はじめに
はげます会では毎週金曜の夜にメルマガを配信しています。会員限定のコーナー「さいきんどう?」では、ライターに近況を聞いています。今週はこーだいさんの最近のはなしを紹介します。
昔の人たちはよく泣いた(こーだい)
あけましておめでとうございます!
寒い日が続いていますが、読者のみなさんはいかがお過ごしでしょうか?
私はというと、有料会員向けに近況を書いてくれと困る程度には何もせずに過ごしておりました。年末から年始にかけてわずかな例外をのぞいてほぼ家から出ず、食べて、寝て、起きて、また食べて、寝て。ただ、それだと一日が長くてしかたがない。そこで束の間の意識が覚醒した時間に読んでいたのが、もうすぐアニメが放送されるという『平家物語』(古川日出男訳)です。
平家物語に出てくる地名の多くは京都に住んでいる人にとってはなじみの深いものです。頼朝の差し向けた軍勢に都を追われて木曽義仲が逃げていった経路などは、私がかつて毎日のようにバイクで通った道とほぼ一致していたので、たいへんに感慨深かった。
さて、そんな平家物語を読んで一番感心したのが、登場人物たちがなにかにつけて泣くということです。
別れが悲しくて泣く。
知人の訪問がうれしくて泣く。
戦に負けて泣く。
歌に感動して泣く。
人が泣いているので自分も泣く。
老いも若きも、男も女も、高貴な人もそうでない人も、とにかく、泣く。
J-POPが「泣いてもいいんだよ~♪」などともったいつけて歌うずっと前に、ご先祖様たちはごく自然に人目をはばからず涙を流していたようです。
これはなにも泣くことに限ったことではない。人々は感情が高ぶると歌を詠み、踊り出し、悔しいことがあると本当に地団太を踏んで悔しがったのである。
なんて感情表現が豊かなんでしょう。
現代人はTwitterで「夫の行動があまりにも○○だったから、あきれて踊り出したよね」などとツイートすることはあっても、本当に踊り出すことは滅多にありません。
ところで、大の大人が人前で泣いた例としてまっさきに頭に浮かんだのが、何年も前に謝罪会見で号泣した議員でした。
当時は相当厳しく批判されましたが、これが平家物語の中の一幕であったならきっとこうはならなかったにちがいない。
議員が泣きわめきながら謝罪したら、見ている方もなんとなく感情が高ぶって泣き出し、双方すっきりしてこれでその話はおしまいになったかもしれません。
高度なコミュニケーションのような気がします。
正月の間中ずっとそんなことを考えていたので、今年の抱負は「人前で率直に泣く」にしようかと思ったのですが、とても実現できそうにないのでせめて記事の中でたくさん感情表現していこうと思います。
今年もよろしくお願いします!(ここで唐突に踊り出す)
終わってふたたび解説です
歴史の本や漫画は読み始めるのにハードル高いイメージがあるんですが、「とにかく泣く」とざっくりまとめてくれると、読んでみようかなという気持ちになりますね。
過去に掲載したライターの小話も、はげます会専用ページで全部読めますよ。
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