はじめに
はげます会では毎週金曜の夜にメルマガを配信しています。会員限定のコーナー「さいきんどう?」では、ライターに近況を聞いています。今回は3ykさんに聞きました。
これはおしゃれというより闘いよ(3yk)
こんにちは、3ykです。
最近転職しました。新しい会社には制服があります。パンツスーツとタイトスカート、ちょっとだけひらっとしたスカートの三種類から二着を入社時に選んで、毎日その二着のどちらかと、支給されたブラウスとベストを着て仕事に行きます。
もっとうんと若い頃は、制服なんてくそくらえと思っていました。ピアスを開けて、ユニクロの鮮やかなブルーのカーディガンを羽織って、左側の髪の毛はピアスが見えるくらい短く、右側は肩につくくらい長く、ピンクと黒のチェックのハイカットスニーカーを履いて、電車が一時間に一本しかない田舎町で何かと戦っていたのです。
大学生になって、10分おきに電車がやってくる街に越してからは、闘争心というか、やる気がどんどん内側に向いていきました。黒と金色のしましまの、サーカスの垂れ幕みたいなスカートからのぞく、10cmほどの足の見え方――靴下からさらにちょっとだけタイツを見せるか見せないくらい長い靴下にするか――に納得がいかず、半泣きで全部脱ぎ捨てて、布団にくるまって授業をサボることを決めたときのことを、今でもよく覚えています。
それなのに、なのか、一周回ってなのか、今のわたしは案外、初期アバター・会社員モデルとして、毎日同じ服を着ることを面白がっています。
ブラウスにアイロンをかける。背筋を伸ばす。髪をぴったり頭蓋骨に沿わせてまとめてひっつめる。もしくは前髪だけをカールさせてふんわり横顔に垂らす。制服という枠があることで、かえって小さな工夫で印象が変わるものです。ここ数週間まわりを観察してあれこれ試して、いちばんの発見はまつげでした。
まつげがくるんと上向きにカールしているとかわいい。そういう「美」があるらしいということは知っていました。知ってはいたんだけど、今まで実感として感じたことはなかった。それがね、業務を教えてくれる先輩社員の、ディスプレイを覗く横顔の、まつげのカールの美しいこと!!こんなん孔雀の羽根やんか!!あたまのてっぺんからつま先まで雷に貫かれて、退社したその足でまつげ上向かせ機(ビューラー)を買い求めました。
まつげ上向かせ機、すごいです。ついでにまつげの色を黒でなく赤茶色に塗る化粧品も買って、目の上ほんの数ミリでこんなに変わるの??!と遅刻ギリギリまで遊ぶ日々です。海はまだまだ広く深く、どこまでも行けるのだとわたしの闘志は静かに燃え続けています。
終わってふたたび解説です
3ykさんのおしゃれ変遷がわかる小話でした。
・左側の髪の毛はピアスが見えるくらい短く、右側は肩につくくらい長い
・黒と金色のしましまの、サーカスの垂れ幕みたいなスカート
・孔雀の羽根みたいな先輩社員のまつげ
などの細かい描写がかっこよかったです。
今度3ykさんに会うとき孔雀の羽根みたいなまつげになってるか楽しみです。
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