特集 2021年1月6日

大分県のソウルフード「想夫恋の日田焼きそば」を記憶を頼りに再現する

大分県のご当地焼きそば、「日田焼きそば」。
九州を中心にチェーン展開している焼きそば専門店「想夫恋(そうふれん)」の初代店主が生み出したものとされている。
大分を訪れた際に食べてみたところ、毎日食べたくなるほどクセになる料理だったので、記憶と勘を頼りに自宅で再現してみた。

愛知県出身、東京都在住のデザイナー。イラストを描き、写真撮影をして日々を過ごす。
最近は演劇の勉強に熱中。大きなエビフライが好き。

前の記事:身近な匂いを香水の説明文で表現する

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想夫恋の焼きそばと出会う

初めて大分県へ行くにあたり、出身者である友人に大分の食べ物について尋ねた。その際にしつこくオススメされたのが「想夫恋の日田焼きそば」だ。

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想夫恋の看板。黒字の看板に筆文字で書かれた店名がかっこいい。店内は地域に密着した老舗チェーン店といったおもむきだった。

友人曰く「大分を離れた大分県民は皆、想夫恋の焼きそば恋しさに身悶える」という。
焼きそばといえば、私のなかでは「半日登校の日のお昼にお母さんが作る料理」。家庭料理として馴染みがありすぎて、故郷の料理だと言われてもピンとこなかったものの、実際食べてみたらわかった。
日田焼きそばは、過去に食べたどの焼きそばとも異なるものだった。

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期待と不安でそわそわしながら注文した、目玉焼きトッピング焼きそば。
重厚なステーキ皿に乗って出てきて少し怯んだ。実家の焼きそばは鉄板には盛られない。
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麺と同じくらいの量の入っているもやし。隙間から覗く白色がまぶしい。
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豚肉は拍子切りにされていて厚みがある。

めいっぱい頬張ると、麺がモチモチとカリカリ、もやしはシャキシャキとフニャフニャ、相反するおいしい食感が口のなかで大狂乱。豚肉の味がしっかりしておいしい。
味付けのソースは濃すぎず薄すぎず、あっさりとした味わい。あとに引くスパイシー感もクセになる。
白身がやや固めに焼かれた半熟目玉焼きも、”味変”に最高の食材。

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「ほおばる」を正しく行っている写真が残っていた。特にカリカリの麺が斬新で、口から胃まで焼きそばで満たしたいくらいうまい。
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隣の席に座ったサラリーマン風の客は、焼きそばを大盛りで注文していた。大盛りを食べたいその気持ち、今ならわかる。

 

日田焼きそばを家でも食べたい

大分から帰ってからも、見事に想夫恋のことを考えていた。食べられないと思うと余計食べたくなる。恋と同じだ。
会えない想い人を作ることはできないが、焼きそばなら作れそう。記憶を頼りに再現してみよう。

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想夫恋の焼きそばの特徴を書き出してみた。
これを目標に焼きそばを作れば、似たものができるはずだ。

これよりクッキングパートに入りますが、この段落に書かれている調理法は失敗します。
料理初心者が真剣に試行錯誤しているさまをお楽しみいただきたい。

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麺は太さ重視でちゃんぽん麺をチョイスした。もちもち感を再現するために焼く前にさっと茹でることにした。もちもち食感が特徴のベーグルも、焼く前に茹でられているから。
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想夫恋の焼きそばは、一般的なソースよりもあっさりしていて酸味が強かった印象。しかしどうすればそれを再現できるのかがわからないので、とりあえず焼きそばに使えるソースで味付けする。
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酸味を足せそうな気がするので醤油を追加。
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もやし、ネギ、豚肉の3種の具を、隠し味要素として焼肉のタレで炒めた。出来上がりから。この時点で、見た目も味も「これじゃない感」を強く感じたが、気づかないふりをした。
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焦げ目がつくまで麺を圧し焼いて、具を投入し、混ぜ合わせる。
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熱した鉄板皿に盛り付ければ完成!現地で食べた物と同じように目玉焼きもオン。

現地で見た焼きそば on ステーキ皿の図が衝撃で、ステーキ皿をなんでも売ってるニトリで購入。乗せてみるとそれらしく見える。さて肝心の味はというと…

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そ、想夫恋……じゃない!

麺はカリカリを超えてコゲコゲだし、具は火を入れすぎて全部フニャフニャ。焼肉のたれの味が強く、全体的に甘い味がする。本家のような深みのあるスパイシーさもまったく無く、ステーキ皿だけではごまかしきれない再現度だった。
麺の食感だけ、弾力強めのモチモチに仕上がっていたのでそこだけは自分を褒めたい。

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これは炒めているうちにミジミジの破片になってしまった豚肉。

翌日、別の容器に入れて、想夫恋を教えてくれた友人に食べてもらった。

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その感想。一切お世辞を言わないところが逆に信頼できる。

反省、そしてリベンジ

おいしい料理は「なんとなく」では作れないと学んだところで、再チャレンジすることにした。最大の特徴である「食感」、そしてマネしやすい「ビジュアル」に重きを置いて作ることにする。

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薄切り肉ではなく、かたまり肉を用意。拍子切りにして、さっと炒める。
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野菜も軽く炒めて一旦脇に置いておく。

 

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ちゃんぽん麺を茹でたのちに圧し焼き、焼き目がついたところで、炒めた具材と、あらたに生のもやしを投入し、火を通しながらよく混ぜ合わせる。
最後に市販のソースと醤油で味付け。さらにスパイシー感を出すために最後に白こしょうを振った。
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目玉焼きを乗せて完成!食品サンプルと見間違えるほどきれいにまとまった。
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実食。茶色くなってしまったが、もやしのフニャ・シャキ食感は再現できた。

 

モチモチ食感はあるものの。カリカリ感はひかえめ。麺の焼きが足らなかったのかもしれない。
後味に関しては白こしょうによってかなり正解に近づけている、気がする。初回よりもおいしい焼きそばができた。

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大分県出身者による再現度ジャッジ

「おいしい焼きそば」は無事完成したが、目的は想夫恋の焼きそばの再現だ。一度しか本物を食べたことのない状態で実際どれくらい再現できているのか、気になる。
そこで、想夫恋を教えてくれた張本人であり、最初の焼きそばに手厳しい感想をくれた友人を呼び出した。

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焼きそばは作り立てが命!ということで調理前からスタンバイしてもらっていた。

一度的外れな焼きそばを食べさせられているのもあり「一回しか食べたことのない物の再現なんて、無謀じゃないですか」と痛烈。でも二度目も食べる。

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「第一印象はかなり近いと思います。想夫恋の焼きそばといえば、この肉の形ですよ。」と、彼がまず目を留めたのは、拍子切りにした肉。
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この男、肉を掴んでほくそ笑んでいる。
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肝心の味は……?

「普通にうまいな。前回の出来栄えを考えると結構びっくりする。」
やったぜ。また怒られるのではないかと内心びくびくしていたのでほっとした。

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焦げ目のついた目玉焼きと麺を一緒に食べると、より「らしさ」を感じたという。焼きそばを焼いたあとのフライパンで、そのまま目玉焼きを作ったのが良かったのかも?

ステーキ皿、肉の形、白こしょうによるスパイシーな後味、たまごの焦げ目という4つの要素により、想夫恋っぽさを感じるという感想をもらった。
あくまで「っぽさ」ではあるが、大分県の人間にここまで言わせたら大の字だ。あとはカリカリ麺の作り方を追求をしたい。


【想夫恋の焼きそばの再現ポイント】

・ステーキ皿を用意する
・麺を茹でる&焦げ目がつくほど焼く
・白こしょうはマスト
・焼きそばを作ったあとのフライパンで目玉焼きを焼く
・作りたてを食べる

大分で再び本家・想夫恋の焼きそばを食べるその日まで、ひとまずこれで飢えをしのごう。

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なお、想夫恋の公式サイトを覗いたところ、家庭用セットが売っていました。(買った)
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