回収した歯のその後
ところで歯の妖精さんは、回収した歯はどうしているのだろうか。
英語の絵本『Tooth Fairy』では、歯の妖精さんが集めた歯は妖精の国にある歯の城をつくる材料として使われていた。
わたしは歯の城を作るほど本数を集める予定はない。
とりあえず、ジップロックに入れて戸棚にしまおう。
アクリル絵の具を乾かし、その後回収するのを忘れたまま数日経ってしまった。そして、Xデーは突然やってきた。
娘「歯、抜けたぁぁぁぁぁ~~~」
初めて歯が抜けた記念すべき瞬間、わたしは寿司を食べ過ぎて腹を下し、トイレにこもっていた。あとから話を聞いたら、妹と遊んでいてなにかのはずみで妹の足が口に当たり、その衝撃で歯が抜けたようだ。
しかもまさかの2枚抜き。たしかに気になる歯は2本あったが、1本は抜ける寸前だったものの、もう1本は多少ぐらついてるなくらいの感覚だった。
これは予想外の展開。当然、コインも1枚しか用意していない。
歯が抜けたことに驚いた娘はさっきまで泣いていたが、歯の妖精さんの話を思い出し、早速今夜枕元に置こうと既に鼻息を荒くしている。切り替えが早い。
今からもう1枚コインを用意することもできない。どうにか理由をつけて、1枚で乗り切ろう。
いつもより早い時間だったが娘が寝ると言うので、先に寝室のクーラーをつけに行き戻ってきたら、娘はソファーで力尽きていた。
歯が抜けるという初めてのできごとに驚き、泣き疲れたのだろう。
乳歯が抜けるのは成長の証で喜ばしいことだ。歯の妖精さんのコインで、いい思い出に変えてあげたい。
仕事だったら効率化しろと上司に怒られそうな無駄なフローではあるが、これもいちイベントだと考えきっちり遂行。
そしてオリジナルコインを1枚しか用意していない問題は、オリジナルコインは初めて歯が抜けた“記念コイン”として贈呈し、それとは別に歯1本につき500円を置くことで解決した。
もとの計画では100円を予定していたが、急遽500円に変更された。500円はかなり高めだと思うが、これには理由がある。
歯が抜け落ち着いたあと風呂に入った時、娘が突然「2本一緒に抜けたから、紙のお金をくれるかな?」などと言い出したのだ。
いくら歯の妖精さんでも、紙のお金はあげられない。というか、紙のお金の方が高価だといつどこで知ったんだ。ほら、コインの方がキラキラしているし、うれしくないか。
まさかの発言に固まってしまった。
紙のお金を想像している娘が100円でがっかりしては元も子もないので、あいだを取って2枚合わせたら紙のお金と同じ値段になる硬貨で手を打った。
翌朝、早起きした娘にたたき起こされた。
よかった……500円玉2枚で納得してくれている。
記念コインについてもおそらく歯の妖精さんはこういう趣旨で置いていってくれたのではないか、と第三者視点で助言しておいた。
2枚抜きというイレギュラー対応が発生しかなり焦ったが、なんとか丸く収まったようだ。
昨夜は大粒の涙を流していた娘も、歯の妖精さんのおかげですっかり笑顔に。歯の代わりに手に入れたお金は、すぐに使わず欲しいものが出てきた時のためにとっておくらしい。
入ったお金を右から左へ使ってしまうわたしに似ず堅実だ。
歯が抜けるという子どもにとっては少しこわい体験も、歯の妖精さんがポジティブな思い出に変えてくれた。
わたし自身も初めて歯の妖精さんを体験し戸惑うこともあったが、その姿や仕事内容が具体化され、2回目への自信がついたと感じる。
完璧な歯の妖精さんへの道のりは、まだまだ始まったばかりだ。
ところで歯の妖精さんは、回収した歯はどうしているのだろうか。
英語の絵本『Tooth Fairy』では、歯の妖精さんが集めた歯は妖精の国にある歯の城をつくる材料として使われていた。
わたしは歯の城を作るほど本数を集める予定はない。
とりあえず、ジップロックに入れて戸棚にしまおう。
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