プールはそんなに好きじゃないけれど、流れるプールは好きだったりする人は多いのではないか。というのも、泳がなくても勝手に流されることができるからだ。
勝手に流されると言えば海や川もあるが、流れるプールは気を抜いて流されても心配がない。海で流されたら大変だ。
そんな素敵な流れるプールだが、何が楽しいって流されるのが楽しい。どうせ流されるなら速い方が楽しいだろう。
はたして流れるプールに速さの違いはあるのだろうか。
(text by 藤原 浩一)
流れるプールに速さに違いはあるのだろうか?
今回は4つの流れるプールを回って速さを調べようと思う。「プールを回る」というのはうっかりダブルミーニングであるが、恥ずかしながらそう表現する。
どのようにして速さを調べるのか。それは浮き輪と共に流された距離を時間で割る、という単純なものだ。流速計を使うことも考えたが、ある場所の速さと実際流される速さは違うと思ったので、実際に流される方式にした。
沼影市民プール
さて、まずはじめに埼玉県にある沼影市民プールにやってきた。普通のプールのほかに流れるプールとスライダーがある、大きめの市民プールだ。ちなみに流れるプールのスペックは1周265m、水深1m。
この日は平日で、午後からの天気があやしいということもあって、人はあんまりいないかなあと思ったがそれなりにいた。人々は多少の困難も乗り越えて流れるプールに集まるのだな、と思った。
客層は中高生や親子連れの小学生などで、ザ・市民プールという感じで好感が持てる。
流される際は体の動きが早さに影響を与えないように浮き輪を使う。流れるプールと言ったら浮き輪だ。
ここで、持ってきた浮き輪を膨らます必要があるのだけど、一人でプールに来て浮き輪に空気を入れているのは切ない。浮き輪は空気に満ちてくる一方で、僕のやる気は削がれていく。自意識過剰かもしれない、いや、自意識過剰だ。そう思うことにする。
切なさを超えて浮き輪の準備はできた。早速、流速を計りたいと思う。浮き輪に包まれてプールを漂いながら、ストップウォッチで一周のタイムを計るだけだ。
赤いコーンが立っていたので、そこを起点として一周するタイムを計る。
流れはゆったりとしていて、浮き輪の浮力に体を任せると心地いい感じだ。幸いにして、流されるままにしても人と接触しそうになることはなかった。
ぼんやりとしているとまもなく1周した。さあ、タイムは!
12分40秒。1周265mなので、ここの流れるプールの速さはおよそ秒速35センチメートルということになる。だいぶゆっくりした印象だった、というのを付け加えておこう。
流れるプールを一周しただけで立ち去るのはプールの入場料がちょっともったいないが、次のプールへ移動だ。
違いは出るのか
続いて同じ埼玉県の川口市にあるグリーンセンター流水プールにやってきた。こちらは流れるプールひとつで勝負する市民プール。
一度脱いだ水着を再び履くという気持ち悪さに耐えながら着替えて、流れるプールへ向かう。
客層は先ほどより少し年齢が低めで小学生とその親らしき人が多かった。肌が焼けて茶色い人は全然いない。好感が持てる市民プールだ。
流れるプールのスペックは1周201m、水深1m。コースもシンプルだ。橋の下をスタート/ゴールに設定して、流されてみたい。準備体操も怠らない(さっきは忘れてた)。
タイムは7分49秒。速さにして秒速43センチメートルだ。沼影市民プールと比較して結構速い。そういえば今考えてみると、流されているときの景色の変わり具合も違ったような気がしなくもない。
短くてシンプルなコースの流れるプールは、スピードが速いのだろうか?と考えたりしながら、あやしくなりかけた雲行きを気にして次のプールへ向かった。
雨が降ってきて流速の比較ができなくなったら、ただプール入った夏休みの日記になってしまう。焦る、急げ!