特集 2021年8月6日

北海道の部屋の方が東京よりもちょっと暑い

北海道が暑い。ほんとうに暑い。
「またまた〜」とお思いだろうか。

1年のうちに猛暑日を15回も観測し、それは観測史上初とのこと。暑いのだ。
※8月1日現在

ひときわ暑いのは家の中。空調設備が整っている本州に比べて、北海道の家にはそんなものがない。我々道民の命は窓を吹き抜ける自然の風にかかっている。

北海道の室温は、東京の室温よりもだんぜん暑いのではないか。調査することにした。

北海道在住の大学生。演劇サークルに所属していますが、やったことがあるのは音響担当・舞台装置担当・当日宣伝担当で、一度も演技をしたことがありません。好物はパステルのなめらかプリン。

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北海道の家がアツい(気温的に)

最近は北海道自体の気温もじゅうぶん暑いのだが、コンスタントに暑いのは家の中だ。

エアコンなどの空調機器の備付けがない家が多く、うっかりすると外気温と同じかそれ以上の室温になってしまう。休みの日に昼間に目が覚めると、部屋がサウナみたいでびっくりする。

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32.2℃を示す札幌駅前の温度計
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使い込んだ目ざまし時計の写真で失礼しますが、これが室温。外気温とほぼほぼ同じになっている

僕が通っている大学は北海道外からの進学者が多いのが特徴なのだが、やはり本州勢でも夏はバテている。本州と遜色なく、いや、それ以上に家が暑くなるのだろう。

北海道の家 V.S. 東京の家 室温バトル

というわけで、北海道の家の温度と東京の家の温度、どちらが暑いのか決着をつけようじゃないか。

調べたのは北海道・東京ともに予想最高気温が30℃を超えることが予想された2021年7月23日午後。

北海道または東京にお住まいの方を対象に、Twitterで「いまの室温」を募集した。そこから平均の室温を求め、戦わせようという算段だ。

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こんな具合に室温アンケートを実施していました

結果、ありがたいことに北海道から204件、東京から296件、あわせて500件の回答をいただいた。データの量としては十分であろう!本当にありがとうございます!

北海道の室温の方がちょっと暑かった

結果を見ていこう。

まずは前提条件として、調査を行った7月23日の気温である。

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ご覧の通り、どの時間帯でも気温は東京のほうが高かった。この日は札幌の最高気温が30℃を上回ることがなく、アンケートをとりながら「しまった……」と思っていた。予報では30℃を超えていたのに。北海道が不利な条件となってしまった。

では、室温の平均はどうだったのか。結果は……。

室温の平均
北海道:28.47℃
東 京:27.71℃

※「自宅」にいらっしゃる方の室温のみ集計
※千葉県・埼玉県など、関東圏からの回答も「東京」として集計

北海道の勝利! 条件は不利であったものの、やはり北海道の室温はちょっと暑かったのだ。

ちなみに回答の分布はこの通りとなった。

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箱ひげ図やヒストグラムを見ても、北海道の室温がより高い傾向が読み取れる。中には40℃に近い室温のなか過ごしている方が見受けられるが、体調には気をつけてほしい。

どうしてこのような結果になったのか、建築に詳しい大学の先輩にデータを分析していただいた。

先輩によると、夏の北海道の家が東京の家より暑い要因を家の構造から考えると
北海道の家は冬季の暮らしやすさやエネルギー効率に振っていて、日射遮蔽性(外からの日差しを遮る性能)が低いから
とのことである。

北海道の住宅と東京の住宅の室内気温に関わるいちばんの違いは「断熱性能」であり、北海道の住宅は断熱性能を強化し、冬場の過ごしやすさに力を入れている。

一方で、室内気温に関わる要因として、日差しを遮る性能も重要であり、この性能によって、住宅が日差しから受ける熱の量が左右される。

夏の過ごしやすさを重視するなら日光を遮るために日射遮蔽性を高く、冬のエネルギー効率を重視するなら日差しからの熱を取り入れるため日射遮蔽性を低く設計する必要があるらしい。

北海道の家は断熱性能が優れているものの、日差しを遮る性能が低く、ビニールハウスのように室温が上がりやすいのではないか、という考察であった。たしかに、北海道の一軒家は日当たりのいい大きな窓があるイメージだ。納得かもしれない。

加えて、室温に大きな影響を与えるだろうエアコンの有無にも明確な差があった。

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部屋にエアコンがついているかのアンケートも同時に取ったところ、上のような結果となった。ほぼほぼ真逆だ。北海道はおよそ3割にとどまっており、7割の方がエアコンなしで踏ん張っているようである。

そりゃあ、北海道の室温が高くなってもおかしくない。

ちなみに先輩によると、断熱性が高い北海道の住宅にエアコンを加えると、夏は涼しい状態を作りやすく、涼しさを維持しやすいのではないかとのこと。エアコンがあることで、冬の暮らしに特化した北海道の住宅の特徴が、夏の暮らしに対しても大きな強みになるらしい。うおお、北海道民よ、エアコンをつけよう!

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北海道は自然から涼を、東京はテクノロジーから涼をとっている

先ほどのアンケートでは、室温に加え、暑い時の過ごし方などをひとこと書いていただいた。

北海道と東京で涼み方に差は見られるだろうか。

いただいたコメントをすべて単語単位に分解し、出現した回数をカウントしてランキングにしてみた。

北海道 単語ランキング
1位   エアコン (33回)
2位   扇風機 (24回)
3位   (22回)
4位   保冷剤 (16回)
5位   (11回)
6位   (9回)
6位   クーラー (9回)
6位   アイス (9回)
9位   とき (8回)
9位   こと (8回)
東京 単語ランキング
1位   エアコン (73回)
2位   扇風機 (16回)
2位   っぱなし (16回)
4位   設定 (13回)
4位   つけ (13回)
6位   部屋 (12回)
7位   冷房 (11回)
7位   (11回)
7位   室温 (11回)
10位 こと (10回)

どちらも「エアコン」「扇風機」という単語の出現がだんとつで多いのだが、それ以外の回答は対照的だ。特徴的な涼み方をコメントともに紹介したい。


北海道

特に特徴的だったのは、「保冷剤」「首」という単語が上位に現れたことだ。

保冷剤を大判ハンカチなどに包んで首に巻く。耐える。サーキュレーターは風量が凄くて部屋全体に届くので神。寝るときはアイスノン。シャワーというか水を浴びる。
(札幌市 小鹿さん)

保冷剤を手ぬぐいで巻いて首に当てながらサーキュレーター最大風量を浴びてサーモスタンブラーに氷入れた麦茶をたっぷり入れて飲みながら生きてます
(札幌市 味しらべ塩レモン味おいしいさん)

冷やした保冷剤を装備+絞った濡らしタオルを引っかけた扇風機+自然の風で凌いでます…
(函館市 はんちょさん)

保冷剤を布で巻いて首に巻いて過ごしている方がとても多かった。実は僕の母もよくやっていたりする。

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ケーキを買ったりしてもらう保冷剤を凍らせて
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タオルで巻く!
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そして首に!涼しい!!(凍傷には十分注意してください)

これ、身の回りにあるもので手軽に、しかもよく体を冷やせて効率的な方法なのだ。

他に多かったのが「アイス」という単語である。

アイスノンを枕にし、保冷剤を足の下に置いて寝る!起きてる間はすべてを諦めて汗だくになる。
(札幌市 ことらさん)

ロングタイプのアイスノンを首に巻いて、座るときはアイス枕を腿の下に置いています。
(札幌市の方)

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アイスノン(の類似品)。熱を出して寝込んだ子供の頃を思い出す……。
ところで、アイスノンを買いに出かけたら、近所のドラッグストアから正規の「アイスノン」がごっそりなくなって驚いた。酷暑!
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これがロングタイプのアイスノン。がっちり頭やら首やらに巻けて安心感がある

熱を出して寝込むときに使う氷まくら「アイスノン」の普及率がすごいようである。食べるアイスというよりは「アイスノン」のほうが優勢なようすだった。

アイスうまい!
(札幌市 防人さん)

もちろんアイスを食べている方もいた。

あと、エアコンという単語が含まれていても…

職場にエアコンがないため毎日地獄です。ポキッと折るアイスが流行ってます。
(札幌市の方)

私はエアコンつけたいのですが、つけないのが当たり前すぎて母がつけてくれません。死にそうです。
(札幌市 りさん)

といった切実なコメントが…。このアンケート受付中に「これからエアコン買ってきます」「買ってきました」というスピード感溢れる方もいた。みなさんどうかご無事に…!


東京

東京の暑さ対策はほぼエアコン一択のようである。中でもおもしろかったのが「っぱなし」という単語が頻出していることだ。

結局エアコンが最強なので家にいる間は元より、出かけて不在の間も28℃設定でつけっぱなしにしてます。(不在時間が2時間以上なら温度を30℃設定で) 汗だくで帰ってきてドア開けた瞬間の涼しさは何にも代えられません。
(練馬区の方)

5月からエアコン24時間つけっぱなしです!多分9月いっぱいつけます
(練馬区 みのむしさん)

クーラーは24時間つけっぱなしにしています!暑さが欲しくなったら外にでかけます。
(大田区 ちょびさん)

「暑さが欲しくなったら外にでかける」!うらやましい!!

空調を入れる・入れないの判断にこだわりがある方もいるようで…

布ソファーの背もたれが暑く感じたらクーラーのつけどきだなと思ってます。背もたれあったかい、ぬくもり最高と思ったら消します。
(中野区 ヨーチさん)

ハムスターを指針にして冷暖房をつけてます。ハムスターが溶けていれば冷房をつける。ハムスターが集団で固まって寝ていたら暖房。集団で固まって溶けて寝ているときはかわいらしさに飼い主はやられるので問題ないです
(武蔵野市 土蜘蛛さん)

とのこと。動物を飼っている方は気を遣いますよね。ハムスター、わかりやすくてかわいらしい!


東京ではテクノロジーを駆使して、北海道では風通しや保冷剤などの工夫で、みなさん涼をとっているようだ。でも、北海道民の僕からすると、「エアコンうらやましい」としか……。

北海道のみなさんも、東京の皆さんも、全国のみなさんも、これから暑くなっていきます。テクノロジーを駆使して、工夫して、体調には気をつけましょうね。


気になった皆さんの「ひとこと」を最後に紹介します

みなさんからいただいたひとことを、暑い時の過ごし方も多様だなあとしみじみ眺めていた。一部ですが最後に紹介させてください。

熱帯・亜熱帯の国の料理を食べて過ごします
(東京都江東区の方)

湯船にハッカ油ちょっとだけ入れるとスースーして最高です!
(東京都江戸川区 ヤ音教さん)

あえて熱い飲み物を飲む。梅昆布茶は経口補水液と同じ位の塩分なので推し。ゆっくり飲むから一杯で足りる。アイスより冷凍したミニトマトや果物を1個口に放り込む。後味サッパリしてて自然の旨味炸裂。
(北海道札幌市 海老茶さん)

日が落ちはじめてから動き出します。昼間は外に出た瞬間日差しに焼かれるので極力家から出ません。
(東京都 ライター米田さん)

慣れです!
(東京都 ライター地主さん)

さまざまな夏が垣間見られてたいへん興味深かった。これらのコメントを参考に、普段しない過ごし方をして暑さを楽しむのもいいかもしれない。

ちなみに地主さんの部屋の室温は33.3℃とのこと。強すぎる…。どうかご自愛ください。

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