ゴージャスな夜は手軽に味わえる
見た目にはどうかわからないが、やってみるとタキシードでシャンパン片手に夜景をみてみたら、冗談抜きで豊かな気持ちになった。
こういうことを書くと記事が嘘くさくなるのだが、本当なんである。
もうすこし寒くない日ならばモアベターよ(小森)。
タキシードで高級なシャンパン片手に豪華な夜景を見るようなゴージャスな夜を味わいたい!
だからといって、ちょっとエンパイアステートビル行ってくるわ、という訳にもいかない。
もっと手軽にゴージャスな夜を味わえないか?
別に特別な場所へ行かなくても、タキシードで、シャンパン片手に夜景を見れば、近所で手軽にゴージャスな夜を味わえるのではないか?
さっそく試してみるため、シャンパンを買いにスーパーへ行った。
タキシードを着るだけで、身が引き締まるような気がする。実際にサイズがきつくて腹が締め付けられているからかもしれない。
タキシードを着るだけで行きつけのスーパーが、いつもより高級に感じる。
普段気がつかなかったが花束が売っていることにも気がつく。タキシードには心に余裕を持たせる効果もあるようだ。
酒はやめているので、夜景をみながら飲むのはシャンパンではなく、シャンメリーにする。
シャンメリーには、シャンパン同様、ロゼと白があった。
夜景をみながら飲むのは、ぜひ白で行きたい。ソムリエの田崎真也さんも納得の選択である。
空腹でみる夜景ほど味気ないものはない、ということで腹ごしらえのためにラーメン店へやってきた。
タキシードを着ると普段気がつかなかった照明の美しさにも気がつく。あたかもここがラスベガスのように思えてくる。
入店して、席につく。
Aセットというものを注文。すると店員さんが、紙エプロンが必要かどうか聞いてくれた。
店員さんが言うには「正装の人や白い服を着ているお客様には紙エプロンがいるかどうかお声がけさせていただいています」とのことだった。
正装と認めてもらえて嬉しかった。
数分後、料理が運ばれてきた。
タキシード効果でゴージャスモードに入っているため、順番に届いた料理に対してコース料理のようだ、と思ったが
コース料理に慣れていないので、結局ぜんぶ一緒に食べることとなった。
というか料理が順番に出てきただけであって、そもそもコース料理とぜんぜん違うが。
よし、腹ごしらえも済んだところで、シャンパン片手に夜景をみに行くことにしよう。
ここへきて雨と風が強くなってきた。
夜景スポットを目指して道を進んでいくと…
見えてきたのは地元で有名な夜景がキレイな工場。
ここでゴージャスな夜を味わおう。
このときの気温4度。雨。強風。川沿いなので余計に寒いがダウンを脱ぐ。
その瞬間、もともとタキシードがピチピチだったところへラーメンを食べたため、上着のボタンがはじけ飛んでしまった。
このとき私は真剣に痩せようと思った。
つづいてシャンメリーを開封していくが、手がかじかんで金色の紙を剥がすのに苦戦する。
ようやく紙を剥がせたが、今度はその下にある針金をとくのに苦戦する。
なんとか針金を外し、いよいよ栓を抜きにかかる。
タキシードを着てシャンパン片手に夜景をみるとゴージャスな夜を味わえるかの検証だが、少なくとも寒さに震えながらシャンメリーを開封する姿はゴージャスもへったくれもないことがわかった。
寒さに震えながらもようやく準備ができた。
ここからが本番である。
まずは空のグラスを持ち、カメラにむかって何か話してみると…
寒さで鬼気迫る表情をしているものの、自然とみなさんが年末いかがお過ごしか気にかける余裕が出てきた。
そして…
と言いながらグラスにシャンメリーを注ぐと
とフリオ・イグレシアスの名曲「黒い瞳のナタリー」を口ずさんでいた。小学生のころ、世界一の金持ちはフリオ・イグレシアスだと思い込んでいた記憶がよみがえったのだろう。かなりゴージャスな気分である。「ナタリー」以降は歌えないが。
そして飲む。
おお、ラグジュアリー!
これが最高だった。
見た目にはどうかわからないが、やってみるとタキシードでシャンパン片手に夜景をみてみたら、冗談抜きで豊かな気持ちになった。
こういうことを書くと記事が嘘くさくなるのだが、本当なんである。
もうすこし寒くない日ならばモアベターよ(小森)。
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