デジタルリマスター 2022年8月20日

流れるプールの速さ調べ(デジタルリマスター)

泳がなくていいなら楽なものだ

プールはそんなに好きじゃないけれど、流れるプールは好きだったりする人は多いのではないか。というのも、泳がなくても勝手に流されることができるからだ。

勝手に流されると言えば海や川もあるが、流れるプールは気を抜いて流されても心配がない。海で流されたら大変だ。

そんな素敵な流れるプールだが、何が楽しいって流されるのが楽しい。どうせ流されるなら速い方が楽しいだろう。

はたして流れるプールに速さの違いはあるのだろうか。

※2008年8月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

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流れるプールに速さに違いはあるのだろうか?

今回は4つの流れるプールを回って速さを調べようと思う。「プールを回る」というのはうっかりダブルミーニングであるが、恥ずかしながらそう表現する。

どのようにして速さを調べるのか。それは浮き輪と共に流された距離を時間で割る、という単純なものだ。流速計を使うことも考えたが、ある場所の速さと実際流される速さは違うと思ったので、実際に流される方式にした。

沼影市民プール

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沼影市民プール

さて、まずはじめに埼玉県にある沼影市民プールにやってきた。普通のプールのほかに流れるプールとスライダーがある、大きめの市民プールだ。ちなみに流れるプールのスペックは1周265m、水深1m。

この日は平日で、午後からの天気があやしいということもあって、人はあんまりいないかなあと思ったがそれなりにいた。人々は多少の困難も乗り越えて流れるプールに集まるのだな、と思った。

客層は中高生や親子連れの小学生などで、ザ・市民プールという感じで好感が持てる。

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プールに人がいないのは点検中だから
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悪天候ながらそこそこいると思う

流される際は体の動きが早さに影響を与えないように浮き輪を使う。流れるプールと言ったら浮き輪だ。

ここで、持ってきた浮き輪を膨らます必要があるのだけど、一人でプールに来て浮き輪に空気を入れているのは切ない。浮き輪は空気に満ちてくる一方で、僕のやる気は削がれていく。自意識過剰かもしれない、いや、自意識過剰だ。そう思うことにする。

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ぺたんこ
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ローアングルなのは、三脚をきちんと立てると目立つから

切なさを超えて浮き輪の準備はできた。早速、流速を計りたいと思う。浮き輪に包まれてプールを漂いながら、ストップウォッチで一周のタイムを計るだけだ。

赤いコーンが立っていたので、そこを起点として一周するタイムを計る。

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僕のためのコーンだ
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行ってきます
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流れはゆったりとしていて、浮き輪の浮力に体を任せると心地いい感じだ。幸いにして、流されるままにしても人と接触しそうになることはなかった。

ぼんやりとしているとまもなく1周した。さあ、タイムは!

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12分40秒。これが何を意味するのか今のところわからない

12分40秒。1周265mなので、ここの流れるプールの速さはおよそ秒速35センチメートルということになる。だいぶゆっくりした印象だった、というのを付け加えておこう。

流れるプールを一周しただけで立ち去るのはプールの入場料がちょっともったいないが、次のプールへ移動だ。

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喫煙所がいいかげんだった

違いは出るのか

続いて同じ埼玉県の川口市にあるグリーンセンター流水プールにやってきた。こちらは流れるプールひとつで勝負する市民プール。

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夏はプール、冬はスケートリンク
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流れるプール専用

一度脱いだ水着を再び履くという気持ち悪さに耐えながら着替えて、流れるプールへ向かう。

客層は先ほどより少し年齢が低めで小学生とその親らしき人が多かった。肌が焼けて茶色い人は全然いない。好感が持てる市民プールだ。

流れるプールのスペックは1周201m、水深1m。コースもシンプルだ。橋の下をスタート/ゴールに設定して、流されてみたい。準備体操も怠らない(さっきは忘れてた)。

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シンプルな形だ
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足とか動かさないんだけどね

タイムは7分49秒。速さにして秒速43センチメートルだ。沼影市民プールと比較して結構速い。そういえば今考えてみると、流されているときの景色の変わり具合も違ったような気がしなくもない。

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さっきより少し早く流れているようだ。

短くてシンプルなコースの流れるプールは、スピードが速いのだろうか?と考えたりしながら、あやしくなりかけた雲行きを気にして次のプールへ向かった。

雨が降ってきて流速の比較ができなくなったら、ただプール入った夏休みの日記になってしまう。焦る、急げ!

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アイスが売っていた
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100円だと思ったら200円だった
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室内プールは速いだろうか

次にやってきたのは、東京都北区にある元気ぷらざだ。こちらは室内プール。近くの清掃工場のごみ焼却の余熱を利用しているらしい。

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この地下にプールがある

撮影は禁止だったので風景をお見せすることはできないが、プールに飛び込んだ小学生が監視員に注意されていて、小学生が「すみません」って言って いるのに、監視員は「本当にわかってるのか」と追い討ちをかけていたりして、かなり厳しい様子だった。あぶないもんな、飛び込み。

一周90mの短めのコースになっている。他のプールと長さをだいたい同じにするために、3周してタイムを計った。

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おむつはしていないから大丈夫だ

結果は9分14秒。270mの長さなので、速さは秒速約49センチメートルとなる。これまでで最高速だ。

確かにスピードを感じていて、それは景色が近くまでしかないせいなのかと思ったが、実際に速かったようだ。やっぱり流れるプールは速い方がいい。

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急に疲れが出てきた。何もしてないのに。

外へ出ると、急にぐったりした感じが体に到来した。何故だ。

今日の調査は、手段として「とにかく流される」という方法を取っている。だから、今日はずっとバタ足ひとつしていない。なのにこんなにぐったりしてくるなんて、プールって怖い。

だが、さっきにも増して雲行きが怪しくなっている。すでに午後3時を回って移動時間を考えるとタイムリミットも近い。ぐったり感に負けずに最後の場所へ向かう。

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曇天
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豊島園へ

最後にやってきたのはとしまえんプール。市民プールに対して、アミューズメントプールの登場だ。

3800円のチケットを買って入場する。流れるプールを一周するだけなのに高い気もするが、背に腹はかえられない。3800円もするのだから、すんごく速く流れてくれればいいなと思う。

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すこし肌寒いです
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ねばっても2時間しかプールに入れないのに
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急げ急げ
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空が限界だ、って表情をしている
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全体的に茶色い人が多い

急いで着替えてプールへ向かう。濡れた水着の気持ち悪さには馴れた。そんなことより、雨が降らないうちに調査をする必要がある。

客層はあまり覚えていない。茶色い人がたくさんいたように思うが、僕は練気術によって半径1メートルに意識的なバリアーを張って気配を遮断していた。

周りのことはどうでもいいので、市民プールとアミューズメントプールはどちらが速いのかをはっきりさせよう。流れるプールのスペックは、さすが豊島園、1周350m、水深1.2mと市民プールより一回り大きい。

では、流されましょう。

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すごく冷たいぞ
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入ったとたんにプール内点検
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めげずに計測

入ったらものすごく水が冷たくて、それでも我慢して入ったのに1周しないうちに点検の時間になってしまった。それで、再度挑戦して計測。がんばりました。

タイムは11分23秒。秒速51センチメートル。きょう計った中では一番速い。水の力は確かに強い気がしたが、スピードは体感的には他と大差なかったのだが。

ところでこの秒速51センチメートルというのは時速1836メートルだ。そして1ノットは時速1852メートルなので、つまりとしまえんプールの流速はほとんど1ノットだと言える。これは偶然だろうか。僕にはわからない。

歯ががちがち言い始めたので、今度は急いで更衣室へ戻ったところで今回の調査は終了。風邪をひかないようにしっかり体を温めよう。

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寒い

流れるプール≒1ノット

ちょうど計り終えたところで雨が降ってきて、ぎりぎり無事に調査を終えることができた。大雑把だが調査結果をまとめるとこうなりそうだ。

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見えた。

・ コースが短いほど速いっぽい
・ 市民プールよりアミューズメントプールの方が速いっぽい
・ でも、感覚的にはそこまで大した違いはないっぽい
・ 滑らかに流されている時、それは1ノットくらいである

ということで、数値として差はあれど、体感としてはあまり大差なかったように思う。そんなことより、流れるプールがおおざっぱに1ノットの速さだということが発見である。「ノット」なんていうあまりなじみのない単位がこうも身近にあったなんて。

1ノットがどういう原理で求められる速さなのかは知らないが、「としまえんの流れるプールで気持ちよく流される速さ=1ノット」という定義が僕の中で確立された。

 

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