そしてドーナツうどんが誕生した
こうしておいしいうどんができあがったのだが、私はもう一つやりたいことがあった。
ここは現在ドーナツ屋さんなので、うどんにドーナツをトッピングしたかったのだ。
うどん屋がうどんを材料にドーナツを作ったという話があるくらいだから(丸亀製麺の「うどーなつ」)、ドーナツ屋さんでうどんを作ったならば、うどんにドーナツが乗るのは必然だろう。
耕さんに許可をいただき、うどんの上にドーンとドーナツを置いた。
脳内にハテナマークが浮かぶヴィジュアルだけれど、よく考えてみてほしい。みんなも天婦羅うどんのおいしさを知っているだろう。うどんに揚げ物が乗ること自体に違和感はないはずだ。
ドーナツの生地がほんのり甘いことに不安を覚えるが、きつねうどんの油揚げなんてもっと甘い。なにか問題がありますか。
そんな理屈を捏ねつつも、なんとなく箸を伸ばすのを躊躇していたら、店の前をたまたま米農家をやっている友人が通りがかったので、いきなりだが試食してもらった。
タガヤス堂の常連であり、私の麺を何度も食べている彼は、いかなるジャッジを下すのだろうか。
まあそうですよね~という反応である。耕さんの奥さんも「絶対に別がいい!」と真向否定。
だが耕さんは「コロッケうどんみたいで僕は好きです!きっと売れますよ!」と乗り気だった。私も食べてみたところ、時間が経ってドーナツの中心までつゆが染みたくらいが最高。これは流行る。
今のところ評価は2対2と真っ二つだが、作った側の二人がうまいと言い張っているだけで、客側はみんな反対しているので、商売としては絶対失敗するパターンだ。
素敵なお祭りでした
値段はうどんが一杯500円、ドーナツうどんは600円とした。プレーンドーナツは通常110円なので10円お得である。
このタガヤス堂以外の場所でわざわざうどんにドーナツを乗せようとは思わないけれど(私は好きな味ですけどね)、こういうメニューを出したという経験こそが製麺マニアの勲章だ。
17時のオープンを迎え、どれだけの人が唐突すぎるドーナツうどんに挑戦するのか不安だったが、なんと半分くらいのオーダーにドーナツが乗っていた。あくまで別物として食べたかもしれないが。
そもそも私のうどんを食べてくれるのかという心配もあったのだが、19時の開演時間前には用意した30食が完売。ありがたいことである。大道芸が観られるイベントの一環なので、子どもが多かったのも嬉しかった。
これがうどんにドーナツを乗せることになった顛末である。
佐渡島の山奥で行われた「佐渡であいましょう」というローカルな一夜の催しに、こうしてちょっとだけ関わらせてもらえたことが、すごく私の心に染みた。ドーナツうどんのつゆくらい。
後日、「あのドーナツ屋は、うどんにドーナツを乗せるらしいぞ」という変な噂が流れてほしい。村人を化かすたぬきになった気分に浸れて満足だ。
そして翌日、私は佐渡島の別の場所で、佐渡産小麦粉と佐渡産キムチを使った冷麺を作っていた。
こんなことばかりをしていたい。

