特集 2020年8月6日

キーボードを禁止し「手書き」で暮らす1日

すごい枚数書くことになる。

最近、祖母に送る物があり、軽い手紙をそえた。久々に書く手書きの長文。めちゃくちゃに間違えた。いかにキーボード入力に頼っているのかがわかった。

そこで、一日キーボードなどを禁止し「手書きのみ」で生活したらどうなるのか疑問が湧いた。

手書きのあたたかみ…などの温かい話になると思いきや、リアルな発見ばかりあった話です。

1990年沖縄生まれ。営業日のお昼休みに(ほぼ)毎日更新する「今日の休憩」というブログを運営しています。

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 1日の連絡をひたすら手書きに

今回やることは簡単だ。いつもはスマホやキーボードを使う作業のすべてを、手書きに移行するだけである。1日限定のアナログ移行だ。

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準備はこれだけ。人に送る場合は、書いて、メモを撮影して、送信!以上!

ちょうど編集担当の橋田さんから連絡がきたので、手書きで返信してみることにした。 

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「ありがとうございます!」手書き生活のゴングが鳴る。スタートの割にはあやしい字になってしまった。なぜかというと
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外に出ている時に連絡が来たからだ。外で返信するにはまず邪魔にならない場所へ寄り、立ち止まってサッとメモしなければならない。外出時の大変さは盲点だった。

「これもしかしたら苦労するのでは?」と不安になってくる。すると橋田さんから返信がきた。

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なんとその返信が手書きだったのである!

てっきりテキストで返ってくると思っていたので、胸をズキューーンと打たれてしまった。

橋田さんってこんな字してたんだ!?「り」めっちゃ可愛く書くな!? など一人でウキウキする。相手もそうなのだろうか?

SNSも手書きで書き込む

せっかくなのでSNSも手書きで投稿することにした。

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「明日の昼ごろまで手書きでつぶやく」というお知らせだ。会話もしてみたかったため「リプライください」とも書いた。

連絡はくるだろうか。あと手書きだと「よざ」と最後に名前を書きたくなることがわかった。

しばらくすると

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「昨日なに食べた?画像付きで教えてください!」へ、返信がきた……し、またこちらも手書きだったのである。なぜだ。皆キーボードを使えるはずなのに!嬉しい!!なに!!
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そして食べたものを素直に返す。この、テキストでやったら死ぬほどたわいのない会話も、手書きだとなんだか味が出るのでふしぎだ。

手書きだと相手の筆跡がわかり、誰から返信がきても「おぉ〜!」と嬉しくなる。

また、当たり前だが自分で書く際も絵をいれたり、注釈を入れたり、情報を増やすことができる。たのしい! 

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そして「手書きで書ける1番難しい漢字はなんですか?私は薔薇」というお便り(お便りと言いたくなるこの感じ)がきた。ぜんぜん浮かばず「覇ですかね…」と手書きで返す。

手書きだと、こうした「字の記憶力」を問いかける遊びもできる。テキストでやるよりもぐっと面白さが増す。

と、「わ〜手書きっていいな〜」と思っていた矢先、

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先輩から重箱の隅をつつくようなリプライがきた。URL記述の指定がある…
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コピペならいいだろと思ったが、すぐに良心が「ダメです」と言った。「誰もこの動画みないだろうな…」と愚痴りつつ渋々手書きで返信する。(一応みてくれたそうです)

URLなど、デジタル前提のものを前にすると、手書きは無力らしい。

このほかにも

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また重箱隅つつきリプライがきた。絵文字…確かに普段は簡単に打ってるけど、手書きだとどうしたらいいのだろう。
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一応がんばって描いて返信した。でもなんだろう、絵文字じゃなくても、これはこれでよくないか…?
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と思ったら、きちんと好きな絵文字でアンサーがきた。かわいい!人は絵で連絡をもらったら絵を返したくなる生き物であることもわかった。

ツイッター上では、半分以上の人が気を使って手書きで連絡をくれた。

どれももらうとしみじみ嬉しい。テキストだと普通に返信するものも、手書きだといちいちニコニコし、保存してしまう。

ただ、嬉しいこともあった反面、難しいこともあった。

テキストでつぶやかれている中で、普通のつぶやきを手書きで投稿するとやや重くて浮いてしまうのだ。

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何事もないつぶやきを手書きで投稿してみた。手書きにかかる手間と、内容の軽さが釣り合っておらず「なぜこれを手書きで書くのか」と違和感が出てしまう。

 大事なお知らせとか、感謝の気持ちとかなら手書きでもいいだろう。

ただ日常のことをテキストがメインのSNS中でつぶやくと、つぶやき以上の重みが出てしまいよくないと思った。(味はでる)

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また、当たり前だが手書きは時間がかかった。1リプライ2〜7分はかかるので、ピークは1時間ずっと文字を書いていた。本にサインしまくる有名人の気分だった。

当初は 「ひとつひとつ装飾したり、かわいくして返すぞ!」と思っていた。

しかしすべての連絡を手書きで…の状況だとかなり難しかった。書いて撮って送る、書いて撮って送るの繰り返しで精一杯である。

個別の連絡も手書きで返す

すべてを手書きにするので、個人にくる連絡にも対応せねばならない。1番大変だったのがLINEである。

しかもこの日は、高校の友人から「結婚式を延期することになった」という大事な連絡がきた。

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昨今の状況特有の、深刻な話である。既読をつけてしまったし、励ましたいのですぐに返信したい。と思いつつめちゃくちゃ時間がかかってしまう。
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そして送ったあとにすごいスピードで会話が流れていく。話題に乗ろうと返信を書くも、流れ、投稿のタイミングが失われていく。
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ついに「(手書きの人追いついてない感じ)」と揶揄されてしまった。「書いてる間に話題が終わる」とかなしい気持ちを伝えることしかできない。
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すると容赦無くテンポの悪さを指摘される。
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他人の会話のテンポまで乱していると笑われる。つらい。LINEのようなチャットはテンポもかなり重要だったのだ。

長文を書くとどうしても遅れてしまう。ならばせめてLINE内のテンポ的平和だけでも守りたい。

そう思って開発したのが

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この「相槌ふせん」である。一度これらを書いておき、カメラで撮っておけば繰り返し使えるのだ!
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実際に使ってみる。このように一度送れば
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次も、画像フォルダから同じ素材を選択して送ればいいのだ。みんな!手書きは!LINEでも対応できるぞ!

この方法を別の人にも試してみよう。今度は大学の友人にLINEを送ってみる。

会話のタイミングをみて相槌ふせん発動!

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…してみたが、焦って撮ったが故の画質の汚さと、普通に会話になってないことを指摘される。
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「こっちはこんなに今日書いたんだから使い回しもするだろ」とキレかけるも、書くには長いし、自分がやってみたくてはじめたので何も言えない。

そのあとも必死に会話を続けたが、そもそもあちらは短い時間でサラッと返しているのに対し、私は時間をかけてどうだ!と重量感たっぷりで返信するので温度差がすごいのだ。

結局、どのLINEも全員「がんばってね〜」でそそくさと終わってしまった。

手書きで会話中のチャットに加わるのはかなり難しいことがわかった。

オール手書き生活のいい点、惜しい点

書くことだけで精一杯の1日が終わった。書いた枚数を数えると143枚だった。感想をまとめていく。

まずやってみてわかったよい点は

■手書き生活のいい点
・テキストより情報量がふえて面白い
・手書きでもらうと嬉しさが通常の5倍
・送るのも基本喜んでもらえる
・書くこと自体の辛さはすぐ慣れる
・他人の筆跡をみて、心が温まる
・文字を工夫したりイラスト書いたりたのしい

である。特に嬉しかったのは

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こちらのイラスト付き(おやつも)の素敵な手紙である。こういうのをいただけただけで記事関係なくやってよかった!!と思った。

また、普通に人生相談の連絡がきたので、手書きでながーく書いて返信したら、これも喜ばれた。きちんとした流れがあるとき、手書きはよいのだ。

ただ大変なこともたくさんあった。まとめると

■手書き生活の惜しい点
・スピードが落ちるので、通常より連絡の量が減る
・簡単な気持ちで書いても重めに受け止められる
・テンポや温度差のズレから、相手に気を使わせてしまう
・仕事の連絡で使うとふざけてるように見える

などである。

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特に、この状況を知っている人からは(返信不要)と気づかう注釈をいくつかもらった。

身に染みたのが、他人と連絡を取る時はおたがい「同じ形式」でやらないとうまくいかないということだ。たしかに、片方は電話、片方はメールで同時にやる…など聞いたことがない!

それぞれのツールでかける時間や前のめり感が違うので、そこがズレると温度差が出て、やる気が下がるのだ。いままで気がつかなかった。

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こっちは書くのが大変なので、先輩に「キーボード便利〜」と煽られると怒ってしまったりもした。(翌日和解した)

そういえば、LINE出現前は親とたまーにメールをするぐらいだった。しかし、今や家族グループができ、猫の画像が毎日送られてくる。

これはサクっと入力できるスマホやキーボードと、LINEなどのツールのおかげなのだ。すごい!技術進化最高!

とはいえ、手書きだとテキストだと照れることも平気で書いたりすることができて楽しかった。

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後輩から「褒めてくれ」とリプライが来たのでよーし好感度をあげるぞと言う邪悪な気持ちで大きい紙にどどんと書き、送る。こういう手間もたまには楽しい。

また、一人だけではなく、全員手書き!と言う条件ならすごく楽しいかもしれない。今度は複数人で手書きデーを実施してみようと思います。


検索なども地味にできず辛かった

基本対人のことを書いたが、キーボード禁止だと検索もろくにできず辛かった。コピペで文字をはり検索するなどで回避した。また、職場では普通に「何?」という空気になるので気をつけてほしい。仕事がほぼない日にやってよかった。誰かを驚かせたり、喜ばせたい時は手書き連絡をぜひご利用ください。ブログなども軽くならかけました。

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あと画像だけで連続ツイートすると、何にいいねされたのかさっぱりわからないことも地味に辛かったです。

 

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