デジタルリマスター 2023年12月27日

熟練者と行く廃村体験~大平宿リベンジ~(デジタルリマスター)

朝はやっぱりアレを作らねば

夜は随分と冷えた。人が多いので部屋も温かくなるかと思ったが、どうやら晩春の山はそれほど甘くは無いようで、ジャンパーを着込んで寝袋に入っても、何度か寒さに起こされた。

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しかし皆さん、朝が早い
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もうかまどに火を入れているし

朝起きて、まず最初に何をするべきか。それはもう、決まっている。ラッシーだ。ラッシーを作るのだ。

先月、うまいラッシーを探究して以来(過去記事「理想のラッシー」参照)、私はすっかりラッシーにはまってしまった。それからほぼ毎日、ラッシーを作って飲んでおり、今やそれは日課と言える程である。

たとえ廃村にいるにしても、日課は日課。しっかり作って、自分を満足させてあげねばならない。

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ラッシーセットは、昨日のスーパーで調達しました

砂糖がヨーグルトに付属していたグラニュー糖しかないのでちょっと不安だが(別途砂糖を買うのを忘れてしまったのだ)、それでもまぁ、やってみようではないか。

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ヨーグルトと牛乳、砂糖を容器に入れる
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小川の冷水を汲んで入れて……
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後はただ、振るのみ
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思ったより、見た目がちゃんとしたラッシーになりました
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しかし、味は……甘味が少なくてパンチが無い

う~ん、やはり、砂糖の量が足りなかったようだ。ただ薄いだけ、水っぽいだけのラッシーになってしまった。ちょっと残念な結果だが……しかし、まぁ、ここで完璧なラッシーを作ってもそれはそれでつまらないし(と自分に言い訳をしてみる)。

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朝の散歩を楽しもう

朝食までしばらく時間があるようなので、今日もまた散歩に出掛けてみるとする。昨日は南の神社方面を散策したので、今度は北方面に向う事にしよう。

それにしても、今日は天気が良い。昨日は天気があまりよろしくなく、その分より一層、すがすがしく感じる晴天である。必然的に、写真も大きくなってしまう。

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前回の訪問の時は、自転車で体力を消耗してくたびれていた事もあり、そして帰りの時間的制約もあり、大平宿の町並みをざっとなでる程度しか見る事ができなかった。

今度は体力が有り余っているし、時間も十分に残されているので、もう一歩、踏み込んだ観察をしてみたい。

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一部、裏手に回ると崩壊が進んだ家もある
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内部を拝見させていただくと、梁などは意外にしっかりしている
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廃村になったその年、昭和45年の雑誌
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家屋の外壁に張られていた明治時代(?)の印刷物

通りに面した表側は総じて整えられているものの、裏側に回ると、崩壊しそうになっている家屋もあった。それはまさに廃墟というべき様相を呈しているが、内部は意外と綺麗に残っていたりする。元々、しっかりした造作の家だったのだろう。このような家屋を今建てようとしたら、相当な費用がかかるだろう。

また、この家の外壁には、なかなか興味深い印刷物が張られていた。掠れてて見難いが、錦絵っぽい感じもする。明治時代のものだろうか。少なくとも、戦後のものではないと思う。

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集落北にある廃小学校
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蛇口の根元から、水がぴゅーっと出ていた
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ゴールデンウィーク終わった頃でも、まだ桜が残っている

朝の散歩の締めは、集落の北部にある小学校跡。3年前に来た時には、ボーイスカウトか何かの子ども達がテントを張っていた場所である。今回はキャンプする人がいない分、遠慮無しで探索する事ができた。

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朝食後はパイ岳へハイキング

朝食後、中山さんから「これからパイ岳へハイキングに行きますが、どうしますか?」という提案があった。

ハイキングとは、これまた思いもよらなかったお話だ。この辺りに、登る事ができる山なんてあったのか。っていうか、何だろうか、パイ岳というのは。

話を聞くと、どうやら車で10分程西へ行った所に、パイ岳とやらへ続く登山道があるのだという。なるほど、車で10分とは結構な距離である。私一人ではその山の存在に気づく事すらできなかっただろう。

パイ岳という響きも何か気になるし、せっかくなのでご一緒させていただく事にした。

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車に乗り込みパイ岳へ

しかし、パイ岳というのは一体どういう山なのだろう。中山さんは、頑なにパイ岳としか説明してくれなかった。もしや、山の形がそういう形状を成していたりするとでもいうのだろうか。

その答えは、登山道にたどり着いてすぐに、判明した。

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あぁ、なるほど。パイ……π岳ですか

なるほど、そういうことか。まぁ、確かにπという字に見えるけれど。しかし、はげ岳という名称も非常に気になるぞ。ますますこれがどんな山なのか、登ってみたくなった。

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意外と急な斜面を登っていく
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生えている木が凄くでかい
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しかし、登るにつれ、木々は細く、短くなっていく
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あと少し……付近は笹ばかりになってきた
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そして、頂上に到着

登山口の標識通り、およそ一時間で山頂に到着した。山頂の標識によると、その標高1636.2メートルとのこと。山の標高って、10cm単位の精度で調べられるものなのですな。

それはそうと、この標識では山の名称がπ岳じゃなくて禿岳になっている。πという文字は、禿という漢字の脚の部首だったのか。しかし、禿岳って……身も蓋も無い名前だ。

確かに、これまで登ってきた登山道を省みると、登山口付近では太い立派な木々が生い茂っていたのに、山頂部分は笹しか生えていないなど、何かを暗示するような植生ではあった。やはり、頭頂部分からくるものなのか。何とも、身につまされる思いである(余談だが、著者の父親は30代の頃からだいぶキており、祖父は私の記憶にある限り、ツルツルだった)。

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嫌な事は忘れて、御嶽山でも眺めよう

さて、なかなか充実したハイキングであった。登山というのもまた良いものである。相変わらず天気は良く、朝方こそ寒かったものの、日が昇ってからはむしろ汗ばむほどの陽気であった。

禿岳から下りた我々は、再び大平宿に戻り、借りていた古民家の掃除をして撤収。こうして、私の二度目の大平宿体験は終わりを告げた。

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しっかりと掃除をして原状復帰
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中山さんが鍵を掛け、これにて終了

大勢で行けば、できる事の幅が広がる

今回、中山さんのグループに混ぜていただき感じた事は、やはり大勢だといろいろな事ができる、ということだ。一人では到底不可能な事も、大勢ならば大体ができてしまう。

また、一人で全てやらずとも、皆で分担すれば良いので楽でもある。食材なども、それぞれが持ち寄ればバラエティ豊かなものになるし、他にもメリットは多いだろう。そもそも私一人では、車も運転できないし、火だって付けられない。無い無い尽くしで本当に大変だ。

でもまぁ、一人は一人で、自由気ままに行動ができるので、それはそれで楽しかったりするんですけどね。

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さらば大平宿、また会う日まで

 

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