タクシードライバーの話は面白い
タクシードライバーの話を聞くのが面白い。前職の話や変わったお客さんの話、こわい話や趣味の話など様々な話題を持っている。
そういう中で聞いた、今回の話。ないのではと思ったときはふるえたが実際にはあったらしいのでよかった。
外で食べるとおいしい。見慣れたコンビニのご飯も公園のベンチで食べれば違ったおいしさになるだろう。冬の時期、寒空の下でコンビニのおでんなどを食べた日にはそれはもう幸せなことだろう。
ただ、お店の食べ物をテイクアウトではなく、そのまま持って行って食べられるお店があったとしたらどうだろうか。
それは先日乗ったタクシーで聞いた話である。寝かせてくれないタクシードライバー(ラーメン作りが趣味)が、教えてくれた。「九段下のゆで太郎は外で食べられるんだよ」。そんな素敵なことができるお店、行ってみたい。
日本武道館のある九段下駅。元々は1964年の東京オリンピックで柔道の試合をするために作られたそうだ。今ではライブコンサートなどが頻繁に行われている。この日もなにかのイベントがあるらしく、アニメの缶バッチをドラゴンボールだったら10回ぐらい願いが叶うぐらい、カバンにつけていた。
もしかしたら、「他のお店で持って出て行けるのでは? 九段下はそういう土地なのではないか」と思い、チェーン店にまずは行ってみることにした。
まずはゆで太郎と同じそば屋から。もし、小諸そばでもトレイをそのまま持って行けるのならそれは素敵なことである。ビジネスマンは部屋にこもりっきりで外で食べたい人も多いだろう。
食券を買って渡すときに「ここって外で食べてもいいですか?」と聞いてみる。果たして、行けるのか。
ダメだった。聞いたとき「この人はなにを言っているのかしら」というおばさんの顔、堂々とした「ダメです」の言葉。心にきざみながら、季節限定の味噌煮込みうどんを食べました。
もしかしたら、小諸そばだけが外に持っていくのがダメなのかもしれない。もう一軒行ってみよう。
いつ行ってもいい感じに酔った人がいる日高屋。チェーン店なのに地元にある中華屋のような雰囲気があって好きです。
店内を見ると、誰も外に持って行く人がいない。一応、店員に聞いてみる。「ここってトレイを外に持って行って食べてもいいですか?」
「この人はなにを言い出したのだろうか」というのが顔に出ている。すごく出ている。クエッションフェイスと名付けたいぐらい出ているので「あ、大丈夫です!」と言って急いで油そばを食べた。
2度失敗しているが、もしかしたら、小諸そば、日高屋だけが外に食べてはいけない地域の決まりの可能性もある。もう1軒だけ最後に行った。
明らかにトレイを持って外で食べている人がいない。2階に客席があるのだが、みんなそこで食べているのだろう。
ここもダメか。と思っていたとき、会社の人から電話が来たのでトレイを持ったまま少し外へ出てしまった。
一応、怖いので「中で話すとうるさくなるんでちょっと外で話してきますね」とは伝えたが、あまりにも遠くに離れてしまった。対応が終わったあと、ドキドキが止まらない。お店の外に出てしまった怖さがある。
果たして、ゆで太郎は外に持って行けるのか。まだまだ聞き込みをしてみる。だって、怒られるのは怖いから。
ーーーこの辺のドライバーの人たちって、駐車できないじゃないですか。どうやってご飯を食べているんですか?
「駐車禁止だからですよね。はじっこに寄せてご飯を食べていても注意を受けたりしますよ。川の近くとかで休んでいると、近所の人から通報されたりするし。」
「駐車場付きのお店でご飯を食べたり、安い駐車場を見つけてそこでコンビニのご飯を食べたりしますね」
核心の質問をしてみよう。
ーーー九段下のゆで太郎って、ドライバーの人たちの為に注文したものを車に持って行って食べられるって聞いたんですけど、聞いたことありますか?
「いやー聞いたことないですね」
ーーーえ、聞いたことがないですか?
「いやー聞いたことないですよ。」
聞いたことがない。まさかの発言である。いや、たまたまこの方がゆで太郎に行かないだけで本当は外で食べられるのだろう。だって、そうしないとこの記事、終わりですよ。
このままでは真偽がわからない。「うわさよ、本当であってくれ」と心で願いながらお店に向かった。お願いします。
お店はやっているみたいだ。果たして外で食べる人はいるのか様子を見てみる。
1時間半ぐらい様子を見たが誰一人として外で食べる人がいない。今までに聞いてきた「聞いたことがない」が心にずっしり来る。電車の中で「部屋の鍵を閉めてないかもしれない」と思ったときぐらい不安。
もう、入ってみるしかない。
やっていないのだ。念のため、一応聞いてみると、「昔、平日の昼間にやっていたこともありましたが今はやってないんです」とのことだ。話を聞いたタクシードライバーさん、今はやってないらしいですよ。
この後、別のタクシードライバーにも話を聞いた。九段下周辺はビジネス街でもあり、日本武道館や皇居などがあるため観光客も多い。そのため、タクシーが多いそうだ。
飲食店も数多くあるが、駐車場がないお店も多いそうだ。そんな中生まれたのが、持ち帰りシステムなのかもしれない。あったかもしれない文化の話でした。
タクシードライバーの話を聞くのが面白い。前職の話や変わったお客さんの話、こわい話や趣味の話など様々な話題を持っている。
そういう中で聞いた、今回の話。ないのではと思ったときはふるえたが実際にはあったらしいのでよかった。
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