特集 2026年8月6日

姉がはまったガムランに自分もはまってみる

ひとクラスぐらいの人数が目力で合図しながら演奏を合わせる

演奏体験が終わったあと、先生にガムランについて聞いてみた。

まいしろ(以下まい):本当にいまさらなんですが.....ガムランって何でしょうか?

櫻田先生(以下櫻田):「インドネシアで演奏されている打楽器のアンサンブル音楽」のことですね

まい:何人ぐらいで演奏するものなんですか?

櫻田:難しい質問ですね

まい:そうなんだ

櫻田:最大30名ぐらいかな。22人までなら減らせると思います

普段はこんな感じで演奏しているそう。

 まい:1クラスぐらいの人数で演奏するってかなり大変だと思うんですが、どうやって合わせてるんですか?

櫻田:コミュニケーションです

まい:おもしろすぎる

櫻田:目力で合図を出したり、耳で聞いたりですね。リーダー的な楽器があるので、それについていくこともあります

こちらが鍵盤のリーダーに当たる楽器。真ん中に鎮座。

まい:楽器ごとにけっこう違いがあるんですね!

櫻田:そうですね。たとえば中くらいの鍵盤楽器は、人の声に近い高さの音が出るので、聞き取りやすいんですよ。なので一番目立つメロディをやることが多いです。

大中小とあるうちのこれ。

まい:一番「大事な楽器」ってあるんでしょうか?

櫻田:曲にもよるけど太鼓かな。太鼓は両手でたたくのでかなり練習が必要だし、ガムランでは珍しくアドリブをこなせる楽器なので、ガムラン奏者の間では「太鼓が叩けるなんて!」という空気があります

こちらが「叩けるようになると演奏者の尊敬を勝ち取れる」太鼓。もちろん演奏上でもとても大事。
いったん広告です

ガムランは現地ではJ-POPみたいなノリで聴かれている

まい:ガムラン=バリというイメージがあるんですが、バリではどれくらい人気なんでしょうか?

櫻田:老若男女問わずけっこう人気ですね。現地の人は通勤の車で聞いたり、人が集まったときのBGMに流したりしています

まい「そんなJ-POPみたいなノリで聞かれてるんですか?!」(※ガムランがあぐらをかいて演奏する楽器なので敬意を評してふたりともあぐらをかいています)

櫻田:インドネシアが国として伝統音楽を支援しているので、バリ島ではけっこうしっかりしたコンテストがあるんですよ。なので、コンテストのたびに話題の新曲や演奏者が出てきて盛り上がります。

まい:ちなみに、インドネシアの人ってみんなガムランを弾けるんでしょうか?

櫻田「バリ島で弾いたことない人はいないと思います」

まい:力強い

櫻田:日本でいう町内会のようなところで叩いた経験がみんな一度はあるんじゃないかな

まい:教室に来ていきなり「じゃあどうぞ」と叩きはじめるのが衝撃だったのですが......

櫻田:実際もあんな感じです

これが本場スタイルの指導だ!

櫻田:インドネシアってそもそも学校で五線譜を習わないんですよ。というより、日本のように西洋以外で五線譜を習う国の方が珍しいです。

音楽の授業でおなじみの五線譜。世界共通で習うもんだと思ってました......!

櫻田:なので、現地の方は「楽器=楽譜を見ながら演奏する」ではなく「楽器=教えてもらって耳コピするもの」だと思っています

まい:現地の方ってみんな耳コピでさくさく覚えられるものなんでしょうか?

櫻田:伝統的な曲ならある程度パターンがあるので、全部覚えなくてもだいたい弾けるんですね。「ここだけおさえればいい」というポイントだけ聞いて覚えています

まい:あの、シンプルに気になるのですが......楽譜なしで覚えて忘れないんでしょうか?

櫻田:忘れる人は、忘れます

まい「安心したー!」

櫻田:でもいまは録音や動画があるから便利になっていますね

まい:楽譜じゃなくて耳コピの場合、同じ曲でも地域や年代で違いが出る気がするのですが......?

櫻田:全然違いますよ!伝言ゲームみたいなものなので、同じ曲を弾いているのに年配の人に「昔と違う」といわれることもありますね

いったん広告です

バリでは楽器と演奏者の結婚式をやることもある

まい:ガムランの楽器って装飾が豪華なイメージがあるんですが、これはなんででしょうか?

櫻田:もともとが「神様に捧げる音楽」なので、楽器も綺麗にすることが多いんですよ

まい:どなたがデザインを考えているんでしょうか?

櫻田:彫る人だったり、依頼した人の趣味だったり。「今回は動物をいっぱい彫ろう!」とかそういう感じです

教室で使っている楽器はこんな感じ。かなり気合が入った彫り込みがある。

まい:じ、自由だ......!

櫻田:すべて手作りなので、発注者や彫る人が好きに決められるんですよ。手作りだからとても大事にされていて、バリでは「楽器と楽団の結婚式」をやっています

まい:馴染みがない文化すぎる

「先生も結婚式やったんですか?!」と聞いたら「やっていません。外国人なので。」ときっぱり言われた。残念!

まい:ガムラン=屋外で演奏するというイメージがあるのですが......

櫻田:インドネシアの(伝統的な)家はそもそも壁がないですからね

まい:盲点でした

櫻田:ガムランに限らず、何をするにも屋外か半屋外かのどちらかです

まい:なるほど......! あとガムランの演奏を見に行ったとき、楽器にみかんやバナナが供えられていたのですが.......

ステージで見かけたのがこちら。楽器の横にフルーツ盛りがあった。

櫻田:バリでは、毎日決まった場所にお供えをするんです。なので私たちも演奏のときは舞台と楽器にお供えをしているんですよ

まい:本場に合わせてるんだ!

櫻田:「ガムランを生み出した音楽の神様へのリスペクト」といった意味あいですね

言葉の節々から先生のガムランへの愛情を感じる。
いったん広告です

耳で聞こえない音を浴びられる生演奏が一番!

まい:ガムラン×ロックとか、ガムラン×レゲエみたいなものもあるんですか?

櫻田:他のジャンルと合わせている方はいますね。音が5個とか7個とかしかないので、ドレミの音が弾ける鍵盤を作って演奏している方はいます

まい:すごい努力だ......。 歌を合わせることもあるんでしょうか?

櫻田:本場だと歌ありの方が多いと思います。日本だとインドネシア風に歌を歌える人がなかなか少ないんですよね

まい:それは......そうですよね

櫻田先生による日本の伝統楽器とクロスオーバーしたガムランの例。

まい:「初心者がガムランを聴くときのコツ」を教えてください!

櫻田:なるべく生の演奏を聞いてください

まい:なるほど!

櫻田:ガムランは人が聞こえない音もでているので、それをふくめて生で「浴びる」のが一番なんです。スマホなどだとデジタル処理されているので、全然違って聞こえるんですよ

まい:ステージで生で見るのが一番なんですね!

櫻田:あとどうしてもスマホで聴きたいなら、インドネシア語か英語で検索した方がいいですね。耳が肥えている現地人がアップしたものを聴けます。

おすすめの検索語。コピーして検索にどうぞ。
  • Gamelan Bali (バリ島のガムラン全般)

  • Tabuh Bali(バリ島の器楽曲)

  • Tari Bali(バリ島の舞踊曲)

  • Tabuh Bali Klasik(古典器楽曲を聴きたい場合)

「生でガムランを浴びてみたい!」という方はこちらから。先生の次回公演があるそうですよ!

北とぴあ国際音楽祭2026参加公演
Interactions(相互作用)Vol.3 Music(ミュージック) 

  • 2026年 11月15日(日) 16:00開演(15:30開場)
  • 北とぴあ つつじホール(東京都北区王子1丁目11−1)

伝統音楽でありながらいまも老若男女に聞かれているガムラン。

 

「とりあえず叩けば音は出る」みたいなところがあるので、意外とハードルが低いし、楽譜が読めなくてもいいのである意味ピアノなどより気軽かもしれない。

 

楽器に興味がある方、なんとなくなにかを始めようと思っていた方、ぜひガムランを!

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
撮影係として同行しました。僕もちょっと叩かせてもらったのですが、次の音を叩くのと前の音を止めるのを同時にやらなきゃいけなくて、すごく独特の難しさがあるな!と思いました。
また2ページ目で叩いているレヨンは横から聴いていても全くフレーズが覚えられず、より一層の高難度。
まいしろさんはこういう時「全然わからないです!?」とかはっきり言うタイプなので見てて面白いんですけど、先生は先生で笑顔で物腰柔らかくめちゃくちゃ難しいことを言ってくるので、その掛け合いが楽しい取材でした。記事からもそれを感じてもらえたらと思います。(石川)

<もどる ▽デイリーポータルZトップへ

記事が面白かったら、ぜひライターに感想をお送りください

デイリーポータルZ 感想・応援フォーム

katteyokatta_20250314.jpg

> デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」が届きます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ