たぶん、少し太った
これ、全ての食材を試すのに1週間くらいかかりました。仕事から帰って毎日、夕食がアメリカンドッグ。
想像を絶する過酷な日々でしたが、思いもよらないおいしい組み合わせができるとテンションが上がりました。
とりあえず当分は見たくもないですが、いつかアメリカンドッグ専門店を開きたいと思いました。
アメリカンドッグが大好きで、高速道路のサービスエリアなどでよく食べます。
しかし、ホットケーキミックスを使えば自宅でも簡単に作れるということを知りました。
そこで考えたのは、中身のソーセージをほかの種類に変えたらもっとおいしくなるのでは、ということ。さっそく、作って食べてみました。
※2009年7月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。
アメリカンドッグ好きは多いと思います。高速のSAでは定番だし、コンビニにも欠かさず置いてありますよね。
きっと、友達同士で「アメリカンドッグ同好会」を作っている方も多いでしょう。もちろん、僕も知り合いが結成した「アメリカンドッグクラブ」に入れてもらいました。とは言っても、活動内容はメンバーそれぞれがアメリカンドッグを食べたら写メールなどで知らせることと、年に1度くらいはみんなでアメリカンドッグを食べに行くことくらいで、それほど活発なクラブではありません。
少しだけ気合いが入っているところは、プロのイラストレーターの方に描いてもらった絵で、クラブのオリジナルTシャツを作ったことくらいでしょうか。
ちなみに、Tシャツは僕が着ている男性用(ネイビー)のほかに女性用(ピンク)もあります。
というわけで、まずは今回の企画実行に説得力を持たせるため、「僕がどんだけアメリカンドッグが好きか」というPRでした。
ホットケーキミックスを使って自宅で簡単にアメリカンドッグが作れるのなら、前から試してみたいと思っていたことをやってみます。
コンビニやサービスエリアのアメリカンドッグの中身は、比較的淡白な味のソーセージが入っていますが、それをもっといろいろなソーセージに変えたら、例えば風味豊かなハーブソーセージとか、ピリリと辛いチョリソーなどに変えたら、それはおいしそうだと思いませんか。
というわけで、いくつかソーセージ的なものを買ってきました。
一緒にホットケーキミックスも買ってきたので、さっそくオリジナルアメリカンドッグを作ってみます。
まずは、いきなり本命のハーブレモンとチョリソーのアメリカンドッグにトライ。
それぞれのソーセージを串に刺したら生地と絡めるのですが、厚くつきすぎても薄すぎてもおいしく仕上がらないので、ここがアメリカンドッグ作りでいちばん肝心な作業と言えます。
うまく生地で包んだら、180℃くらいに熱したたっぷりの油の中へ投入!2~3分ですぐ揚がります。
ちなみに今回、鍋の大きさの都合でソーセージを半分に切って作りました。本当はすごく長くて曲がっているチョリソーとかで作ってみたかったんですが。
では、できたてをさっそく食べてみます!
まず食べたのはチョリソー。
これはうまい!カリッ、フワッとした甘い衣の中にプリッとした歯ごたえのソーセージが入っているだけでもびっくりなのに、噛んでいるうちいつのまにか鼻の頭に汗が。おお、辛さが後からやってくる!これは嬉しい驚き。
ぜひ、暑い夏に揚げたてをビールやコーラと一緒に食べたいところです。
合わない要素がないとはいえ、幸先のいいスタート。では続けてハーブレモンも食べてみます。
あー、さっきと方向性がまったく違うけど、これもうまいわー。
やっぱりカリッ、フワッ、プリッという歯ごたえのあと、ハーブレモンの爽やかな風味が口の中に広がります。そして市販のアメリカンドッグでは体験したことのないジュージーさ!
また、ハーブとマスタードの風味が意外にマッチ。味に奥行きが増す気がします。
チョリソーとハーブは十分売れると思います!肉まんが発展してピザまんや角煮まんが生まれたように、コンビニ業界にはぜひアメリカンドッグも新たな商品開発に励んでもらいたいです。
続いてはポークビッツ。思ったより簡単に作れるので、お弁当の「あと一品」に使えるかもしれないし、ひとくちサイズのかわいいアメリカンドッグを見てみたかった、という理由もあります。
肝心の味の方は…。
ポークビッツ、存在薄すぎ。つまり、小さすぎてまったく分かりませんでした。
これは味よりも見た目で勝負でしょう。串じゃなくて爪楊枝が刺さった小さなアメリカンドッグがお弁当に入っていたら、それだけで嬉しくなりそうです。
最後は魚肉ソーセージ。たまに無性に食べたくなるこの味が、衣をまとってどう変化してくれるのか。
ハッキリ言って僕はまったくダメでした。
肝心の中身が衣より柔らかくて、しかも甘い。衣も甘いけど、それとはベクトルの違う甘さが混在して、どうにも味がまとまりません。あと、熱した魚肉ソーセージ、というものを初めて食べた気がして、未体験の食感に脳が驚いた、というのもあるかも知れません。
とにかく1本食べきるのが辛かったです。と言っても、知り合いに「魚肉ソーセージのアメリカンドッグが好きだ」という人もいるので、好き嫌いがハッキリ分かれる味ということなのかも知れません。
というわけで、何種類かのソーセージでアメリカンドッグを作ってみたところ、アメリカンドッグの中身はまだまだ開発の余地がある、と思いました。うまくいけばアメリカンドッグ屋が開けるかも。そのためにはおいしいメニューを増やさなければなりません。
じゃあソーセージに拘らずに、いろんな食材でアメリカンドッグを作ってみればいいんじゃないか。
と考えて、アメリカンドッグにできそうな食材をいろいろ買ってきました。
たいていのソーセージはアメリカンドッグになりうる。それならソーセージから離れて、今までアメリカンドッグの具になったことがないであろうものから、新しいアメリカンドッグを作り出そうと思いました。
スーパーを2周も3周もして、あの衣の中に入っていたら嬉しいかもしれないものを片っ端から買い物かごへ。ちょっと洒落にならない金額になりましたが、記事のネタより個人的な興味が勝り、両手に重いビニール袋をぶら下げて帰ってきました。
それでは、どんな食材が新しいアメリカンドッグたりえたのか。以下ダイジェストでどうぞ。
まずはサラミ。単に形がソーセージに似ているという理由だけで選びました。
ただ、もともとビールのおつまみなので、アメリカンドッグ化してもビールの友として成立するんじゃないか、と期待。
見た目ポークビッツに近いですが、性格はまったく異なります。
ひとくち噛んだ瞬間、衣から脂がじわっと出てきました。どうやらサラミの中の脂が融けて、衣が全部吸ったようです。脂がうまい!
と一瞬思ったのですが、噛めば噛むだけ脂が出てくるのでやや辛くなってきました。ひとくちだけならおつまみになるかも知れませんが、2個以上口に運ぶのはかなりの勇気か、もしくは諦めが必要です。
続いての候補は、衣に投入する前にちょっと下準備が必要です。
試しに1本食べてみたら、あたりまえだけど超うまい!
しかし、これを衣で包んでみます。
サクッと噛んで半分にしようとすると、アスパラが噛み切れずにズルリと出てしまいました。が、意外とおいしいぞ。とりあえず、焼いたベーコンが衣とすげえ合う!そして、アスパラの甘みがすごく強調されていて、それがいいアクセントになっています。
作るのがちょっと手間だけど、これは十分おいしいと言えるレベルだと思います。
続いては、牛肉にトライしてみましょう。
牛肉と言えばステーキ。予算の都合で安い整形肉のサイコロステーキになってしまいましたが、塩胡椒で焼いたら串に刺して、衣をつけて揚げてみます。
ステーキのアメリカンドッグをひとくち食べた感想は、微妙ー!!
とても惜しい感じです。食べた瞬間、間違いなくうまそうな香りと歯ごたえがあって、次にうまみが来るか、来るか、と待っている間に結局来ない、という感じ。やっぱり安い肉だからでしょうか。
ケチャップとマスタードをつけて食べたら、どこかで食べたことのある味になりました。何だろう、と考えたところ、マクドナルドのハンバーガーと同じ味でした。
食材はまだまだあるので急ぎます。
続いては個人的にいちばん鉄板だと思っていたミートボール。おいしくないはずがない。
ぜったいにおいしいハズだ、と思って食べたミートボールですが、まったく期待はずれの結果になりました。あまりに意外な味で、脳が何が起こったか理解するのに時間がかかっています。もともとの味つけがかなり甘かったので、衣の甘さと見事にぶつかってしまったようです。
続いて、既に調理済みの総菜をさらに衣にくるんで揚げたらどうかという、ある意味おとなの悪ふざけと言えるジャンルです。
まずは焼鳥。我が国独特の調理法で焼かれた鶏肉が、洋風のドーナツ生地をまとってどう変化するか。
しかし、本当は若鶏とか手堅い部位を買おうと思っていたのですが、遅い時間のスーパーにはよりによってレバーしか残っていませんでした…。
ひとくち食べて、…あー……。
口の中で衣はすぐになくなるのに、レバーはずっと残る。衣で包む必要がまったくない。幸い生臭さはないけど、すごくぼんやりした味。別に不味くはないですが、あるかないかで言ったら、ないでしょう。
若鶏か、つくねだったら十分アリだと思います。鶏皮は、衣の生地の中から皮が飛び出ているさまを想像して、なしだなと思いました。
次は個人的に楽しみな海老フライ。
パン粉をつけて揚げてあるものに、さらに生地をつけて揚げたらどうなるのでしょうか。
これはふつうにうまい!
噛むと、いちばん外側からカリッ、フワッ、サクッ、プリッと4段階の歯ごたえの変化がものすごく新鮮で面白いです。ケチャップもマスタードも合うので、変わり種メニューのひとつとしてあるべきです。
「歯ごたえに変化をつけるために何層か衣をつける」という発想はまだ料理界にないかも知れません。新しいぞ。
さらに楽しみな食材、うなぎ蒲焼きに挑戦してみます。
蒲焼いたときの串を利用して(正確には串から外れなかった)、たれが落ちないように手早く衣をつけます。
ひとくち食べて、…何だこれ、…もぐもぐ、あ、うなぎだー!
というように、生地に包まれていても、うなぎの風味をストレートに感じることができます。案外いける。安い、ゴムみたいな食感のうなぎでもこんな感想なので、もっとおいしいうなぎなら、さらにおいしいのでしょうか。
とりあえず、うなぎをお菓子っぽく食べられます。「昼のお菓子」と言っていいかも、と思いましたが、よく考えたらそれは何の変哲もないですね。
総菜っていろいろありますね。次は餃子です。
餃子ドッグって、どこかにそんなメニューがあった気がしますが、きっとこれとは違うものでしょう。
これはなかなか強烈。噛んだ瞬間「ぎょうざ!」と分かります。
でも、合わなくない、というかむしろこれはアリではないでしょうか。ケチャップはあんまりなので、試しに醤油をたらしてみたら…、うまいっすよこれ!
何でだろう、理由は分からないけど、中身がソーセージに近いからかな?
いや、実を言うとはじめは半分くらい冗談だったのですが、こんなに合う食材があるとは意外でした。
続いては、この企画を編集部に伝えたときにリクエストのあった「おでんの具」を試してみます。
まさかアメリカンドッグの記事が3ページも続くとは思いませんでした。
この企画を編集部に伝えたとき「おでんの具なら何でもいけるのでは」とアイデアをもらったので、試してみます。
まずは、僕がいちばん好きなおでんの具、ちくわぶ。
柔らかく煮たちくわぶに生地をつけて揚げたのですが…、すごいですよこれ。形態は少し違いますが、これ全部小麦粉の固まり。
そして予想通り、衣の味しかしません。ほんのり甘くて、ちくわぶ部分は中身が詰まっているので食べごたえはかなりあります。一瞬、ダイエットにいいかも、と思ったのですが、炭水化物と脂質という最悪の組み合わせですね。
次もおでんの定番、揚げかまぼこ。白身魚の練り物です。
これはものすごく、ものすごく、ものすごく淡白な味。
味つけ次第では大化けする可能性もあるものの、積極的に食べたいメニューではないと思います。
最初に食べたとき、中身がトロッと融けたので「チーズみたい!」と思ったら、生地が部分的に生だっただけでした。
ほかにも、「かにかま」や「ちーかま」もやってみたのですが、あまりに淡白でこれと同じ結果。基本的に白身魚の練り物系はこの食べ方に合わないみたいです。
次はおでんで人気の一品。うずらのゆで卵です。
これは総菜パンなどでふううにありそうな組み合わせ。ケチャップをつけると、なんだか朝食べたい味です。
大きくブレないかわり、特筆すべき点もない、安定株と言っていいでしょう。
最後に、お菓子を衣の中に閉じ込めて、スイーツたるドッグを作ってみたいと思います。
まず、ぜひやってみたかったみたらし団子。
餅をあの生地で包んだらひょっとしておいしいのでは、と睨んでいたのです。
もうだいぶおなかいっぱいですが、食べてみると、なんと味は悪くない。というか、ものすごくおいしいです。
表面がカリッとしていて、生地にはみたらしがしみ込んでいてとても甘く、そして中に熱が入って柔らかくなったお餅がじわっと出てきて、これは新しい和菓子、新しいお団子の食べかたと言っていいかも知れません!なんかテキトーやってたら見つけちゃいましたぁ!という感じです。
これはぜひ他の人の意見も聞きたい。
もうひとつやってみたかったスイーツ。満を持してバナナを生地に投入です。
そして、これにはチョコレートソースだと決めてました。絶対においしくないわけがない組み合わせのはずですが。
これだけたくさん作って唯一、まったく想像通りのものができました。
これはバナナクレープと人気を二分してもおかしくないおいしさ。チョコレートソースとの相性も最高でした。
バナナを買ったらまた作ろう。
これはちょっと冗談で買ってみたのですが、ソイジョイに衣つけて揚げてみることにします。
太りにくいと言われている低GI食品であるソイジョイを、思いっきり高GIに変えてみようという試みです。
これうまーい!
外がふんわり中がサクサクという、衣とソイジョイの相性が抜群。レーズンも見事にマッチ。間違いなくそのまま食べるよりもおいしくなってます。
でもこうして食べるとソイジョイの意味がないですよね。困りました。
最後、これでほんとうに最後です。
チョコレート系のお菓子を包みたいと思って買ってきたのはキットカット。串を挿すと割れてしまったので、そのままゴロッと生地に絡めました。
これはすごい。
ものすごく上品で甘くておいしいスイーツができてしまいました。これをお皿に乗せて、まわりをクリームやフルーツでちょっと飾ったら、ミッドタウンあたりのカフェで間違いなく1000円以上する一皿になりますよ。
ウチの店でも目玉商品になってくれそうです。
これ、全ての食材を試すのに1週間くらいかかりました。仕事から帰って毎日、夕食がアメリカンドッグ。
想像を絶する過酷な日々でしたが、思いもよらないおいしい組み合わせができるとテンションが上がりました。
とりあえず当分は見たくもないですが、いつかアメリカンドッグ専門店を開きたいと思いました。
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