特集 2019年1月15日

「九段下のゆで太郎は外で食べられる」は本当か?

うわさで聞いたゆで太郎に行ってみました。

外で食べるとおいしい。見慣れたコンビニのご飯も公園のベンチで食べれば違ったおいしさになるだろう。冬の時期、寒空の下でコンビニのおでんなどを食べた日にはそれはもう幸せなことだろう。

 

ただ、お店の食べ物をテイクアウトではなく、そのまま持って行って食べられるお店があったとしたらどうだろうか。

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

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タクシードライバーに聞いたうわさ

それは先日乗ったタクシーで聞いた話である。寝かせてくれないタクシードライバー(ラーメン作りが趣味)が、教えてくれた。「九段下のゆで太郎は外で食べられるんだよ」。そんな素敵なことができるお店、行ってみたい。

 

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爆風スランプの曲「大きな玉ねぎの木の下」で有名な九段下。

日本武道館のある九段下駅。元々は1964年の東京オリンピックで柔道の試合をするために作られたそうだ。今ではライブコンサートなどが頻繁に行われている。この日もなにかのイベントがあるらしく、アニメの缶バッチをドラゴンボールだったら10回ぐらい願いが叶うぐらい、カバンにつけていた。

 

もしかしたら、「他のお店で持って出て行けるのでは? 九段下はそういう土地なのではないか」と思い、チェーン店にまずは行ってみることにした。

チェーン店で試してみる

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小諸そば。都内で見かける立ち食いそばである。

まずはゆで太郎と同じそば屋から。もし、小諸そばでもトレイをそのまま持って行けるのならそれは素敵なことである。ビジネスマンは部屋にこもりっきりで外で食べたい人も多いだろう。

 

食券を買って渡すときに「ここって外で食べてもいいですか?」と聞いてみる。果たして、行けるのか。

 

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普通に店内で食べました。

ダメだった。聞いたとき「この人はなにを言っているのかしら」というおばさんの顔、堂々とした「ダメです」の言葉。心にきざみながら、季節限定の味噌煮込みうどんを食べました。

 

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頑張れば外に持って行けるが食い逃げ的な感じになるな。

もしかしたら、小諸そばだけが外に持っていくのがダメなのかもしれない。もう一軒行ってみよう。

 

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日高屋。ちょうど食べたい気分になることがありますね。

いつ行ってもいい感じに酔った人がいる日高屋。チェーン店なのに地元にある中華屋のような雰囲気があって好きです。

 

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日高屋にはテイクアウトメニューがある。おいしいがこれじゃない。

店内を見ると、誰も外に持って行く人がいない。一応、店員に聞いてみる。「ここってトレイを外に持って行って食べてもいいですか?」

 

「この人はなにを言い出したのだろうか」というのが顔に出ている。すごく出ている。クエッションフェイスと名付けたいぐらい出ているので「あ、大丈夫です!」と言って急いで油そばを食べた。

 

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ちょうどいいおいしさですよね。

 

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隙あらば外で食べてやるの気持ちで店内で食べた。

2度失敗しているが、もしかしたら、小諸そば、日高屋だけが外に食べてはいけない地域の決まりの可能性もある。もう1軒だけ最後に行った。

 

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冬でもソフトクリームを食べている子どもが1人はいるでおなじみのマクドナルド。

明らかにトレイを持って外で食べている人がいない。2階に客席があるのだが、みんなそこで食べているのだろう。

 

ここもダメか。と思っていたとき、会社の人から電話が来たのでトレイを持ったまま少し外へ出てしまった。

 

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気づいたら20メートルぐらい離れた場所にいた。

一応、怖いので「中で話すとうるさくなるんでちょっと外で話してきますね」とは伝えたが、あまりにも遠くに離れてしまった。対応が終わったあと、ドキドキが止まらない。お店の外に出てしまった怖さがある。

 

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トレイを持ったまま横断歩道を渡るのは国境を越えるぐらいの気持ちになることがわかりました。すぐに戻った。

果たして、ゆで太郎は外に持って行けるのか。まだまだ聞き込みをしてみる。だって、怒られるのは怖いから。

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地元のタクシードライバーに聞いてみる

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周辺を走っているタクシードライバーなら知っているかもしれない。

ーーーこの辺のドライバーの人たちって、駐車できないじゃないですか。どうやってご飯を食べているんですか?

 

「駐車禁止だからですよね。はじっこに寄せてご飯を食べていても注意を受けたりしますよ。川の近くとかで休んでいると、近所の人から通報されたりするし。」

 

「駐車場付きのお店でご飯を食べたり、安い駐車場を見つけてそこでコンビニのご飯を食べたりしますね」

 

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駐車場で車を止めて、公園のベンチで食べることもあるそうだ。都会の町並みを見ながら食べるカップヌードルはおいしい。

核心の質問をしてみよう。

 

ーーー九段下のゆで太郎って、ドライバーの人たちの為に注文したものを車に持って行って食べられるって聞いたんですけど、聞いたことありますか?

 

「いやー聞いたことないですね」

 

ーーーえ、聞いたことがないですか?

 

「いやー聞いたことないですよ。」

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「聞いたことがない」という言葉が心に響く中、特に用事がない国会図書館に着いた

聞いたことがない。まさかの発言である。いや、たまたまこの方がゆで太郎に行かないだけで本当は外で食べられるのだろう。だって、そうしないとこの記事、終わりですよ。

 

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「そんなゆで太郎、聞いたことがないですね」と2台目に乗ったタクシードライバーからも聞いた。
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特に用のない、本日2度目の国会図書館に着いた。静かだなと思ったら休館日だった。

このままでは真偽がわからない。「うわさよ、本当であってくれ」と心で願いながらお店に向かった。お願いします。

ついにお店へ行ってみる

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これがうわさのお店。

お店はやっているみたいだ。果たして外で食べる人はいるのか様子を見てみる。

 

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30分待ってみた。お店の人に目的地を聞いている人はいたが外で食べる人はいない。

 

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1時間半後。中に入って食べる人はいるが外で食べる人はいない。

1時間半ぐらい様子を見たが誰一人として外で食べる人がいない。今までに聞いてきた「聞いたことがない」が心にずっしり来る。電車の中で「部屋の鍵を閉めてないかもしれない」と思ったときぐらい不安。

 

もう、入ってみるしかない。

 

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「鴨がねぎとたまごをしょって来た」のキャッチコピーにひかれたので、商品を食べようと中に入り、食券を買おうとしたときだった。

 

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「持ち帰りは行っておりません。」

やっていないのだ。念のため、一応聞いてみると、「昔、平日の昼間にやっていたこともありましたが今はやってないんです」とのことだ。話を聞いたタクシードライバーさん、今はやってないらしいですよ。

 

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ちなみに限定の鴨とじ丼セット。たっぷり乗ったネギシャキシャキとだしの効いたたまごのふわふわ感がおいしい。外で食べられなくてもおいしいです。

この後、別のタクシードライバーにも話を聞いた。九段下周辺はビジネス街でもあり、日本武道館や皇居などがあるため観光客も多い。そのため、タクシーが多いそうだ。

 

飲食店も数多くあるが、駐車場がないお店も多いそうだ。そんな中生まれたのが、持ち帰りシステムなのかもしれない。あったかもしれない文化の話でした。


タクシードライバーの話は面白い

タクシードライバーの話を聞くのが面白い。前職の話や変わったお客さんの話、こわい話や趣味の話など様々な話題を持っている。

そういう中で聞いた、今回の話。ないのではと思ったときはふるえたが実際にはあったらしいのでよかった。

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途中、外で食べられるシステムがないのではと思って泣きながらお酒を飲んだことも今ではいい思い出です。

 

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