヤングを乗せて食べる人がいて(炭火焼きトーストもペヤングもメニューにあるのがすごい)、それの真似である。
モンブランのようにこんもりとした焼きそばパンがもたらしてくれるパンと麺のダブル炭水化物は幸せの味。焼きそばだけ、パンだけよりも、明らかにおいしくなっている。

