特集 2019年10月2日

Googleマップで名前だけ見て気になる場所を見つける→調べずに行ってみる→ほぼ予想外で笑える

スマホが普及して「まったくなにも知らない状態で目的地に行く」ということがなくなった。行ってみたい場所があればだいたい事前に調べるだろう。

そこをあえて「施設名」だけを知っている状態にして、予想しながら向かってみることにした。

大学中退→ニート→ママチャリ日本一周→webプログラマという経歴で、趣味でブログをやっていたら「おもしろ記事大賞」で賞をいただき、デイリーポータルZで記事を書かせてもらえるようになりました。嫌いな食べ物はプラスチック。(動画インタビュー

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Goolgleマップで検索を使わずに、名前だけ見て気になる場所を探して…

 

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情報を調べずに、何があるのか予想しながらその場所に行ってみるという遊びをやります

デイリーポータルZ編集部の石川さんと名古屋に取材で行ったとき、4時間ほど空きができてしまった。

「せっかく名古屋に来たのでどこかで取材して行きたいですね」となったのだが、何も準備していなかったのでGoogleマップでおもしろそうな場所を探すことにした。

マップを見ていると「地名だけだとなんなのかわからない場所が多い」ということに気づいた。

そこで「どんな施設か調べないで想像しながら歩いて行ってみたらおもろいのでは?」という話しになり、ルールを作ってクイズ形式で現地に向かってみることにした。

適当な会話からこういう遊びが発生する瞬間って本当にたまらなく楽しい…!

■概要
Googleマップでおもしろそうな地名やよくわからない施設の名前の場所を調べて、どんな場所か想像しながら行ってみる。今回は全部で4箇所。

■ルール
・Googleマップで歩いて15分くらいで行ける範囲で探す
・「地名だけを見て行く場所を決める」ので詳しい情報は調べない
・Googleマップはクリックしてしまうと詳細情報や写真がでてきてしまうので、なるべく検索やクリックしないようにする
・「どんな場所なのか」を想像しながら目的地に向かう

1. どんぐりひろば
 

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まずは「どんぐりひろば」という場所に向かう

「どんぐりひろば」という地名を聞くだけだと、毒にも薬にもならなそうである。

なぜ行くことにしたのかと言うと、名古屋駅の近くにはなぜかどんぐりひろばが無数に存在していたからだ。不思議。


megaya:
名前からして公園なのはおそらく確定ですよね。
ただ駅の近くに同じ「どんぐりひろば」がたくさんあるのが唯一の謎…!

石川:
統一した名前がたくさんあるということは名古屋市で管轄している公園なのかも。

megaya:
あとひっかかるのが公園っぽいのにマップ上に緑色がないんですよ。

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公園などの場合は芝生の緑が配色されているはずだが、どんぐりひろばにはそれがない


石川:
完全に予想なのですが「公園」という名前をつけるためには、法律的にある程度の広さが必要なんじゃないですか?それの抜け道として「ひろば」という名前を使っているとか

megaya:
なるほど!核心ついてるっぽいですね

石川:
そもそもマップで示されているこの木のマークって公園で合っているんですかね。ネットで検索できないとそれすら疑心暗鬼になってくるな…!
 

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目的地の情報がまったくないというのは久しぶりの感覚だった。中学生のときに初めて電車に乗って友達とでかけたときのことを思い出す

megaya:
マップを見ても狭そうですね。公園くらいの広さはたしかになさそうなんですよ

石川:
もしかしたらどんぐりの木がポツンとそこにあって「どんぐりをみんなで拾う」という季節イベントが各地域ごとに行われているのでは?

megaya:
どこの部族の話しですか?名古屋駅から10分くらいで来れる場所だからだいぶ都会ですよ(笑)

石川:
たしかに…!目的地への想像が膨らみすぎておかしな方向になっているな

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歩いて自ら答えに近づいていく楽しさがあり、妄想が止まらない。正解に向かって歩いているというという高揚感もあって変な想像ばかりしてしまう。

老人ホーム、保育園、イベントスペースなどの予想もあったが、最終的には「やっぱりどう考えても公園だよね」ということで意見が一致した。

最近はどこに行くにも必ず事前にスマホで調べるし、その場所の評価を見ることがほとんどだ。こうやって情報なしだとここまで妄想が広がるものなんだなと驚いた。

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そして目的地付近へ。思っていたよりも市街地の細い道に入っていったので「本当に公園があるのか…?」と不安になってきた。

 

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どんな場所かわからないので目的地の近くに行っても「ここだ!!」という確信が持てない。顔を見たことない人と待ち合わせしているときに似てる。

「あの角を曲がればいよいよ見えるぞ!!」とディズニーランドに向かっているときにシンデレラ城が見えた瞬間くらい興奮していた。

歩きながら妄想を膨らましているので、目的地への期待値がかなり高まっているのだ。

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そしてついに「どんぐりひろば」に到着した

圧倒的に期待値を下回っていた…!

幼稚園、老人ホーム、イベント会場、大きいどんぐりの木、どんぐりを拾うイベント…

様々なものを予想して目的地にたどりついたのだが、何一つそんなものはなかった。なぜなら2人の妄想にすぎないからだ。

目の前にはただただ細小さい公園があった。

ボーイズ・オン・ザ・ランという漫画で「公園内にある柵の中で殴り合いのケンカをする」というシーンがあったことを思い出す殺伐さだった。

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ただし、期待ハズレでガッカリするというわけではまったくなかった。予想がほとんど間違っていたので2人で大笑いした
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入り口はすごくゆるいセキュリティ
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公園の奥には用具入れのような倉庫
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そして明らかにどんぐりじゃない木

石川:
歩きながら予想していたことが到着した瞬間に無になる感じは笑えますね。それにしても予想より狭い…!

megaya:
ただ、「うわ…こんなもんかよ…」ってガッカリはほとんどなくて「これが本物のどんぐりひろばか!!!」とむしろ感動すらありますね

石川:
妄想が膨らんでいただけに憧れの地に来た感があるのかも

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せっかくなので近くにある別のどんぐりひろばに行くことに。どんぐりひろばは10分以内で着ける場所にたくさんある。森で迷ったときに道しるべとして落とすクッキーみたいな感覚でひろばが存在する。
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このどんぐりひろばの奥に鉄棒があった。さっきよりまだ遊べる雰囲気がある。
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こっちは入りづらさがすごい。奥にブランコがあって3つの中では一番広かった。

 
3つのどんぐりひろばを回ってみて以下の共通点があることがわかった。

・街中に急に出現する
・柵で囲まれている
・入り口には車が入れないように柵がしてある
・掲示板がある(ちゃんと新しいポスターが貼ってあった)
・用具入れがある
・全体的になんか暗い

名古屋に来て城を見ることもなく、味噌カツを食べるわけでもなく、まさかどんぐりひろばの共通点を知ることになるとは思わなかった。

知ってても知らなくても人生においては損も得もない知識がまたひとつ増えた。この人生を無駄にしている感じが楽しい…!

■あとで調べてわかったこと

石川さんの予想がほぼ当たっていた。都市公園法という法律があり「公園」と称するためにはある程度の基準を満たす必要があるようだ。どんぐりひろばは名古屋市が定めたルールで運営されているようである。

> どんぐりひろばは都市公園とは異なり、地域の幼児の健全育成を図る目的をもって児童福祉の立場で、地域の方々と行政(子ども青少年局)が協同して設置しているもので、本市独自の「遊び場」事業です。

どんぐりひろば(暮らしの情報)
http://www.city.nagoya.jp/kurashi/category/8-14-3-6-0-0-0-0-0-0.html
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あとで合法の公園を見つけたときに「ひろばと違って公園ってレベルたけーんだな!!」と思った

 

2. 紅葉狩車格納庫

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次は「紅葉狩車格納庫」という場所に行くことに

megaya:
名前をそのまま受け取るとやっぱり車庫ですかね?

石川:
僕はバスの車庫が一番有力かなと思いますね

megaya:
駐車場とかだったら見つけたときにめちゃくちゃつまらないなー!「紅葉狩り専用の車」とかがあったらいいのに

石川:
使われ方がニッチすぎる車だ!
そういえばこの点が3つある地図のマークってたしか史跡とかですよね?そうだとすると歴史的なものの可能性も

megaya:
史跡か…
昔はこのあたりでの移動は人力車を使われていて、それが「紅葉狩車」として祀られているとか

石川:
あーいいですね!史跡系は妄想が膨らみますね。あとは石碑に何か書いてあるパターンも考えられるか

megaya:
あー!そうなってくると想像の余地がさらに無限に広がりますね。市街地だったとしても「昔、このあたりは海だった」とかの石碑が立ってる可能性もありますし

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取らぬ狸の皮算用ではないが、無駄な妄想話しをするのはなぜこんなにも楽しいのだろうか。一生こんな会話して暮らしたい。

「消防車があるのかもしれない」「紅葉にカラーリングされた車があるのかも」など突飛な予想がでたり「やっぱり車庫かもな…」と振り出しに戻ったり、歩きながら意見が行ったりきたりを繰り返していた。

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そして目的地を発見
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紅葉狩車格納庫は想定外の姿だった

megaya:
えー!なんか想像してたのと全然違う!!
車庫でも駐車場でもない!なんだろう、神社?

石川:
これは予想外でしたね!
どんぐりひろばとは違って良い意味で期待を裏切られた

megaya:
「今日はどこに行ってもガッカリする」というパターンを覚悟していたのでまさか当たりがでるとは…!

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「車」というのはお祭りなどで使用する「山車」であることがわかった。指定文化財だ!

 

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裏に回ってみると山車が保管されている倉庫もあった
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祭りのときには大通りにもでるようなので、地元の人にとっては有名な山車なのかもしれない

駐車場や車庫だと予想していたので、発見したときのうれしさが半端なかった。

やっていることは「ネットで詳細を調べないで目的地に向かう」というシンプルなことだが、誰も見たことがない新大陸を発見したような気持ちだ。気持ち次第でいつでも世はまさに大航海時代なのである。

■あとで調べてわかったこと

10月に行われる花車神明社祭で使われる。紅葉狩車の建造時期は不明らしいが、少なくとも1818年にはこの地域に祭りで使用されていたらしい。

ちなみに「紅葉狩」というのは能にある演目のこと。山車には4体のからくり人形が乗っていてそれぞれが紅葉狩にでてくる登場人物になっている。
 

 

 

 

3. 柳橋中央市場

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3つ目の目的地は「柳橋中央市場」

 

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気になるのはアイコンのピンが道路の真ん中に立っているところだ


megaya:
紅葉狩車格納庫とマップのアイコンマークが同じなので今回も歴史的なものかも?

石川:
道路の真ん中にアイコンがあるのが気になるなー

megaya:
道路の真ん中に中央分離帯みたいなところがあって、そこに石碑が立っているとか?
 

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目的地付近に到着したのだが、石碑などのものはなさそうだった
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周りを見ると市場らしいお店がちらほらとあった(時間が遅かったのでほとんどしまっていた)
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というか看板を見ると「柳橋中央市場」の文字が書いてあった


megaya:
看板に「柳橋中央市場」って書いてあるっことは、このあたりすべて含めて市場ってことか

石川:
なるほど!そういうパターンか!
道路の真ん中になにかあるんじゃなくて、市場の全体を指してピンが立っているんですね

megaya:
「昔、ここに市場があった」という予想をしてたから、失われていた文明が復活したような感覚だ…!

■あとで調べてわかったこと

・市場としては1910年に成立している(諸説あり)
・4000坪に約300店舗が営業している
・ビル内にも飲食店や市場が広がっており、マルナカ食品センターには70ほどの店舗が入っている
・駅から10分内で行けるためランチでもよく利用される
・外国人観光客にも人気がある
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名古屋駅の近くにこんな市場があるなんて知らなかった。お店がほとんど閉まっていたので次は早い時間に来てみたい。

 

4. ダイドーロボット館

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最後はダイドーロボット館という楽しげな施設名


megaya:
これアイコンのマークからしても明らかに博物館系ですよね!中に入って楽しめる施設だ!!

石川:
これは博物館や科学館で間違いないでしょうね

megaya:
というかダイドーってあの飲み物の会社ですよね?そこのロボット館っていうのが想像しにくい…!

石川:
大きな企業が宣伝用に博物館とかやっているパターンってわりとあるんですよ。これもその一つかもしれません

megaya:
なるほど!そしたらスケルトンの自動販売機とか置いてあってほしい…!お金入れて買うまでの流れが全部見えるみたいな

石川:
いいですね〜!子供連れて行きたくなるやつ

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遠足に行く小学生並にテンションあがってきた

megaya:
そもそもダイドーってロボット系にも力入れてるんですかね?飲み物のイメージしかない。

石川:
うーん、どうなんでしょう?もしかしたらキリンビバレッジ的な感じで、僕らが知ってるダイドーは飲料に特化した子会社だった、とか

megaya:
その説は濃厚な気がするな…!
 

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見えてきたダイドーロボット館

megaya:
あー!見えてきました!
建物としても大きい!これは期待できる!!

石川:
ちゃんとした施設で間違いなさそうですね。なによりも潰れているとかじゃなくてよかった…!

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しかし…

megaya:
空いてないですね…!ちょっと時間遅かったのかも

石川:
うーん、残念!でもここ予想してた博物館とはちょっと違うかもしれません。企業向けっぽいですね。新人研修ルームとかあるみたいだし

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「産業用ロボット特別教育受講者の方」という看板を見て一般向けの展示ではないことを察した
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そして石川さんがもうひとつ重要なことに気がついた

石川:
あともう一つ大事なことに気づきました…!
僕たちが話していた「ダイドー」ってロゴがカタカナじゃなくて、ローマ字で「DyDo」ですよね?これまったく違う会社では…!

megaya:
うわー!本当だ!ロゴが全然違う!!

石川:
「キリンビバレッジ的な子会社〜」とかドヤ顔で予想していたのが恥ずかしい

megaya:
ということはスケルトンの自動販売機の展示も存在しないのか。残念だ…
 

■あとで調べてわかったこと

ダイドーは工業系の機械やロボットのパーツを取り扱っている会社だった。ロボット館では産業用ロボットを見ることができる。おそらく一般開放はされてないようだったので、早い時間に行っても入れなかっただろう。

ダイドーロボット館の公式ホームページ
http://www.daido-net.co.jp/farobot/hall.html


ちなみに飲み物の方のDyDoは正式には『ダイドードリンコ』と言うらしい。初めて知った。

> 現在は大同薬品がダイドーグループホールディングスの連結子会社となっており、主にダイドードリンコおよびグループ外製薬会社向けの医薬品(栄養ドリンク剤)、清涼飲料水などの委託製造を行っている。
Wikipediaより引用


ちなみにDyDoはキリンビバレッジと自動販売機で業務提携を行っているらしい。変なところで「キリンビバレッジ」と「自動販売機」の伏線回収したみたいになったな。


 


スマホで調べないだけで想像はどこまでも広がる

まっさらな状態で目的地に向かうことは今はほとんどないから、新鮮でおもしろかった。RPGで新しい街に移動しているときのようなワクワク感に近い。

予想がことごとく当たらないというのも笑えた。そして歩いて答えを迎えに行くような感覚も心地良かった。

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最後に「屋根神」という場所に向かった

向かってみると藁葺き屋根の家みたいなところに着いた。屋根に社のようなものが立っていて、そこに神様が祀られているようだった。お地蔵さんみたいなのを想像していたので予想外だった。やっぱり予想は当たらない。

ちなみにこの記事はデイリーポータルZをはげます会の会費からの取材費で行きました。ありがとうございます…ありがとうございます…!
もちろんちゃんとした取材記事も後日に公開されます。これを言わないと会費で石川さんと名古屋旅行に行ったただの日記になってしまうので…!

 

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