渋谷に恐竜がくる!
渋谷のヒカリエにリアルな恐竜がやって来るというので見に行ってきた。
僕は子どもの頃から恐竜が好きで展示なんかがあると今でも喜んで行っている(参考)。
どこの展示もさまざまな趣向を凝らして、絶滅してしまった大型恐竜の迫力を再現しようとしてくれているのだけれど、やはり実物の化石に勝る展示はないだろうと思っていたのだ。
今回の「ディノサファリ」のメインは、ON-ART社が開発したDINO-TECHNEという自立歩行恐竜型メカニカルスーツである。
最新のテクノロジーはすごいんだろうけど、やはり本物の化石には勝てないのではないか。
ところが、である。
ショーが始まってすぐ、目の前で繰り広げられる光景に目を疑った。
リアリティがすごい。
リアリティというか、目の前で繰り広げられている状況が完全に生き物のそれなのだ。動物園のエサやりタイムを見ているみたいなのである。
映画と舞台とがまるで別物であるように、ジュラシックパークの方が映像としてはきれいかもしれないが、このディノサファリには生の迫力がある。だってどう見ても生きているのだ。
人気の恐竜がつぎつぎ現れる
ディノサファリにはナビゲーター役がいて、芝居をしながら恐竜の学術的な説明もしてくれる。ユタラプトルは「ユタ州の泥棒」の意味なのだとか。知らなかった。
次にでかい足音を立てながら現れたのが今回の目玉でもあるアンキロサウルスである。
ものすごいでかいが、細かい部分まで精密に再現されていて、動きにも大雑把なところがない。
恐竜好きはだいたいティラノサウルスかトリケラトプス、最近だとモササウルスとかジュラシックパークの影響でラプトルなんかも人気だと思うのだけれど、30年前に僕たちが好きだったのはアンキロサウルスとステゴサウルスだったはずだ。少なくとも僕はそうだった。
その憧れのアンキロサウルスがいま目の前で動いているのだ。さすが21世紀、こうでなくっちゃ。
このON-ART社のDINO-TECHNEという自立歩行恐竜型メカニカルスーツ、仕組みはよくわからないけれど、顔の表情もしぐさも皮膚のテクスチャーも、すべてにおいて生きている恐竜そのものなのだ。
このくらいリアルになってくると、子どもたちは喜ぶというより怖がるということもわかった。
そうこうしているうちに雨が降ってきた。
とはいってもここは室内だし、これも演出で、映像と音とで土砂降りの雨を表現しているのだ。
雨とともに気温も下がったようにすら思った。中生代のかなたから咆哮が聞こえる。なんか来るぞ。
人気のティラノサウルスが出てきたら子どもたちは興奮して騒ぐかと思ったが、いっぱつ吠えただけで会場は逆に静まりかえった。
「ギョオオオオオオオオーーーーー!!!!」
ティラノが吠える。遠くで人の子が何人か泣いているのが聞こえた。
「ギョ、ギョ、ギョオオオオエエエエエエーーー!!!!!!!!」
「こわい、こわいーー」
ティラノの目には肉食獣の狂暴さがバリバリに宿っている。
このあと会場を暴れまわったティラノは、そこここで観客に向かって吠えたり威嚇したりとやりたい放題だった。
トリケラトプスとティラノサウルスは実際に同時期に生きていた恐竜で、互いにライバルだったとされている。
その証拠にトリケラトプスの角の化石にティラノの歯型が残っていたりするのだ。
個人的におしっこもらいそうだった。怖いというよりも、感動してだ。まさか恐竜たちが生きて目の前で戦っている姿を見ることができるとは。
ジュラシックパークやサウンドオブサンダーを擦り切れるほど見てきた僕ら恐竜キッズにとって、これは一つの夢の到達と言えるだろう。
今の時代、なんでもバーチャルとかオンラインでいいのでは、と思っていないだろうか。
でも目の前で動いて吠えている恐竜を見ちゃうと、やっぱりリアルには勝てないなと思うのである。
会場を出ると現代が待っている
50分間の公演が終わって、魂を抜かれたようにして会場を出ると、そこには現代が広がっていた。
このディノサファリ、これからも進化してさらに巨大な恐竜が登場する予定があるのだという。
今回のティラノサウルスとアンキロサウルスがだいたい8mくらいあるらしいのだけれど、どこまでやってくれるのだろうか。期待しかないです。
渋谷ヒカリエにて 4月27日~5月7日