1ゲームの長さがのしかかる
安藤さんのバッティングを見て学ぶ。
「やっぱりこわいねえ」と言いながらも、何度か気持ちいい音を出して打ち返す場面があった。運動神経がいいってすばらしいな。
途中で「結構長い!」と叫んでいた。20回も振り続けるってそりゃあ疲れるだろう。不安になってきた。いよいよ自分の番だ。
二人に打ち方を聞いたが、わからないとのことだった。20球も振りかぶったので疲れて教える気がないのだろう。気合で行くしかない。
当たり前のように空振りしまくる。80キロなのに。
20球全部空振りだとしたら撮ってくれている二人にあまりに申し訳ない。焦りが募るが、平常心平常心。
思ったよりずっしりくる。いま見返すと明らかに下半身が使えていないことが見て取れるがほぼ初めてなので許してほしい。
しかしなんといってもゲームが長い。打てないんだからたくさん投げてもらえた方が練習になるのに、まだですか?と何回も聞いた。怠惰なバッターである。
このあと、何回か掠ることはあったが、ほとんど打てず、初バッティングを終えた。感想は、長い。でも楽しい。
ストラックアウトもチャレンジしたが、スコア0という目も当てられないほどの結果になった。
速い球を受けておきたい
80キロで情けない結果となった初打席だったが、やはりせっかくバッティングセンターにきたのなら、速い球も体感してみたい。
安藤さんはとても無理だというので、筆者と江ノ島さんでさっきよりも速い球を受けてみることにした。
まずは筆者、150キロから。
ヒュン!と顔の横を何かが通り過ぎた。 なんだこれは?スピードタイプの敵か??
大谷翔平は160キロを投げると聞いた。野球に興味のない筆者でも知っている。これより早い球を投げるっていうのか。肩にエンジンがついているとしか思えない。
しかし当たることもないだろう、という開き直った気持ちでバットを振り続ける。
瞬間、腕にとんでもない衝撃が走った。江ノ島さんと同じくデッドボールか?と思ったが、そうじゃない。打ち返せたのだ。
球の速さと重さを食らったおかげで恐怖心がいきなり出てきた。怖すぎてへらへらしてしまう。恐怖を前に人間は笑うことしかできない。
90キロに下げたとき、球が見える!と感動した。かといって打てるわけではない。一旦速い球を受ければ、二桁台の速度を打てるようになるのでは、という希望的観測もあったのだが、あっさり否定されてしまった。
江ノ島さん、170キロを打つ
右手を負傷しながらも170キロやりたいという江ノ島さん。170キロなんて本当の本当に人間が打つ速度ではない。
ご本人にいただいた感想をご覧いただきたい。
170キロの球の感想(江ノ島茂道 書)
思っていた数倍早くて、振ろうとしたときには真後ろでバン!と爆音がなり、あれ、誰か思いっきり殴られたのかな?と思ったが、 ボールがさびしくバウンドしていた。それを見て心が折れて無理だとなったが、1球ぐらい当てようと躍起になっていた。 途中、何度か打とうとしたが、全然当たる気がしない。あと、早さに慣れないし、ずっと怖い。早怖。 あまりの当たらなさに20球が長く感じた。多分50球ぐらい投げられていたと思う。
とのことです。後ろで見ていた我々も、あまりに早すぎてはじめは何が起きているのかわからなかった。打ち続けた江ノ島さんは本当にすばらしい。私だったら泣いて逃げていた。
安藤さんからも感想をもらった。
バッティングセンターは前に行ったのがいつだったのか思い出せません。もうちょっと当たるかなと思ったんですが、ほぼ空振りでした。中でも2球くらい手ごたえのあるあたりがあったので、それで満足です。仮に1球も当たらなくても、全力でバット振るのって疲れますね。当たらなくても満足感あると思います。 というか球が飛んでくるのが怖かったです。当たったら痛そうだな、が、打ちたい、よりも先に来ました。
あと、これは致命的なんですが、最近とくに近視が進行してて、夜になると飛んでくる球とかほぼ見えないんですよね。ナイターで試合してるプロの選手とかすげえな、目が良いんだなと思いました。
あと月餅さんと帰りの電車でも話していたんですが、今日は機械だからまだミスがなさそうだけど、人間が150キロの球を投げてくる横に立ちたくないなと思いました。だって怖いじゃないですか。当たったらぜったい痛いし。
ストラックアウトもあそこまで思った場所に投げられないとは思わなくて、おかしかったです。人間の体って予想以上に思ったように動かないんですね。でも楽しかったのでまた行きたいです。練習して上手くなりたい。
3人の中で明らかに運動神経が一番いいであろう安藤さんが体の動かし方が難しかったという。これはもう初回で1~2球打てただけでもめちゃくちゃ頑張った方なんじゃないか。そう思うことにしよう。
3日全身が痛かった
「結構いい運動になった」とか「会社帰りに1ゲームだけだったらちょうどよさそう」とか、喉元過ぎれば熱さを忘れるとはこのことなり、といった風情で各々感想を述べ、帰路についた。
しかし、バッティングセンターの恐ろしさはここからが始まりだった。翌日とんでもないレベルの筋肉痛がきたのだ。3日間続いた。右腕はまだ少し痛みがあり、たぶん軽い捻挫をしている。
野球ってみんなこんなに命を懸けているのか。球が打てたときの気持ちよさは何物にも代えがたいのだろう。その魅力を少し知れた今、またバッティングセンターに行きたい。もう150キロはいいです。