結婚式もお葬式もどちらも「旅立ち」
2人の門出を祝う結婚式も、故人を見送るお葬式も、言ってみればどちらも旅立ち。
実際にハトが飛び立っていく様子を間近で体験すると、だからどちらも合うんだな……と納得するものがあった。
コロナ禍は各種セレモニーの数が減って大変だったけど、ここ最近は回復傾向だそう。ハトたちの出番も増えることになりそうです。
取材協力:ハトヤTOKYO
ここまで話を聞くと、ハトが飛び立つところを見たいもの。せっかくなので、鏡さんにハトを飛ばしてもらおう。
ハトを飛ばすのは、丘の上にある高山神社の境内。「10羽を3回くらいやりますか」と、鏡さんは神主姿からTシャツに着替えてハトの準備に移り、我々は先に境内に向かうことにした。
緑に囲まれた、ポッカリ開けた空間。この日は風も穏やかでとても静か。ハト日和。
本殿の姿こそ無いが、燃え残った柱を活用して小さな社が作られていた。ときおり地元の方が石段を登ってきて参拝に訪れる。散歩コースにもちょうどいいのかも。
カメラをセッティングしながら待っていると、鏡さんがトラックで登場。荷台にはハトたちが10羽ずつ、3つのバスケットに収まっており、「なになに?」とキョロキョロしている。
だいたいあっちの方向に飛ぶから……と、鏡さんがアタリをつけてセッティング。せっかくなので、バスケットの中にGoProも入れさせてもらう。ハト目線映像が撮れるかな。
じゃぁカウントダウンでいきますよ! 5,4,3,2,1……!
10羽のハトたちが一斉に大空へ……!
現場にいると、パタパタパタパタ!と羽ばたく音がとても響く。鳥が目の前で飛んでいくリアルがあって、そのリアルを残したままその姿は空に吸い込まれていく。
「あぁ旅立っていったなぁ」という感慨がある。
GoProの映像を見ると、バスケットのフタが開いたことに気付かないハトがほとんど。1羽が「開いてんじゃん!」と飛び立つと、「え!俺も私も!」と飛び立っていく。かわいい。
別のバスケットのハトたちにも飛び立っていただこう。
ほぼ一斉に飛び立ったさっきの10羽とはまた違い、1羽ずつテイクオフしていく感じになった。これはこれで飛び立ったあと、ハトたちが描くラインが美しい。
3回目。さらに1羽ずつ「行きまーす」って感じで飛んでいく。
鏡さん曰く、今回ちょっと急ぎで準備していただいたので、なかには小学生みたいな若いハトも混ざってしまったとのこと。きちんと演出をするためには、やっぱり準備って大切なんですね。
そうそう、ハトを手に持って飛ばすのも体験させてもらいましたよ……!
「ハトは足で蹴って飛び立つんで、踏ん張れるように両手の小指に足がかかるようにしてください」とご指導を受ける。なるほどなるほど。
いやでも、既にハトが飛び立つ気まんまんなのだ。全身に「飛びたいです!」という力がみなぎっている。包み込むようにふんわりと、でもしっかりと力を入れて抱えないと、スルリと飛んでいきそう。待って待って!
さて、飛び立っていったハトはどこに行ったのかというと……。
境内から小屋までほんの100メートルほど。あっという間に帰ってきちゃう。これが帰巣本能かー。
周辺をグルグル回って、また小屋に戻るハトたち。こうやって周りの景色を覚えているのだろう。これも訓練のひとつになったかな。
2人の門出を祝う結婚式も、故人を見送るお葬式も、言ってみればどちらも旅立ち。
実際にハトが飛び立っていく様子を間近で体験すると、だからどちらも合うんだな……と納得するものがあった。
コロナ禍は各種セレモニーの数が減って大変だったけど、ここ最近は回復傾向だそう。ハトたちの出番も増えることになりそうです。
取材協力:ハトヤTOKYO
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