まとめ
花ぼーるの味を表すのに「素朴」以外のうまい言葉が見つからないのだが、今回集めた花ぼーるはどれもあまり甘すぎず食べやすかった。ちんすこう同様、口の中がパサパサするので飲み物は必須だが。
味には大きさや形ほどの違いはないので、花ぼーるを食べたことのない方は、スーパーにはほとんど売っていないので紹介したような菓子店に行くのがおすすめだ。
そしてお土産にする場合は、小さいものを渡すのもよし、大きいのを割ってみんなで食べるのもよし。ぜひ食べてみて!
沖縄の伝統的な焼き菓子に「花ぼーる(花ぼうろ、花ぼうる)」と呼ばれるものがある。なんでも語源はポルトガルの「ボーロ」から来ているそうで、江戸時代に日本に伝わったものがそのまま残っているのは沖縄だけらしい。
沖縄県内の土産物店や菓子店などで購入できるのだが、形も大きさも店によってかなり個性がある。今回はそんな「花ぼーる」を集めてその違いに注目してみたい。
まずは花ぼーるの形について。花ぼーるは藤の花を模した形をしているそうで、ひとつひとつが職人の手作り。それも型を使うのではなく、長方形の生地にヘラなどで切れ込みを入れて形を作っていくらしい。花ぼーるは首里城公園内の茶屋などでも食べる事ができ、琉球王朝時代を感じることができる伝統的なお菓子として位置づけられている。
一方でこちらの花ぼーるを見てほしい(お盆のいちばん奥にある大きなもの)。こちらは法事などでお供えとして使われるものなのだが、名前は同じでもかなり単純な形をしている。あとデカい。材料的には同じものが使われているはずなのに姿形は全然ちがうのだ。
さらに花ぼーるは作る店によっても大きさも模様も様々なので、沖縄県内のいろいろな菓子店の花ぼーるを集めてみることにした。
首里城のお膝元である那覇市を中心に、北部の名護市も含めた沖縄県内7店舗の花ぼーるを集めてきた。まず驚くのは大きさの違い。そして形や模様はよく似たものもあれば、まったく違う雰囲気のものもありとても個性豊かだ。それではひとつひとつ見ていこう。
首里城からほど近い場所にある知念製菓。こちらの花ぼーるはかなり細かい細工が施されており、まるで食べる工芸品のよう。
ちんすこうで有名な新垣菓子店。ちんすこうは予約しないと買えないが花ぼーるは買える。こちらも知念製菓同様かなり細かく細工が施されている。
新垣カミ菓子店。先の2店舗とよく似ているものの生地の配合などによるものなのか、いちばん模様がくっきりしている印象。
牧志公設市場近くの老舗菓子店。ここでサーターアンダギーを買ったことがある人も多いはず。花ぼーるは店頭に並んでいなかったのだが、お店の方に尋ねると「ありますよ!」と奥から出してきてくれた。かなり大きく、模様はなくのっぺりとした形。
同じく牧志公設市場近くにある老舗菓子店。小洒落たパッケージに入っておりお土産用にもよさそう。中央が結び目のようになっており、鎖のような形が特徴的。今回集めたなかではちょうど中間なサイズ感。
沖縄本島北部、名護市の市営市場内にある老舗菓子店。今回集めたなかでは最もサイズが大きく分厚くて迫力がある。チューリップのような形がかわいい。
同じく名護市営市場内の菓子店。こちらもサイズが大きくチューリップ形だが、先のなかむら製菓の花ぼーると比べるとかなり薄い。そしてのっぺりとしている。
似ているもの同士を並べてみるとこんな感じ。特に小さいサイズのものは神経衰弱ができそうなぐらいよく似ているのがわかる。なんでこんなに違いがあるのかはよく分からないのだが、大きなサイズの花ぼーるは藤の花ではなく蓮の花を模したものらしい。また、小さいサイズと異なり大きなサイズでは型で生地を抜いているようだ。
大きなサイズの花ぼーるは手に持ってみるとこのサイズ感。赤ちゃんのおもちゃのガラガラにもできそうだし、
小さいサイズの繊細なあしらいもよいのだが、大きいサイズの花ぼーるの朴訥な感じも愛らしい。
生地の硬さもまちまちだったが、いちばんソフトだったのはなかむら製菓の花ぼーる。モサッ...という感触とともに割れた。
花ぼーるの味を表すのに「素朴」以外のうまい言葉が見つからないのだが、今回集めた花ぼーるはどれもあまり甘すぎず食べやすかった。ちんすこう同様、口の中がパサパサするので飲み物は必須だが。
味には大きさや形ほどの違いはないので、花ぼーるを食べたことのない方は、スーパーにはほとんど売っていないので紹介したような菓子店に行くのがおすすめだ。
そしてお土産にする場合は、小さいものを渡すのもよし、大きいのを割ってみんなで食べるのもよし。ぜひ食べてみて!
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