実際に噛んでみよう
噛めば噛むほど味が出るというのはこういうことだ。
噛めば噛むほど味が出るならこのグラフのように噛むたびに、もうドンドンドンドン、ジャンジャンジャンジャン味が濃くなっていき最終的には味が濃すぎて水で薄めたりするようになるはずだ。
今までそんな経験はないが、実際はどうなのかスルメを噛みながら時間の経過と、味の濃さの度合いを記録してみよう。
競技っぽいので赤白帽を用意してみたものの、必要なかったことをおお詫びします。
自分が感じる味の濃さを都度ノートにつけていこう。
今まで何も考えずにスルメを噛んできたが、噛みはじめはあまり味がしないことがわかった。
その後、徐々に味が濃くなり、そのあと味が薄くなったり濃くなったりを繰り返す。
グラフにするとこうだ。
えーと、これはつまり
Aゾーンを噛み始めて5秒くらいで味が濃くなる。10秒でピークを迎え、急速に味は薄くなっていく。
そして、無意識に口は新たな味を求め、Bゾーンを開拓し始める。で、Aゾーンの味がわずかに残っている間にBゾーンの開拓が進みBゾーンの味が出てくる。
さらに、Bゾーンの味が薄くなり始めた頃にCゾーンの開拓がはじまる、という繰り返しで、寄せては返す波のようにスルメの味は、強弱を付けながら続いていくのである。
Aゾーンだけで試す
これではスルメが嚙めば嚙むほど味が出るのかの実験にはならないので、口がスルメの新規開拓ができないようにAゾーンだけ切り取って試してみることにしよう。
やはり噛みはじめは味がしないが、5秒から徐々に味が濃くなりはじめ、10秒をピークにどんどん味が薄くなっていく。
そして、30秒を迎え完全に味を失ったAゾーンを飲み込むことになった。
これをグラフにするとこうだ。
ということで、スルメの味が噛めば噛むほど出るのは10秒まで。
さらに言うと
「スルメは噛みはじめは味がないが、噛み進めると味が出てくる」
「しかし、少しすると消える」
である。
そのため、もしもあなたが新人俳優になり、「噛めば噛むほど味が出るスルメのような役者になりたい」と言いたいと思った場合は
「初めは味がしなくても、噛み進めると味がでて、その味がなくなる前に次のゾーンを噛んでもらえるような、身の長いスルメのような役者になりたい」
と答えるようにしましょう。