特集 2024年3月8日

『ドラえもん』の「学校のうら山」っぽい展望台に登る

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生田緑地長者穴口

「あー、これは確かに……ガッツリ山登りする感じですね」

枡形山展望台付近の地形図をみてみる。

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生田緑地周辺の地形

さっきの練馬と違って、全体的に高低差のシワが強い。うら山ということであれば、十分すぎるほどの山感はある。

展望台までの階段を登っていく。そのさいの記録用のビデオを見返してみる。

林「会社に行かなくなって、家で仕事をするようになると、びっくりするぐらい歩かなくなりますね」

西村「なりますね、人に会う予定がないと、風呂も2日ぐらいだったら平気で入らなくなってすぐ爪が汚くなる……」

ずぼらなフリーランスあるあるを、おじさんふたりがハアハア登山しながら会話している様子が録画されている。

しばらく登ると、飯室山広場というすこし小さな見晴台のようなところに到着した。

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ここはまだ枡形山展望台ではない

たしかに、これは見晴らしがよい。

飯室山も、住宅地が山のすぐ近くまで迫っており、遠くのビル群などがうっすら見えるところなどはまさに『日本誕生』のうら山っぽい景色だ。

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東京タワー方面
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低倍率の双眼鏡で東京タワーを探し出す

すぐ、東京タワーをさがしてしまう地理好きふたり。目ざとくすぐに見つける。

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スカイツリーと東京タワーが一挙に見られる
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麻布台ヒルズの存在感すごい

飯室山から尾根を伝って枡形山展望台に向かう。

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かなり立派な展望台である

地形図を見てみると、たしかに山頂部分がマスのような四角い形をしているように見える。

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枡形山の山頂部

先ほどの飯室山と、枡形山のように、学校のうら山も、ピークが2つあるように描かれているものもあるので、F先生は、こんな感じの山をイメージしていたのかもしれない。

枡形山の展望台は、エレベーターもあるかなり立派なもので、望楼階にいくと先程の飯室山の見晴台とはまったく違う眺めがたのしめる。

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ひときわながめがよい
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東京タワーとスカイツリー

で、やっぱりスカイツリーと東京タワーを探してしまう。もう、これは仕方ないだろう。遠くからでも形がわかりやすい目標物なので。

ただし、学校のうら山が登場するドラえもんのエピソードの中で、うら山から東京タワーが見えているものは日本誕生だけでなく、てんコミ26巻の『森は生きている』でもタワーの夜景が見えている。

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藤子・F・不二雄『ドラえもん』てんとう虫コミックス26巻P117(小学館)

しかし、驚くのは武蔵小杉の存在感だろう。 

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武蔵小杉、なんでこんなことに

高層ビルの密度でいえば、西新宿に匹敵するものが、ここにあるのがすごい。いつのまにこんなことになってしまったのだろう。

記録用ビデオを見返してみると「あれ、東名高速ですよね?」とか「よみうりランド見えますよ!」など、展望台から見える景色に夢中になっており、もはや『ドラえもん』の学校のうら山どころの話ではなくなってきている。

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はたして、枡形山展望台は、学校のうら山っぽいのか

『日本誕生』のあのコマの絵に関して言えば、東京タワーのシルエットなど、枡形山展望台や飯室山の見晴台からの眺めにかなり近いんじゃないかと思われた。

ただし、学校のうら山のモデルとなった山は、富山県高岡市の古城公園の卯辰山がモデルだという説もある。
もっとも、卯辰山は『ドラえもん』というよりも『まんが道』で満賀と才野が手塚治虫の『新宝島』に出会う場所として有名かもしれない。

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富山県高岡市古城公園の卯辰山
 

いずれにせよ、『日本誕生』で描かれた「学校のうら山」っぽい山は、生田緑地に近いところにあることは、確実である。

一度、こうやって「学校のうら山」かも? という視点で見てしまうと、なぜか、どのうら山エピソードを見ても「生田緑地のあそこっぽい」とか「尾根の遊歩道に似てる」などと、見れば見るほど、うら山が生田緑地っぽく見えてくるので、そう思って行くと楽しいと思う。

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