『北の国から 2025課金』
自らスマホに泥を塗るのはまったく効果がなかった。
しかし、もしも純が五郎からこのスマホを受け取っていたらトラックの中で「父さん、ありがとう、汚いけど」と複雑な嬉し涙を流すことになるだろう。
そして、スマホを使うたびに付いた泥をみてゲーム課金などで無駄遣いをしまくるようなことをしないで済むのだ。
ただ、友人からは「純のスマホってなに?」「うんこ?」と聞かれたりして、別の意味で泣けるドラマになるのである。
「北の国から」の名シーンに登場する泥の付いた一万円札があればお金を大切にできるはずだ。
だからと言ってわざと一万円札に本物の泥をつけるのはもったいない。
そこで、一万円札に泥をつけずに、あたかも泥がついているように見える方法を思いついたので紹介したい。
北の国からは倉本聰脚本のテレビドラマシリーズ。東京から父親の故郷の北海道へ移住した一家が、大自然の中で暮らす姿を描く。
そして今回制作する、泥の付いた一万円札の登場シーンは下記の通り。
中学卒業後は単身東京の高校へ進むことを決意する息子、純。純の上京に反対しつつも、こっそり東京行きのトラックの手配をする父、五郎。
純は東京へ走るトラックのなかで、運転手から五郎が謝礼として置いていったという二万円の入った封筒を渡される。
札には五郎の指についていた泥が付着しており、運転手から「いらんというのに置いていった。お前の宝にしろ」と言われ、純は必死で資金を工面してくれた父親を思って泣くというものであり、これを書きながら私も泣いているのである。
それではさっそく、泥が付いた風の一万円札を作っていこう。
ここまでわずか3ステップ。
これを封筒に入れて…
これに入れておけば、お金を大切にするに違いない。
もちろん新札にも対応しています。「対応」というほどのものではないですが。
なにも数万円だけじゃなく、もっと大金を大切にしたい人もいるだろう。
ということで札束を入れてみると…
なんだか感動が薄れた気がする。どうやら額の多さと有難みは反比例するようである。
また大切にするのは何もお金に限ったことではない。
ここに飲食店のクーポン券を入れてみよう。
これを封筒に入れて…
クーポンは大切にするかもしれないが、ドラマが台無しになる結果となった。
また茶色のインクは入手しづらいからと、赤いインクでやった場合
北の国からが急に、太陽にほえろ化するので注意したい。
ここまでで、札を大切にすることができた。
しかし、世はキャッシュレス時代。現金を持ち歩かない人の場合はどうすればいいか?
現金を持たない人は、代わりにスマホを使っている。
だったらスマホの隅に泥がついていればいいのではないか?
ということで、スマホに泥をつけるため公園のどろんこ広場へやってきた。
備え付けのポンプを押しては、蛇口へ移動して土に水を含ませるのだが、水がちょろちょろとしかでないので四往復してようやく泥が完成。
泥を作っていたら、なぜか頭の上に羽虫が集まっていた。
「おい純、しっかりぃ、みてろよぉ」
と田中邦衛風に言って撮影しているスマホに泥をすりつける。
「蛍ぅぅぅー!」と心の中で叫んで勢いをつけて我がスマホに泥を塗りたくる。
「純、俺、こんなことやりたくねえよぉ、俺はよぉ」、と自分で撮影しといて後悔する。
親心の結晶には全く見えず、ただ汚れたスマホが完成してしまって悲しいが、とりあえず完成したので、キャッシュレスで買い物をしてみよう。
キャッシュレス決済のできる自販機を探すがこんなときに限って現金オンリーの自販機しかみつからない。
200メートルほど歩き回って五台目にしてようやく発見。
泥のせいで顔認証が通らずパスコードを用いて操作する。
気持ち的には何の躊躇もなくジュースが買えた。画面が見づらく、顔認証は通らずただわずらわしいだけであった。
泥のついたスマホは、お金を大切にする効果は一切なかった。
自らスマホに泥を塗るのはまったく効果がなかった。
しかし、もしも純が五郎からこのスマホを受け取っていたらトラックの中で「父さん、ありがとう、汚いけど」と複雑な嬉し涙を流すことになるだろう。
そして、スマホを使うたびに付いた泥をみてゲーム課金などで無駄遣いをしまくるようなことをしないで済むのだ。
ただ、友人からは「純のスマホってなに?」「うんこ?」と聞かれたりして、別の意味で泣けるドラマになるのである。
| ▽デイリーポータルZトップへ | ||
| ▲デイリーポータルZトップへ |