短い記事 2021年11月22日

スルメの味が噛めば噛むほど出るのは10秒まで

赤白帽で白黒つけます

新人俳優が「噛めば噛むほど味の出るスルメのような役者になりたい」などと言う場面を目にすることがある。

そんなとき今までは、がんばれと思ったり、聞き流したりしてきたが、本当だろうか?

スルメは噛めば噛むほど味が出るか?

試してみよう。

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。

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実際に噛んでみよう

噛めば噛むほど味が出るというのはこういうことだ。

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縦軸が味の濃さ、横軸が噛んでいる時間のグラフ

噛めば噛むほど味が出るならこのグラフのように噛むたびに、もうドンドンドンドン、ジャンジャンジャンジャン味が濃くなっていき最終的には味が濃すぎて水で薄めたりするようになるはずだ。

今までそんな経験はないが、実際はどうなのかスルメを噛みながら時間の経過と、味の濃さの度合いを記録してみよう。

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ストップウォッチで計りながら

競技っぽいので赤白帽を用意してみたものの、必要なかったことをおお詫びします。

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このスルメを噛んでいきます。

自分が感じる味の濃さを都度ノートにつけていこう。

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それでは!

今まで何も考えずにスルメを噛んできたが、噛みはじめはあまり味がしないことがわかった。

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5秒くらいから味が濃くなってくる

その後、徐々に味が濃くなり、そのあと味が薄くなったり濃くなったりを繰り返す。

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噛めば噛むほど味が出るというより、味に強弱があるという感じ

グラフにするとこうだ。

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スルメは味の波状攻撃

えーと、これはつまり

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人がスルメを食べ進めるイメージ

Aゾーンを噛み始めて5秒くらいで味が濃くなる。10秒でピークを迎え、急速に味は薄くなっていく。

そして、無意識に口は新たな味を求め、Bゾーンを開拓し始める。で、Aゾーンの味がわずかに残っている間にBゾーンの開拓が進みBゾーンの味が出てくる。

さらに、Bゾーンの味が薄くなり始めた頃にCゾーンの開拓がはじまる、という繰り返しで、寄せては返す波のようにスルメの味は、強弱を付けながら続いていくのである。

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Aゾーンだけで試す

これではスルメが嚙めば嚙むほど味が出るのかの実験にはならないので、口がスルメの新規開拓ができないようにAゾーンだけ切り取って試してみることにしよう。

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Aゾーンのみ切りだす
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切り出されたAゾーン
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Aゾーンだけ噛んで計ると…

やはり噛みはじめは味がしないが、5秒から徐々に味が濃くなりはじめ、10秒をピークにどんどん味が薄くなっていく。

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30秒で味は消えた

そして、30秒を迎え完全に味を失ったAゾーンを飲み込むことになった。

これをグラフにするとこうだ。

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スルメの味の濃さの遷移

ということで、スルメの味が噛めば噛むほど出るのは10秒まで。

さらに言うと

「スルメは噛みはじめは味がないが、噛み進めると味が出てくる」

「しかし、少しすると消える」

である。

そのため、もしもあなたが新人俳優になり、「噛めば噛むほど味が出るスルメのような役者になりたい」と言いたいと思った場合は

「初めは味がしなくても、噛み進めると味がでて、その味がなくなる前に次のゾーンを噛んでもらえるような、身の長いスルメのような役者になりたい」

と答えるようにしましょう。

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