変わった冷やし中華も食べてみたい。
今回、全員がイメージする冷やし中華をいろいろと食べてみたがそれぞれで味が違っていたりして楽しかった。
聞いた話だがうわさでは長野にポテトフライがのった冷やし中華があるらしい。変わりダネの冷やし中華も食べてみたい。
冷やし中華。それは甘酸っぱいスープに色とりどりの具材たちが乗り、食欲がないときでも食べられる夏の風物詩である。
思い返せば、冷やし中華って量が少なくないだろうか。自分の人生で冷やし中華でお腹いっぱいになったことがない。冷やし中華なら無限に食べられる気がする。
夏も終わろうとしているが皆さんは今年、冷やし中華を食べただろうか。そういえば、私は食べてない気がする。今年の冷やし中華を始めてないのに終わるなんて悲しい。
悲しい気持ちのままサンマやサツマイモ、きのこなど秋の食材にうつつを抜かすなんてさびしいじゃないか。食べよう、冷やし中華。
荒川区にある光栄軒という中華料理屋がある。そこはボリュームあふれる料理が多くあるそうだ。冷やし中華もすごいらしい。行くしかない。
お酒を飲むながら予定を考えていた。一緒に行ってくれる友人に「今日の夕方に用事があるから早めに行きましょうよ!13時前ぐらいに集合で!!」と約束して、自分が到着したのは14時だった。13時に行くなんて言った記憶がないのだ。お酒って怖いなと思った。(着いた瞬間、めちゃくちゃ謝罪した。)
メニュー表にチャーハンもあって食べたいがどうする。冷やし中華がものすごい量がくるかもしれないので頼むのは怖い。
なので、友人に「チャーハンを食べたほうがいいですよ」とすすめてチャーハンを頼んでもらった。見事な誘導である。これがメンタリズムってやつか。これはメンタリズムではない。おれの食欲のやつだ。
目の前のテーブル席にはラーメンとチャーハンを食べている人がいる。目の錯覚かもしれないがどんぶりも皿もでかい気がする。夏の暑さがそう幻覚を見させているのかもしれない。もしくは遅刻した焦りのせいか。
先にやってきたチャーハンの盛りがすごい。しかし、これで普通盛りである。2合半あるらしい。友人も「これ、家族で中華料理屋にきてみんなでワイワイ食べるときの量じゃないですか?大皿に乗ってますよ」
「でも、チャーハンたくさんあったほうがいいものだから」と言った。「?」ってあんなに浮かぶんだなと感じる顔をしていた。
基本的に全部の具材が大きい。そして、麺は2玉ある。だが見てほしいのはチャーシューである。チャーシュー冷やしにしてよかったと思える見た目。世の中にある麺類全てにこれぐらいの量でチャーシューをのせてほしい。それが実現できるのは平和な世界の証拠だから。
人の器とチャーシューはでかいほうがいい。中華料理屋のチャーシューってなんでこんなにおいしいのだろうか。タレが染みこんだ甘辛い味に肉の脂が旨みとなって広がってくる。
チャーシューをもっと食べたいので「お店にあるチャーシューを全部下さい」と注文しようと思ったが、他の人たちにも食べてほしいので我慢した。
味としては甘酸っぱさのあるタレがだが酸味はそこで強くなく、酸味の中にふわっと香る甘味とうまみがある。
そうだ、この甘酸っぱさが冷やし中華だ。きゅうりのザクザクした食感も楽しい。トマトも最初は多いかなと思ったが箸休めにいい。
こんなにアクシデントがなく食べていいのかと思ったが食事にアクシデントがあってたまるかよという気持ちもある。
おれの冷やし中華が終わった。そんな悲しいことがあってたまるか。目の前にはチャーハンに苦戦をしている友人がいる。
しょうがないのでもらうか。本当にしょうがないやつだな!! 気分はウキウキだ。
このチャーハン、今まで食べて来たチャーハンの中でもベスト3にはいってくるかもしれない。自分では出せない味だ。そして、チャーシューもごろごろ入っている。3分の1もらったがもっと食べたかった。
足りない。2玉じゃ足りない。もっとおれを興奮させてくれよ。そんな気持ちになっていたとき、福島県にとても強い冷やし中華があるらしいと聞いた。そういうのを待っていたぜ。
毎回アクシデントが起こってから撮影が始めるの嫌だなと思いながら、会津若松駅からバスで30分ほどの場所にある「食房もりなが」に向かう。
近所のご家族や周りで働いてくる人たちがやってくる、地元に愛されるお店だ。行ったのが9月の頭だったので、冷やし中華があるか不安だったが、9月いっぱいまで提供されているそうだ。秋の風を感じながら冷やし中華を食べられるのはいい。
名物も気になるが冷やし中華だ。メニュー表に「冷やし中華」と書いてあるが量の記載がない。どこかに情報がないかと店内を見渡すと量の詳細が書いてあった。間違いじゃなければ4玉って見える。おれ、疲れているのかな。
4玉の冷やし中華とはどんなものか。気になるのでミラクル盛りをください。あと、ミラクル盛りって言うの恥ずかしいな。34歳だぞ。
かなりの量なのか、注文してからかなりの時間かかる。どのぐらいの量だろうか。おれを興奮させる量か。テレビを見ながら興奮と期待に胸を膨らませつつ、目の前にやってきたのは冷やし中華だった。でも、自分が知っている量の冷やし中華じゃなかった。これがミラクル盛り。
4玉ってスーパーに売っている麺4つ分だろう。そんなの余裕じゃないかと食べる前は思ったが、目の前に来た冷やし中華を見て震えた。
本当におれにやれるのか、強い心を持たないで見た目だけでお腹いっぱいになってしまう。これが来る前に電話で餃子の注文が入ったのを聞いて、注文すしようか迷ったけど餃子を頼まなくて良かった。
まずはひとくち食べようと思ったらすごい量が取れた。麺がぎちぎちに入っているからだ。大漁である。今年は冷やし中華が豊漁の年だ。
あと、色々な具材がのっているがハムとチャーシューが一緒に入っている。盆と正月が一緒に来たのと同じぐらいめでたいやつだ。めでたいから赤飯も炊くか。近所に配ろう。
食べながらも「すごい量だなー」と思っている。食べても食べても減らない。田舎のばあちゃんが「これも食べな」と次々に出してくるのを思い出した。ばあちゃん、もうお腹いっぱいだから大丈夫よ。
甘酸っぱい味で後味さわやかな冷やし中華。昔懐かしい、夏休み中に母がお昼に作ってくれたような味だ。でも、こんな量じゃなかった。
半分ほど食べて腹7分目である。見た目が汚いので載せないが結構な量が残っている。持ち帰って少しずつ食べるか。そんな気持ちになっていたとき、目の前に見えたカレンダーがこう言ってきた。
できないことをやるのはよくない。4玉なんて無理なことをするなよと言ってくる気がする。そんな言葉を聞いたらやるしかない。無理じゃない、おれ無理じゃない!!と言い聞かせながら必死になって目の前の冷やし中華を食べる。
減っていく冷やし中華、増えていく満腹度、お腹が空き過ぎて泣く子ども、お腹いっぱいで泣きそうになる大人。でも、泣かなかった。大人だから。
最初は「無理かもしれない」と思っていた。でも、人はやればできる生き物なのだ。なんか、頑張って食べたら行けました。
ラストスパートでいきおいをつけて食べる。あと少しなのだがお腹に入らない。たぶんそれがお腹いっぱいということなのだろう。
体感1時間ぐらいだが時計を見たら15分ほどだった。そうか、おれは15分で4玉食べられるのか。
レジのときに「あの量を食べられたのすごいですね」と言われた。なのでこう言ってやったさ。「だって自分、無限に冷やし中華を食べられる男なんで」と。お店を出たあとの太陽がなんだかまぶしかった。(本当は「いやー、もうギリギリでしたよ。ありがとうございました。」と申し訳ない感じで言ってお店を出たあと、特茶を飲んだ。)
このあと、駅に喫茶店でソフトクリームを食べた。地方で食べるソフトクリームっておいしいよね。
まだまだ冷やし中華は終わらない。まだ冷やし中華を堪能しきってないから。
ここも量が多いと評判らしいが、4玉食べた自分にとって怖いものはない。
冷やし中華を食べているところを見せつけるために安藤さんをお呼びした。最近おいしかったものは秋田のうどんだそうです。
店内には壁中にメニューが貼ってある。ビールを飲みながら中華料理をつまみにごきげんな人もいるが、こちらは真剣なまなざしでメニュー表を見ている。
どのぐらいの量か聞いてみる。普通の量でも他のものを食べたら食べられないかも、という量らしい。
店員さんに「あーじゃあ大盛りの冷やし中華をください」と自信満々に注文をする。本当に大丈夫か?という顔をしながらオーダーを伝えに行った。
余談だが、安藤さんが「おれ、むかない安藤でからごと食べてからピータン苦手なんだよね」と言われて、特殊な苦手のなり方だと思った。あと「全部食べるので大丈夫です」と言って食べた。
盛りがすごい。量もすごいが味も今まで食べたことのない味の冷やし中華だ。酸っぱくなく、だしとしょうゆのうまみが前面に飛び出してきた。まるで冷やしラーメンのような味である。
そして、海苔がのっているのも特徴的だ。この海苔がいい仕事をしている。だしとしょうゆのおいしさを感じた瞬間に、磯の風味が口の中に広がる。味が何層にもなってやってくるのだ。家の近くにできたら週3で通いたい。
安藤さん「軽い気持ちで食べ始めたけど全然減らなくない?」
江ノ島「でも、それだけ楽しめるってことなので」
味だけではなく、きざんだキュウリ、ネギなど食感も楽しい。こんな冷やし中華食べたことないな。あまりのうまさに今度、スミソニアン博物館で展示されるそうです。
おいしかった。同じ冷やし中華だがそれぞれで違った味や工夫があるもんだなと思った。終わったな、おれの夏。
このお店で撮影が終了である。そうか、これで終わるのか。でも、もう少し食べられる気もする。まだ終わらせないぜ、おれたちの夏は。
「もう1軒行きませんか?」と言ったとき、「すごいことを言い出したな」という顔をしていた。冷やし中華に対して自信があるのだ。見せつけるか。
実はこの綿徳がある芝商店街は、中華料理屋の向かいに中華料理屋があったりと多くの中華料理屋が存在している。
町おこしとして世界一辛い唐辛子「ブート・ジョロキア」を使った料理やわさびを通常の三倍使用したお寿司など激辛料理を提供するお店が多いそうだ。
ホームページを見たら「非常識な辛さのメニューが集合」と書いてあった。集合しないでほしい。
数分歩くと冷やし中華があった。まだ満腹度で言うと6割ぐらいである。パッと食べて帰るか。
注文をする前に一応、量の確認をした。無限に食べられはするが、前のお店みたいな量が来たら怖い。念の為である。
店員さんが「私だったら普通の量でお腹いっぱいぐらいの量ですね」と言うので、普通の量を頼んだ。どうする、ものすごい食べる人で山ぐらいの量が来たら。
「おれ、本当に1口も食べられないからね」と念押しされたが「大丈夫ですよ。今、お腹6割なんで」と言って食べ始めたが1口食べた瞬間に9割になった。あれだね、時間が経つとお腹ってふくれるんだね。楽しい食事から戦いの食事が始まった。
おいしいのだ。さきほどとは違った酸味が強めの冷やし中華。さっぱりとした、夏の暑さにぴったりの冷やし中華だ。でも、もう秋が近づいているし、お腹いっぱいだしでてんてこまいです。
量も多くない。普段だったら5分もかからないで食べられるだろう。だが今は4玉ぐらいの量に見える。全然減らない。
ひとくちが入っていかない。でも、ここで「安藤さん、夏休みって取ったんですか?」と世間話をしている場合じゃない。まだ、取れてないそうです。
こういうのは食べきる覚悟と勢いが大事なのだ。全ての力を出し切ってひとくちを食べた。
普通の量にここまで苦戦するとは思わなかった。でも、きっとあきらめなければきっとやり遂げられる。そう思った夏の終わりだった。
今回、全員がイメージする冷やし中華をいろいろと食べてみたがそれぞれで味が違っていたりして楽しかった。
聞いた話だがうわさでは長野にポテトフライがのった冷やし中華があるらしい。変わりダネの冷やし中華も食べてみたい。
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