特集 2020年2月21日

前澤社長より先に月へ行ってきました

想像以上にさまざまなできごとが起こった月旅行

「前澤社長より先に月へ行きませんか」
そんな誘いを受けて月へ行ってきた。しかも、1日に2ヶ所もの月に。

月は、地球から約38万km離れた太陽系と、静岡県と愛知県にある。

太陽系の月へ行くには1人約100億円の予算と訓練、時間が必要だが、静岡県と愛知県の月なら東京からでも日帰りで行ける。

地球の月は、のどかで寒かった。

※当記事は『デイリーポータルZをはげます会』のサポートによって取材させていただきました。

1988年静岡生まれ・静岡在住。平日は制作会社勤務、休日は大体浜名湖にいる。
ダイエット目的でマラソンに挑戦するが、練習後温泉に入り、美味しいものをたらふく食べるというサイクルを繰り返しているため、半年で10kg近く太る。

前の記事:お米のプロに聞く!おいしい塩にぎりの作り方


月へはタイムズレンタカーで行ける

2020年2月某日、月を目指す同志4人が浜松駅南口にあるタイムズレンタカーへと集った。
 

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運転に際して説明を受ける安藤さん

『スペースシャトルの説明を受ける安藤パイロット』というキャプションを入れるつもりで写真を撮ったが、いざ原稿を書き始めたら恥ずかしくなってきたのでやめた。

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宇宙服柄のパーカーを着てきたにも関わらず、結局コスプレする流れになった西村さん
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出発前の記念撮影。誇らしげな表情が宇宙飛行士らしい
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ただ、駅前なので気持ちを保たないと人目が気になる

ナビを静岡県の月にセットして早速出発!!

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船内は快適。デミオだからね

まじめな話、静岡県の月とは浜松市天竜区にある『月』という地名の集落である。

さっきから2ヶ所もの月とか、静岡県の月とか愛知県の月とか、書いてるわたしもわけがわからなくなってきたので早々に紹介することにした。

ここが静岡県の月。浜松駅から車で約1時間で行ける。

事前情報は、特にない。

ただただ『月』という地名に惹かれて向かっただけだったので、地名だけで本当になんにもなかったらどうしようという不安の方が大きかった。

そんな不安な気持ちが伝染したのか、西村さんがおなかの調子が悪いのでトイレに行っておきたいという。

たしかに、月には気軽に行けるトイレはなさそうだ。行こう。

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道中にあるショッピングモールの駐車場で、先ほど着たばかりの宇宙服を脱ぐ

たまたま立ち寄ったショッピングモールだったが、我々は月へ行く運命だったのだと感じずにはいられないできごとが複数起きた。

まず、このショッピングモールには温泉施設が入っているのだが、その名前が

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天然温泉 風と『月』

書店にあった静岡書店大賞 大賞受賞の本が

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『月まで三キロ』!!

しかもペラペラとめくってみると、この『月まで三キロ』という本は、わたしたちが今まさに向かおうとしている静岡県の月が舞台になっているではないか!!

あまりの偶然に仕込みを疑った。
ほかの3人は東京から来ているので、仕込むとしたら浜松在住のわたししかいないのだが(仕込んでないです)

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月まで三キロ

「ハンバーグのさわやかは、インターネットで紹介されてから県外のお客さんばっかり」
「五味八珍は愛知県でも珍しくない」

など、たわいもない話をしながら月へ向かうこと数十分、『月まで三キロ』地点にたどり着いた。

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ここが本のタイトルにもなった『月まで三キロ』だ!!
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目の前には雄大なダム湖が広がる
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景色のいいところだが、宇宙飛行士を入れても月っぽくはない

あと、風が強くてめちゃくちゃ寒い。

看板下で集合写真を撮ろうとしたら、風が強すぎて三脚が倒れ、安藤さんのカメラが壊れるハプニングが起きた。

まだ月に着く前なのに!!

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コンクリートに強打し、レンズが陥没して収集がつかなくなった安藤さんのカメラ

安藤さんは「大丈夫っす大丈夫っす」「こういうこともありますよ~」などと平静を装っていたが、大丈夫ではなさそうな顔をしていた。

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あきらかに引きずっていてかわいそうになった
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静岡県の月に到着

山道を走ること数分、ついに1つ目の目的地、静岡県の月に到着した。

これより船外活動を始める。

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太陽系の月とはうってかわって、自然豊かな静岡県の月
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我々はたしかに『月』に着いたようだ
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月の石発見!!テンションが上がり、青春の1ページを思わせる写真を撮ってしまった

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月のポスト!!出した手紙に月の消印が押されたらSo ロマンティック
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月の畑!!白菜などの冬野菜がたくさんなっていた。月でも野菜は育つ
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月の公衆トイレ!!月にもトイレ、ちゃんとあったな
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月、のどかでいいところ。日光浴するおばあちゃんの寄り合いみたいだ

月に来て宇宙っぽいことをしてみたくなったので、映画『アルマゲドン』の横一列に並んで歩くあれをやった。

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アイドワナクローズマイアーイ

これはこれで楽しかったが、民家もあるので撮っている最中人が来ないかソワソワしながら撮った。
アルマゲドンに見えるか見えないかは、あなた次第。

静岡県の月はボートの練習や大会会場としてよく利用されるらしく、合宿所のような立派な施設があった。

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看板に『歓迎』と書かれているが、こんなわたしたちでも本当に歓迎してくれるのだろうか

“一番まともそうなかっこうをしているから”という理由でわたしが玄関を開けたが、胸にでっかく『NASA』と書かれた真っ青なパーカーを着ているし、うしろにピカピカ光っている人たちがついてくるし、内心開けたくなかった。

はじめは恐る恐るだったが、施設の方が出てきて丁寧に対応してくれてほっとした。

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変なユーチューバーが来たと思われたに違いない

施設の方は、

・月にある湖は直線で2,000mとれ全国的にも珍しいため、学生の練習やオリンピック強化練習によく利用されること
・毎年3月にボートの全国大会が行われにぎわうこと
・たまに我々のようなかっこうの人が来ること

など、さまざまな話を聞かせてくれた。

オリンピック出場選手や松岡修造も来ていてすごい施設なんだろう。が、入口には月の石が無造作に置かれていてとてもよかった。

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考えることは地元の人も同じ

そのあとも月を余すことなく堪能した。

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月っぽいということを理由に、あちこち立たされる西村さん
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だんだんと顔に迷いが現れ始めたように見えるのは気のせいだろうか
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わたしを含め
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本日2ヶ所目の月、愛知県の月

静岡県の月から再び車を走らせること約1時間、今度は愛知県の月に到着。

愛知県の月は、北設楽郡東栄町というところにある。

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地球の月はどちらも自然豊かな場所だった
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月公民館を発見。『月』という字だけ見事に影になっていて切ない
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ヨドコウ製の月自主防災倉庫
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愛知県の月にはクレーターもあった!!これはうれしい!!

昼時間を過ぎていたのでどこかごはんが食べられるところはないかと話していたら、月公民館の向かいにあった集会所から声をかけられた。

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「あんたらなんなの?どっから来たぁ?寄っていき!」

集会所に『おいでん家』というのぼりが掲げられていたので、実は先ほど飲食店かと思い中をのぞこうとしていたのだ。

事情を説明すると、おばちゃんは快く中へ招き入れてくれた。

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中は月の住人の皆さんでにぎわっていた
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「けったいな人たちが来た」と記念撮影を頼まれる。喜んでくれてよかった

月の皆さんは、

・毎週木曜日に集まって、ハンドマッサージやトランプをやっていること
・愛知県の月は60軒ほどが集まる集落であること
・集落のかたちも三日月のかたちをしていること
・月の神社、月のバス停、月の学校などさまざまな月スポットがあること
・11月には『花祭』という、鬼が一晩中踊る熱い祭が開かれること

などを教えてくれた。

話を聞いているあいだ、最初招き入れてくれたおばちゃんの携帯電話が鳴った。「変だけど、おもしろい人たちだよ!!」と、あきらかに我々の話をしている。

あとから聞くと、役場の人からの「怪しい人たちが集会所の方へ歩いて行ったけど大丈夫か?」という電話だったそうだ。

役場から完全にマークされていてドキドキする。

集会所をあとにし、教えてもらった月のバス停へ。

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あったぞ、月のバス停!!

先ほどの反省を生かし、林さんの手持ちカメラで撮る。 我々は風が強いと三脚が倒れてカメラが壊れる、ということを学んだ。

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平日は5本、土曜日は予約制の上3本しか運行していないので注意が必要。わたしの地元とほぼ一緒で親近感がわく

そして、また怪しまれた。

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「ここでなにしてるの?」

こちらのおばあちゃんたちも事情を説明したらわかってくれて安心したが、なにより驚いたのは、こんなに怪しい人たちにも関わらずみんな気軽に声をかけてくれることだ。

月の人たちは、みんな親切でいい人たちだった。

最後に、月小学校へ立ち寄った。
今は廃校となってしまっているが、平成22年まで子どもたちが通っていた月小学校。

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映画の舞台になりそうな素敵な場所だ
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昇降口の屋根には、月で餅をつくうさぎの姿が。ペンダントトップにしてminneで売ったら売れそうだな、とか余計なことを考えてしまった
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窓から中をのぞく2人。これを見た時「あぁ、怪しく思われても仕方ないな」と納得した
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地球の月まとめ

地球の月は自然豊かでのどかな場所だった。

そして静岡県の施設の方も、愛知県の地元の方も、みんな親切でいい人たちばかりだった。

太陽系の月はきっと暑かったり寒かったりこんなに穏やかではないだろうし、宇宙人も怖くて家に招き入れてお茶など出してくれることもないだろう。

地球の月に行けてよかった。


月の裏側

静岡県の月からの帰り道「月まで3㎞」の看板裏が見え、林さんが「月の裏側だ!裏側を撮る人はなかなかいませんよ!」と少年のようにはしゃいでいた。

わたしも一応写真を撮ってみたものの、めちゃくちゃ逆光だった。

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月の裏側はこんな感じでした
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