特集 2022年2月10日

普通はそれだけで食べない食べ物試食会 (デジタルリマスター)

クッキーやケーキ類などの洋菓子に、銀色の小さなツブツブがついていることがあるだろう。

「ああ、あれね」と思い当たる方も多いと思う。ただあのツブツブ、くっついているお菓子と自動的に一緒に食べることになるので、それ自体がどんな味なのかわからない。

筆者で言えば、名前も知らない。食べたことがあるのに、名前も味もわからないような食べ物というのがある。

主役になれないそんな食べ物たち。今回はそれだけを純粋に味見してみました。

2008年2月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

前の記事:トランプで一番味のある奴・ジャック(デジタルリマスター)

> 個人サイト テーマパーク4096 小さく息切れ

身近な謎の味覚たち

食べた経験があるのに、そういえば味がわからないものたちの試食会。まずは冒頭に挙げた例の銀のツブツブを試してみたい。製菓材料コーナーにそれはあった。

080208_001_photos_v2_x2.jpg
用途もやはり飾り付けということらしい

「トリオスプレー」というセットで売られていたこの商品。確かにどれも洋菓子にくっついているのをよく見かける。

さて、銀のツブツブは一体なんなのだろうか。

080208_002_photos_v2_x2.jpg
アラザンというらしい

おお、どうやらこのツブツブ、「アラザン」というものであるらしい。今こうして書いたところ、一発でカタカナに変換されなかったので、それほど一般的に知られている名前ではないのかもしれない。

正体は砂糖の粒とのこと。それにしてもピカピカだ。

080208_003_photos_v2_x2.jpg
お椀に入れてみました
080208_004_photos_v2_x2.jpg
食べ物とは思いがたいキラキラ感

お菓子にくっついているのを見るときは何も感じなかったのだが、こうしてツブツブだけを取り出してみると食べ物という感じがしてこない。ピッカピカのキラキラで、視覚がそれを食品だと認知してくれない。

どんな味がするのだろうか。違和感を振り切り、試食開始だ。

080208_006_photos_v2_x2.jpg
今までしたことない食べ方

パリボリパリボリ……。噛むと口の中で結構な音をたてる。これまた食べ物っぽくない食感だ。

味は………甘い。特にそれ以上はない感想。

うーん、やはり装飾的に用いられる食べ物という感じだ。ただ、試してみたかったことをできて納得した感じはある。


さて、アラザンと一緒に入っていた色とりどりの細かいチョコレート。思えばこれも単独では食べたことがない。まあチョコレートなのはわかるが、どんな味なのだろうか。

080208_008_photos_v2_x2.jpg
「ミックスカラースプレー」という名前らしい
080208_007_photos_v2_x2.jpg
青線の茶色いチョコと比べて、原材料にあまり違いはない

ソフトクリームなどにくっついているのを見かけることのあるこのチョコ。今回買ったセットには茶色い方の細かいチョコも入っていたので原材料を比べてみたが、着色料以外の違いはあまり見られない。

さて、これだけでいってみます。

080208_010_photos_v2_x2.jpg
未知なる味がするのだろうか

うーん、あまりチョコっぽい味がしない。

茶色い方と食べ比べてみるとよくわかるのだが、いわゆるチョコレートの香りがカラーの方ではあまり感じられない。かといって特別な味がするわけでもない。

ふーん、という感じくらいしか思い当たらない。まあ確かめられたのでよしとしよう。


ところで、製菓材料コーナーでは他にも気になるものを見つけた。

080208_011_photos_v2_x2.jpg
「アンゼリカ」というらしい
080208_013_photos_v2_x2.jpg
謎のたたずまい

緑色の細長い砂糖漬けらしき物体。名前は「アンゼリカ」というらしい。初めて聞いた名前だ。

これ、筆者が子供の頃に食べたクッキーなどにくっついていたのだが、みなさんは口にしたことがあるだろうか。最近はあまり見かけなくなった気がするのだがどうだろう。

080208_012_photos_v2_x2.jpg
このように薄く切られた状態で用いられることが多い
080208_015_photos_v2_x2.jpg
正体はふきだった

裏面の原材料名を見たところ、正体はふき。

確かに言われてみればそういう形をしているが、意外に感じられた。かなり派手な色をしているのに、実体とは地味な和食の食材だったのか。

ではこれも丸かじりしてみよう。

080208_016_photos_v2_x2.jpg
あまーい…

甘い…。ひたすら甘いなあ、これ。

砂糖が中まですっかりしみこんで、ふきの風味などまるで感じられない状態。ふきだと言われてもそういう感じはしてこない。やはりこれだけで食べるようなものではない。

飾りつけ用の食べ物であることに納得。さて、ここまで洋菓子系のものを食べてきたので、今度は和の系統の食材も試してみよう。

いったん広告です

主役にならない食べ物たちの味

続いて試してみるのは寒天。あんみつなどに入ってる半透明の四角いやつは寒天から作るだろう。個人的にあれが好きなのだ。

海藻から作られる寒天。ならばそれだけ食べてもそれなりにいけるんじゃないだろうか。

080208_021_photos_v2_x2.jpg
海藻なのに信州というのが意外だった
080208_022_photos_v2_x2.jpg
普通じゃない食べ方

バリッ!と丸かじりしてみる。うーん、これは……。

おいしくない。口の中でもしゃもしゃするだけで、ちっともうまくない。なんとなくビニールを思わせる食感もなかなか厳しい。これはやはりちゃんと溶かして使うべきだ。

080208_024_photos_v2_x2.jpg
あとから気づいたお願い

寒天を噛みながら見ていたパッケージのお願い欄。前半はいいとして、最後の2行に「わらくず、土等がついていることがありますので…」とあるではないか。

そんなのちゃんと見なかった。食べちゃったかも、土。

味としても気づきとしてもウヘーという感じだった寒天。残念ながら寒天丸かじりはやめておいた方がいい。


続いて試してみるのは、日本酒に入っていたり、酢の物などにかかっていたりするのをたまに見かけるあれだ。

080208_025_photos_v2_x2.jpg
もうこれは食べ物じゃないはず
080208_026_photos_v2_x2.jpg
でもちゃんと食品っぽいことが書いてはある

金箔だ。誰が最初に始めたのか知らないが、食べ物に金箔がかかっていたり混ざっていたりすることがある。食品コーナーに置いてあったので、一応食品と言うこともできるのだろう。

成分を見ると、98.9%は金であるらしい。かなり本気で金だ。

080208_027_photos_v2_x2.jpg
ピッカピカだー

袋から出してみてもやはり金。もうこれは金そのものであって、食べ物ではない。

それでも食べちゃっていいらしい。飾り用の要素が強く、もうあからさまに金属であるわけだが、これだけで食べると一体どんな味がするのだろうか。

080208_028_photos_v2_x2.jpg
いただきまーす、と書いたところで違和感
080208_030_photos_v2_x2.jpg
うーん…

うーん、もそもそする。おいしくない…。

味はないと言っていいだろう。もっと「ザ・金属」といった味がするかとも予想していたのだが、そんなことはなかった。逆に言えばそれで拍子抜けした感もある。

食材に豪華さを添える金箔だが、それだけで食べると豪華さはなぜか消える。うーん、という感じがするだけだ。


続いて試してみるのはもう一つ和の食材。よく吸い物に浮かんでいたりするあれだ。

080208_031_photos_v2_x2.jpg
「謎」という字と「麩」という字は少し似ている
080208_033_photos_v2_x2.jpg
かわいらしくて食べたくなる

麩である。吸い物がしみこんだ麩は実においしい。

この麩、実はそれだけで食べてもいけるんじゃないかと前々から思っていた。ちょっとしたスナック感覚で、サクッとおいしいのではないだろうか。

080208_034_photos_v2_x2.jpg
予感はむなしく破れる

そんな期待はあっさり消えた。これはおいしくない。さらに言えばまずい。

小麦粉の生っぽさとでも言えばいいのだろうか。そうしたものばかり感じられて、ちっともスナック感覚などはない。うーん、残念。これからはちゃんと吸い物に入れて食べよう。


最後に試すのは、和の麩に対して洋のクルトンだ。和食と洋食の違いはあるとは言え、食品のイメージとしては少し似ている部分もあると思う。

080208_035_photos_v2_x2.jpg
確かにスープのおいしさがUPすると思う
080208_036_photos_v2_x2.jpg
いいにおいがします

スープに入ってるのを見るとなんとなくうれしくなるクルトン。パッケージにもあるとおり、カリカリしておいしそう。ただ、スープに入ってるとうっかりふにゃふにゃにさせてしまうことも多い。

クルトンだけを食べれば、カリカリ度100%だ。ではこれだけで実食。

080208_037_photos_v2_x2.jpg
おお、これはうまいぞ!

これはおいしい!今回の試みの中で初めてそう思った。

 カリカリとした食感に加え、香ばしい香りもする。塩系の味がほとんどないため、風味と噛みごたえが強調されて意外なおいしさにつながった。

やっとうれしい結果になった。納得度もおいしさも高いクルトン、スープに入れる前にちょっとつまんでみるのもいいと思う。


080208_018_photos_v2_x2.jpg
バニラビーンズも強烈できつかったです
 

 普通はそれだけで食べない食べ物試食会。あまりおいしいものがあったわけではないが、気になっていたことを試すことができた意味では納得した。

プリンやアイスに混ざっていることのあるバニラビーンズも、そのまま食べてみたら強烈過ぎてきつかった。

もう納得したので、これからは普通においしく使われた状態で食べることにしたいです。

▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ