そんなのないラジオ番組
以前、デイリーポータルZでチラシだけ演劇祭という記事があった。
チラシだけで実体のない、そんなのない演劇祭という記事で存在しない演劇であるにもかかわらずイメージが湧いて実際にみてみたくなった。
今回はこれと同じ趣旨で番宣だけのラジオ番組をつくった。
できあがったのは5作品。
順を追って紹介させていただきたい。
激突!フルネーム合戦
番宣だけとはいえ、せっかく自由に作れるのなら、スケールの大きい番組をつくってみたい。
そうだ、ラジオらしからぬゲームバラエティー番組でいこう。
そしてできた番組のタイトルがこちらである。
苗字と名前、どちらもファーストネームのような人名のチームと、苗字と名前、どちらもラストネームみたいな人名のチームが、それぞれの威信をかけて毒を持った生物をつかって対決するゲーム番組。
リスナーも手に汗握るこの番組の番宣はこうだ!
二人「激突!フルネーム合戦!」
真矢「真矢みきです」
島崎「島崎藤村です」
真矢「苗字も名前も名前みたいな私と」
島崎「苗字も名前も苗字みたいな私で毎週日曜深夜2時からお送りしている激突!フルネーム合戦!」
真矢「苗字も名前も名前みたいチームからは、南明奈さん、美木良介さん、泉重千代さん」
島崎「苗字も名前も苗字みたいなチームからは、松尾スズキさん、真田幸村さん、三浦義村さん」
真矢「以上の面々が毎週毒を持った生き物をつかった命がけのゲームに挑戦!血がでるまで終わらないゲームの数々をあえてラジオで放送するエッジの効いた番組!」
島崎「審査員はなんと、あき竹城さん、ノリユキ・パット・モリタさんの、そもそも名前だか苗字だかわからない大御所のお二人!」
真矢「毎週日曜深夜2時放送!」
二人「激突!フルネーム合戦!」
真矢「きいてね!」
それではBGMやSEつきの実際の音声をおききください。
ありそう、というよりぜひ番組を聴きたい!
なぜ名前でチームが分かれるのか、ご存命の方が少ないのではないかなど、つっこみどころは満載だが、そこがひっちゃかめっちゃかで面白そうだ。
苗字も名前も苗字みたいなチームの出場者がほとんど歴史上の人物であるが、そこが音声のみのラジオ、なかでも番宣だけラジオショーの醍醐味なのである。
曲がる人生相談
つづいては、音声だけでつくるというラジオの特性をいかして、物を擬人化した番組も作ってみたい。
そこで、たまたま手元にあったアラビックヤマトを擬人化して、こんな番組の番宣を作ってみた。
番組タイトルはこちらである。
先端が曲がったデザインの商品のツートップ、アラビックヤマトとアンメルツヨコヨコがパーソナリティをつとめる人生相談番組「曲がる人生相談」。
ただまっすぐに育ったのではなく、曲がりながら、寄り道しながら大人になった二人が相談にのる、この番組の番宣はこうだ!
<曲がる人生相談 番宣台本>
ヤマト「こんばんは、アラビックヤマトです。」
ヨコヨコ「こんばんは、アンメルツヨコヨコです。」
ヤマト「わたしたち曲がったかたちの二人でお送りしている〝曲がる人生相談〟」
ヨコヨコ「まっすぐな人にはわからない。曲がっているからこそ相談に乗れることがある」
ヤマト「涙あり笑いあり」
ヨコヨコ「接着あり、肩こりありで、月曜から金曜、午後10時40分から絶賛お悩み解決中」
ヤマト「ちなみに、アラビックヤマトにはいろんな形があります。」
それではBGMやSEつきの実際の音声をおききください。
かなりいい感じだ!というかこの番組あるでしょ!俺、聴いたことあるよ!と少し混乱するほどいい出来である。
最近は人生相談と言う名目で実は説教をしているものが多い中、相談者の立場を十分考慮しながら、優しく、ときには厳しく相談に乗ってくれそうな番組で心強い。
ただまっすぐに生きてきた人よりも、人生相談するならこういう人にのってもらいたいな。どうやら私は相談する気になってますけども。
ザ・こんにゃろ通販
番組が架空なら、パーソナリティも架空の人物でやってみよう。
以前「もう、ものまねに真似は必要ない」という記事でつくった石川産業の名物社長というキャラクターから連想して番宣だけつくってみた。
番組タイトルはこちら!
「こんにゃろこんにゃろ」が口癖の名物社長率いる、これまた架空の石川産業なる企業の一社提供の通販番組、題して「ザ・こんにゃろ通販」。
社長の勢いにまかせて利益度外視で値引きしまくる昼下がりの人気番組で、番宣はこうだ!
<ザ・こんにゃろ通販 番宣台本>
アシスタント「ねえ社長、こちらの商品もう少し安くならない?」
社長「こんにゃろこんにゃろこんにゃろ!」
アシスタント「こんなに値引きしてくれるんですかー?」
社長「3割引4割引きは当たり前だこんにゃろ!」
アシスタント「えーっ!しんじられなーい?!」
社長「だったら5割引きだこんにゃろ!」
アシスタント「価格破壊でおなじみ、石川産業プレゼンツ、ザ・こんにゃろ通販。毎週月曜午後3時からの二時間、石川産業の名物社長と一緒に生放送中です!」
社長「商売あがったりだこんにゃろ!」
それではBGMやSEつきの実際の音声をおききください。
やはり、実際にある番組のように聴こえる!
というか、ワンマン経営がたたって倒産した今はなき企業のなつかし番組のようでもあるが。
よし、この調子でどんどんいってみよう!
桜中学体育館裏
つづいてはラジオでたまにある二次創作系でいきたい。
ここはひとつ、コアなファンが多いことでも有名な三年B組金八先生の撮影秘話ものでいきたい。
番組タイトルはこちら!
長期間にわたって放送されていた金八シリーズの卒業生たちが、週替わりでパーソナリティをつとめる番組。
ドラマの舞台になった桜中学で、教師たちには聞かせられない暴露系トークを繰り広げるというファンなら泣いて喜ぶこの番組の番宣はこうだ!
<桜中学体育館裏 番宣台本>
(山城)こんにちは。三年B組金八先生、第四シリーズの北畠ともこ役を演じました。山城ゆかりです。
私たち桜中学3年B組卒業生たちが週替わりでお届けするラジオプログラム「桜中学体育館裏」。
「え?鉄矢さんってそんな人だったの?」
「おまわりさん役の人って実は優しかったって本当?」
などなどここでしか聞けない直江喜一ファン垂涎の暴露系トークの数々!
毎週金曜、夜八時から絶賛放送中!ぜひお聴きください。
「くさったミカンは金八自身だった…」
それではBGMやSEつきの実際の音声をおききください。
こういう番組ありそうだ!やはり、番宣だけで番組がイメージできる!
架空の番組ではあるが、この番組から金八ブームに火がついて「荒谷二中のスナックZ」「アマゾネスの保健室」など姉妹番組への発展も期待したくなってしまう。人として。
学習・竹トンボにみる日本文化
ラジオはもちろんバラエティーだけではない。アカデミックなものも多い。
そこで、最後は教育に特化した学生向けの番組もつくってみよう。
番組タイトルはこちらである。
研究者が古き良き竹トンボの魅力を語るマニアック系癒し番組。
竹トンボの歴史、構造、文化などを月曜~金曜に毎朝語るこの番組の番宣はこうだ!
<学習・竹トンボにみる日本文化 番宣台本>
(竹蜻蛉)竹を切り出してプロペラ状の竹片とし、竹ひごを軸となる棒として取り付けた竹トンボ。
空へ飛ばすため、棒を両手の手のひらでこすり合せるように回転させますが、その際、心のどこかに感謝の気持ちがわいてくるものでございます。
そんな竹トンボに魅了された者の、竹とんぼに魅了されたの者による、竹トンボに魅了された者のための番組
「学習・竹トンボにみる日本文化」
月曜から金曜朝05:30より放送中。
それではBGMやSEつきの実際の音声をおききください。
聴いていると放送大学とか、NHK第二とかで放送してるでしょこれ!と言いたくなる。
これ本当に放送されていたら学問というより、ヒーリング番組としてぜひリアタイで聴いたいですね、私は。
ラジオの世界は無限だ
やはり番宣だけならば、設定やキャスティングや番組内容も自由に楽しめ、夢の番組もつくることができた。
映像のない、音声のみという強みを活かして、これまでのラジオのリミットを超えることができたのだ。
こんなにいいものを私ひとりで作っていたのではもったいない。たくさんの人のイマジネーションを、番宣というかたちできいてみたい。
もう、こうなったら、それらの作品を集めて「みんなの番宣だけラジオショー」を開催するつもりである。
近々やってくるそのときまで、あなたもアイデアを考えておいてください!