特集 2022年11月29日

舞いあがれ!「第一回蛍光灯の箱投げ全国大会」

先日、「第一回蛍光灯の箱投げ全国大会」が開催され、熱戦が繰り広げられた。今回はその模様をお届けしたい。

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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蛍光灯の箱を飛ばすためだけに、大人たちが集結

「蛍光灯の箱って結構飛ぶんですよ。大勢で投げて大会とかやったら面白いと思うな~」。ある日、深く考えずDPZの林編集長にそう話した私。昔から蛍光灯を変える時によく投げていたのだ。

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何故?って、こんな細長い棒状のもの誰だって投げてみたくなるはず

林さんが「良いですね!」と食いついてくれて体育館を予約してくれた時、正直少々焦った。(こんな企画で良いのかしら?)。しかし、その場所に行ってみてさらに焦った。

完璧なるオーバースペック

だって、飛ぶと言ったってたかが5,6mなのだ。そんなことのために、大人が私以外に4人も集まってくれてるのも焦りを助長する。 

右から私、林選手、トルー選手、べつやく選手、石川選手

林選手なんて抜けられないリモート会議を体育館でこなしながら、参加してんだぞ!

「今日は蛍光灯の箱を投げる企画がありまして」と先方に説明している声が聞こえてきて、私の焦りはマックスに

「いや、そんなに飛ぶわけでもないんですよ。エヘヘ」…今さら言えない!ええい、ままよ!追い詰められた私は、皆の前で一か八か思いっきり投げてみた。

そりゃあ!
ポスッ

約6m。この時、はっきりと(あれ?やばいぞ、これ)という空気が充満したのを感じた。

皆で試行錯誤の開始

それでもあらゆる企画に挑戦してきたDPZの猛者達は文句も言わず、率先して練習を始めてくれた。

「下手投げはどうでしょう?」とトルーさん。体育館を横に使用してる時点で、皆が何かを察しているのが分かる

今回用意した蛍光灯箱は2種類。私が持ち込んだ日立製ハイホワイト(以下、クラシック)と、林さんがネットで見つけたもの(以下、ニュータイプ)。

ニュータイプはクラシックと比べると、かなり太くて丈夫

皆で試投を繰り返すうちに、どちらも力任せに投げるとすぐ落下してしまうが、絶妙な加減だとやはり結構飛ぶことが分かってきた。

林選手もリモート会議から復帰。必死に遅れを取り戻す

練習の結果、平均して8m以上は飛ばせるようになってきた。

ルール決め

練習と同時進行でルールも決めていく。 

なにしろ、地球上で初めて行われる大会。何をやるのかから決めなくちゃ

その結果、ルールは以下のように決定した。

~ルール~
①1人2投。「1投目+2投目」の合計距離で競う(投げることは“投箱”と呼ぶ)
②1投目は素の状態の箱、2投目は自由に改造した箱を投箱する
③箱はクラシック、ニュータイプ、どちらを選んでも良い
④記録は着地点ではなく、到達点。着地後に床を滑った分も含め計測

特に②は重要。これは最初から思いついてたので、事前に「どんな細工をしても良いので、道具を持ってきてください」と皆さんに伝えていた。

一通り試投を終えた後は、工作タイム。

断っておくが、スポーツの光景である
皆、謎の材料を持ち込んできている。気になるが本番までは聞かないでおこう

さあ、準備完了。いよいよ競技開始!

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箱児達の夢の舞台、始まる

まずは選手入場。

こういうのは適当じゃなくてきちんとやりたい

第1投目(素の状態の箱)

まずは1投目。唯一の経験者である私は負けるわけにいかない。箱は投げ慣れたクラシックを選択。

投箱前お馴染みのルーティン。箱に祈りを込めて集中力を高める
だりゃあ~~~!
ああ、何故か戻ってきた!
箱の先端までを計測

なんと7m37cm!平均の8mを大きく下回った。早速の大波乱。  

浮かない表情の石井選手

ここからは各選手の1投目をダイジェストでご紹介。

林選手、トルー選手1投目

短時間の練習で掴んだ感覚が、それぞれのフォームの違いに出ている
「パコーン!」という箱の着地音は、日本庭園の鹿威しを思わせる。雅なスポーツだ。

 べつやく選手、石川選手1投目

皆、ラインぎりぎりを攻めている。勝ちたいんや!

この体育館は廊下に面しているため、他の会場使用者が頻繁に通り過ぎる。しかし、我々と目を合わせる者は誰もいない。

1投目の結果はこの通り。

私以外は平均の8mを順調に超えてきた。石川選手はK点(蛍光灯の箱点、の略)超えの大投箱!
堂々の世界新記録!

優勝候補のはずが、最下位。このまま終わるわけにはいかない。私のしっぽに火が付いた。 

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2投目。負けられない戦いが、箱にある

2投目は下位から順に投げていく。投げる前にどういう哲学で箱を改造したのかも説明してもらう。

まずは私。クラシックの空気を切り裂く感じとニュータイプの安定感。両者の良いとこどりを目指した。

そこでまずはニュータイプを改良し、半分の太さに

さらに翼を付けてみた。

翼よ!これが飛行機が飛ぶ原理すらいまいち理解していない男の工作だ!

念のため垂直尾翼もつけてみた。 

何の役割かも分かっていないが、これでめちゃくちゃ飛行姿勢が安定した

さあ、優勝候補の意地を見せてやる!

夢を信じて生きていけばいいさっ!
ぎゃあ~!
感無量

なんと!21mの大記録。1投目の約3倍も飛んだ!広い体育館も無駄じゃなかった。

べつやく選手2投目

べつやく選手は当初、パチンコ方式を考えていたのだがうまくいかず断念。シンプルに先をとがらせ、空気抵抗を減らす作戦に出た。

 

シンプルイズベスト、かもしれない
電池で先端を重くする工夫も
おりゃあ~
17m17cm。やっぱり1投目より飛躍的に伸びてる!

林選手2投目

最初からずっと「作ってみたいものがある」と言っていた林選手。それがこれ。

「アトラトル」という投槍器

アステカなどで使われていた「アトラトル」という道具で、テコの原理で非常に遠くまで槍を飛ばせるという。しかし、練習では突起が箱に引っかかり全然上手くいってなかった。 

地面にビターン!

本番はどうか? 

人類の叡智を見よ!
18m10cm!人間舐めんな!

トルー選手2投目

トルー選手は、方向性としてはべつやく選手と近い発想。 

一見、何も手を加えていないようにも見える

当初は投箱時に回転を加える為に作った持ち手。 

しかし思うように回転がかからず、単純にぶん投げやすいよう握りこむための持ち手に変化。 

さらに、べつやく選手と同じく先端を重くするためガムテープをぐるぐる巻きに

さあ、思う存分ぶん投げてくれ! 

高身長を活かした、高いリリースポイント。高さで距離を稼ぐ!
室伏さん、見てますか?

出た~!とんでもない大記録、21m5cm!

石川選手2投目

泣いても笑っても2投目もラスト。1投目にK点越えを見せた石川選手だが、一番物議を醸す改造を施してきた。何しろ、パッと見ただけではどういう原理で飛ばそうとしてるのか、皆目見当つかないのだ。

山奥の村で誰にも知られず数百年続いてきた奇祭、といった趣がある

説明を要約すると、こうだ。筒形の箱の形状を活かし、中に長い棒を突っ込む。箱の先端にゴム紐がついているので、テンションがかかる。

ゴム紐をグイ~ンと伸ばす

その状態で箱を押さえ、投げると同時に手を放す、という仕組み。さすがヘボコン主催者。他の皆と発想の根本が違い、「装置」といった感じがある。 

ガムテープを放すと飛ぶ。釣り好きなら「ベイトリールを投げる要領」と言えば伝わるか?

さあ、果たしてこの仕組みで飛ぶのか?

もはや競技が剣道に変わってる!石川選手の「やあ!」という声が体育館に響き渡る
15m80cm。まずまずの結果。でも、これは投箱練習を重ねればもっと記録伸びそうだった

これで全員の投箱が終了。

結果発表

1,2投目の合計距離を集計した最終結果は…

トルー選手、30mの大台に乗せた!私は僅かに届かなかった…

最初は色々焦ったが練習と改造によって徐々に記録は伸び、最終的には白熱の展開となっていた。ゆえに悔しさも湧いてくるが、ここは初代王者、トルー選手に素直に敬意を表したい。 

3位までにはメダルが授与された。トルー選手、次は見ててくださいよ

みんなの挑戦、待ってるぜ!

競技終了後、全員共通した意見が「まだまだ記録は伸びる」というもの。そう、この競技はまだ産声を上げたばかり。第2回大会では、この記事を読んでくれたあなた達こそ主役になるのかもしれない。

独創的な投箱フォーム、思いもよらない改造。みんなの挑戦、待ってるぜ!

向こう側の壁にタッチする日は、そう遠くない
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