行ってよかった
地元で、見知らぬ人たちに囲まれて、真夜中に目頭が熱くなった日。
きっと、どこか自分が知らないところでこういったドラマが毎日起こっているんだよなあ、と、ふと思った。その場に立ち会えてうれしい。
思い出のゲーセンは無くなってしまうけど、最後にまたひとつ大きな思い出を私に残してくれた。

そして夜の23時過ぎ、また再訪することにした。せっかくなら最後を見届けたい。
もしかして「ちょい甘」が「激甘」になっていたりしないだろうか?
店に入ってみると、人の多さはさほど変わらず。
ただクレーンゲームは確実に景品が減っていた。
袋を持っている人たちが激増しているぞ。
もしかしたら店員さんが取りやすくしてくれているのかもしれない。
今がチャンス!と私も追加で課金することを心に決めた。が…
昼にスマホ決済の便利さを覚えたばかりに、夜は現金を置いてきてしまったのだ。
悔しくて人生で一番床を見ながらウロついた。
奇跡的に100円玉落ちていないだろうか。。
しかし100円玉を見つけることは叶わないまま時は過ぎ、閉店時間の24時になった。
店員さんたちがもう閉店です、と店内を回りだし、2階にいた人たちも含めて外へ。
店員さんたちが出てくるのを待っている間、私と同様に少し遠巻きで見ている男性に声をかけた。
ひときわ大きいSEGA袋を持っていたので、収穫すごいですね、と。
「これでも近くにいた人にあげて減ったんですよ」と男性。
飲み屋が多く、吞べえの聖地と言われる立石において、お酒が飲めない男性は、このゲームセンターでとてもお世話になったという。
昨日も来ていたそうで、最後だから残っている景品をなるだけ取ろうという意気込みで手あたり次第やっていたらしい。
きっと、他の常連さんたちも同じような意気込みだったのだろう。
なんせ店長さんが最後のあいさつで「昨日は最大の売上でした。そして今日、それを塗り替えました!」と言っていた。
常連さんたちは「お疲れ様です!」と熱い拍手をおくった。
感極まって涙する人も。
私はその光景を見て、店員さんたちだけではなく、この日頑張って遊び倒した常連さんたちにもお疲れ様の気持ちが湧いた。
店長さんは「できたら、これからも暇なときには近所のゲームセンターで遊んでいってほしい」と言い、最後は元店員さんたちも一緒に並んでシャッターをゆっくりしめていった。
正直、ここまで熱狂的な夜になるとは思っていなかった。
静かに最後を迎えるのかなと。
私は中学の時、放課後にみんなでここに集まった。
それと同様に、ここに来れば仲間がいて、馴染みの店員さんがいて、よりどころの1つとなっている人たちがたくさんいたのだ。
それが分かって、とても嬉しい。
地元で、見知らぬ人たちに囲まれて、真夜中に目頭が熱くなった日。
きっと、どこか自分が知らないところでこういったドラマが毎日起こっているんだよなあ、と、ふと思った。その場に立ち会えてうれしい。
思い出のゲーセンは無くなってしまうけど、最後にまたひとつ大きな思い出を私に残してくれた。
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